世界に名だたる日本のブランドタウン「銀座」。日本の近代化以降、銀座は東京を代表する一大商業拠点として発展を遂げてきた。
日本最初の地下鉄である銀座線の前身、東京地下鉄道の銀座駅が1934年に開業し、大方80年もの歴史を誇る。銀座駅構内には地下鉄の父・早川徳次の胸像が鎮座している。
何気に東京DEEP案内はあまりにメジャーすぎる銀座を避けて素通りしまくってきたわけだが、この街もよく観察してみると、色々と変なものが見つかる。
地下鉄銀座駅を降りて地上に上がると現れる銀座四丁目交差点に建つ「和光ビル」。1932年に建設された、東京で最も有名なレトロ建築の一つ。
さらにその向かいの三愛ドリームセンタービル。どちらも銀座のランドマークである。
日本で最も流行の先端を行く街だという事で、銀座の経済を見ると日本の経済がわかるとまで言われる。ひたすらシンボリックな存在。
最近では高級ブティック店が撤退して代わりに低価格路線のユニクロの巨大店舗が出来るなど、確かに日本の経済がデフレに陥り疲弊している現状を垣間見ることができる。
銀座四丁目交差点を中心に中央通りと晴海通りに沿って広がる世界各国のブランドショップ、高級ブティック、百貨店、それに政治家もおしのびでやってくる高級料亭、セレブが通いつめる高級料理店…
銀座にはそういったイメージばかりがつきまとう。
道行く男女は総じて洗練されていて、ブランドタウンの名を欲しいままにしている銀座の街。しかしモーブッサンのダイヤ無料配布騒動など、時折行われる俗なパフォーマンスは見事なDQNホイホイとなる。銀座ならではの珍現象。
物欲、権力欲、人々の捻じ曲がった欲望が渦巻く街。高級ブランド店のビルまで捻じ曲がっている。
秋葉原では例の事件以降取りやめになっている中央通りの歩行者天国も、ここ銀座では健在。アホなパフォーマーや殺人犯が群がる秋葉原とは違って、道路の真ん中がオープンカフェになったりするのが銀座らしいお上品さ。
だが「銀座」と地名のつく場所は一丁目から八丁目までかなり広大である。その全てが洗練されきったブランドタウンかと思えばそうでもなく、裏側に回ると「これが銀座か!」と驚嘆する風景が隠れている事も多い。
東京DEEP案内的にはそういう物件を見つけてほくそ笑むのが銀座の楽しみ方だ。
銀座の西の外れ、泰明小学校前まで来ると、そこは同じ銀座でもどこかしら場末の風情が漂う飲食街が隠れている。
乱雑に並ぶ雑居ビルのどれもが小さなスナック。高級クラブじゃなくてこんな場末の酒場でも所謂「銀座のママ」を名乗れるのだろうか。だって住所は銀座六丁目だもん。
飲食街の隙間に入ると淀みきった路地裏にまだまだ小さなスナックがひしめいている。おおよそ銀座という雰囲気ではない。
泰明小学校前の裏寂れた路地裏酒場通りはわずか100メートル足らずで終わってしまう。本当に奇跡的に残っているような存在だ。
この一帯を発見した時にブランドタウン「銀座」に対するステレオタイプな街のイメージを初めて覆されたような気がする。そんな場所だ。
しかしここからすぐ裏手のJRのガード下にも「西銀座JRセンター」という放置されまくりの謎の通路が隠れていて、意外にDEEPな物件が密集しているカオスゾーンだ。