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埼京線「十条」界隈 (5) 朝鮮学校へ続く道

十条の街は今でこそ東京の辺縁部にあるごくフツーの下町といった印象だが、戦前までは旧陸軍造兵廠があり、軍都としての色彩が強い土地だった。それは戦後に解体されたのち、自衛隊駐屯地や大学キャンパスやら公園やらになったのだが、今でも地図を広げると十条駅の南側一帯に造兵廠の跡地がくっきり見えるので、嫌でも目に付く。
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旧加賀藩下屋敷跡から東京最大の軍事工場になるに至った土地が今どんな感じなのか、様子が見たくて、十条駅からとことこ歩いて行く事にした。しかし十条らしく、やはり道中は狭苦しい路地ばかりである。


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旧陸軍施設跡にある学校に通う学生達が大勢通り抜けていく路地に足を踏み入れるも、車が入るのも憚られる程細い路地は完全に住宅街で、所々小さなスナックや居酒屋などが店を構えている程度だ。
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注意して街を見て回ると、隣の赤羽なんかもそうだが十条あたりも個人経営のスナックとか居酒屋が異様に多い事に気付く。きっと酒飲み率が高いからだろうが、こんな何も無さそうな路地にすら酒場がこれでもかと並んでいるのは、きっと赤羽文化圏の特徴である。実益より趣味で、儲かるかどうかなんて恐らく拘りがないんだろうな。
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酒場だけが目立つ路地だが、その向かいは久保の湯というオールドスタイルな土着の銭湯の建物がドドーンと鎮座している。両脇を公明党のポスターで固めているのは、これもきっと赤羽文化圏の特徴。
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しかし純然たる住宅地という訳でもなく銭湯の裏には昭工舎という時計パーツ製造工場もある。随分レトロな建物だ。
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銭湯を過ぎるとこれまた密集率の高い住宅地で、貧乏臭いアパートがこれでもかと立ち並んでいる。この路地を道なりに突っ切ると旧陸軍施設のある場所に出られるはずだ。
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どこを見回しても生活感が漂う路地。隣家に手が届きそうな程近いのはデフォ。火事にでもなったら大変な事になりそうですね。
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民家の軒先には今も使われているかどうかは分からないが、古井戸が置かれていた。東京は外観だけは大都会ぶって見えるが、細部まで見ていくと殊の外原始的な街並みが残っている。
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どう見ても戦前建築だろうと思うような古い民家も意外に残っていたりして不思議に思っていた。十条には旧陸軍造兵廠があったにも関わらず、米軍による爆撃を受けていない地区があるようだ。同じ日本でもアジア最大の兵器工場であった大阪砲兵工廠なんか一トン爆弾でメタクソにやられてますが。
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とある民家の外塀に掛けられていた、いつの時代のものかよく分からない町医者の看板が目についた。何気ない街中に過去が化石のようにこびり付いている。
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路地を抜けるとようやく目の前が開けて広々とした公務員宿舎の建物が見えてきた。ここから向こうが旧陸軍造兵廠の跡地である。
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さらに右折して西側からぐるりと回っていく事にする。公務員宿舎を過ぎると隣が十条公園。この付近から南側あたりで北区と板橋区の区境が中途半端な場所を走っていて、感覚的にどっちの区なのかかなり曖昧になってくる。
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十条公園の隣が東京朝鮮中高級学校の敷地となっている。旧陸軍用地に朝鮮学校…まあなんだか戦後に色々あったんだろうなぁと思いを巡らせてしまいそうになるが、東京にある朝鮮学校の中では小平鷹の台にある朝鮮大学校と肩を並べる民族教育のメッカ。
少子化や社会情勢の変化で、全盛期では3000人超いたという生徒も現在でも1000人程度。それでも朝鮮学校としては日本屈指の規模である。
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朝鮮学校ではちょうど運動会の最中だったらしく、校舎の横の道を歩いていると何の競技をしているのかわからんが何度も何度も「ハナ・トゥル・セッ!」と声を挙げているのが聞こえてくる。ここは軍都十条の成れの果てに佇む日本の中の朝鮮民主主義人民共和国。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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