やはり本場・大阪民国と比べると生野区のような極端な地域は目立たないのが東京クオリティなのだが、それでも下町エリアである荒川区や台東区、足立区の南部には生野区にも負けないオールドカマー系コリアタウンが点在している。
その代表格がここ「三河島」であるわけだが、常磐線で日暮里から一駅である、この駅前を降りてもいまいちパッとしない印象は否めない。
三河島駅前の申し訳程度な「親交睦商店街」。
やはり活気には乏しい訳だがよく見てみると韓国料理系の店が多い事に気がつく。
それが持ち帰り専門の韓国食材専門店だったりするのがオールドコリアタウンらしい趣きである。
最寄りが微妙な常磐線とは言え都心からもかなり近いはずの三河島だが意外にどの店も寂れている。かと言って大久保・百人町のようにコリアタウンとして観光地化しているわけでもない。ただただ寂れた下町だという他ない。
ちなみに、日暮里駅方面に近づくにつれて、繊維問屋の店や革製品を取り扱う店が目立ち始める。実は日暮里界隈は繊維問屋の街だったのだ。
このままぶらぶらしていてもしょうがないので、どんどん先に進もう。
やはり三河島界隈も大阪の生野区と同じように古い住宅が密集している。だからといって工場も密集しているわけでもなく意外に静かである。
細い路地のあちらこちらにハングルの看板を見かける事ができる。
常磐線の高架が見える。三河島の町の南北を分離しているように線路が走っている。
時折凄まじいオンボロ家屋に出くわす事がある。一体何に使われている建物なのだろうか。恐る恐る近づいてみると…
玄関の前に独特の飾りが掛けられているところを見ると、これは韓国におけるシャーマニズム系宗教の一種なんだろう。大阪で言えば桜ノ宮駅前の大川河川敷を不法占拠している宗教施設兼民家や生野区猪飼野界隈で見られる種類のものである。
こうした在日韓国人の土着信仰は日本では殆ど知られていないが、もっぱら大阪に行くと盛んである。石切の生駒山麓あたりには今も多くの朝鮮寺が残っている。一方、東京でこういうのを見るのもかなり珍しい。
そうはいってもオールドコリアタウンという性質の街だから、こんなレトロな銭湯も残っているのが三河島界隈。古いアパートが多いと当然風呂なし物件も多いので銭湯の需要が高いままだったりする。
なぜかこの場所に掲げられている「角海老」の広告看板。それはオッサン率の高い常磐線の乗客に向けられているのだ。
三河島駅から人通りもまばらな路地を東に向けて歩いていく。そのまま進むと三ノ輪、山谷、吉原といった東京の最強DEEPゾーンへ突入するわけだが…
…と、その道すがら、一軒の焼肉屋を見つけた。
「山田屋食堂」というホルモン専門店である。場所柄いかにも地元民しか客の相手をしてなさそうな感じの店構えだが、扱っている内臓の部位が多彩で、定評のある焼肉屋だ。
ちなみにネットでこの店のことを調べると「セッキフェ」という料理を扱っているという情報が出てくる。済州島では今もこっそり食べられているという牛や豚の胎児の刺身だ。大昔は扱っていたようだが、さすがに今では食えるような代物ではない。人気店のため、要予約。
その近くには「東京朝鮮第一初中級学校」の校舎を見ることもできる。ちなみに関西では大阪・生野区や京都・東九条などで行われる在日系イベント「統一マダン」だが、東京の統一マダンは三河島駅前の旧真土小学校で開催される。
三河島駅のすぐ南側の住宅地にある何の変哲もない建物に朝鮮総連の施設もある。
掲げられている看板も古いものだが確かに朝鮮総連のものだ。
荒川区はヒューマンライツ系施設も多く、大阪で言うところの西成・浪速に近い。我々に言わせれば「非常に香ばしい下町」であります。