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非情の木曽御嶽山噴火…ところで東京都大田区にある「御嶽山」とはどのような場所なのか

長野県木曽地方の御嶽山で大規模噴火が発生して多くの犠牲者が出てしまったが、この痛ましい人的被害をもたらした噴火からそろそろ一ヶ月が経とうとしている。火山と地震の国である日本では古来から山岳信仰があり、人智を超えた力を持つ自然界への畏れを抱きつつ、日々の暮らしの平穏無事を願い信仰の対象としていたのである。

大田区 御嶽山

で、ここ東京にも木曽の御嶽山と全く同じ地名を持つ場所が存在している。東急池上線の御嶽山駅だ。池上線の始発である蒲田から5つ目。五反田方面から旗の台経由で来る事も出来るが、普段なかなか乗る機会がないのが正直なところ。

大田区 御嶽山

東急各線のうち最も原始的な佇まいを持つレトロな池上線の渋い三両編成の電車に乗り、昔のまんまの平面ホームに降り立つ。湘南新宿ラインなんかに乗ると東海道新幹線と並走する品鶴線沿いの車窓から駅が一瞬見えるのだが、同じ電車でも池上線とは時間の流れ方が随分違って見える。

大田区 御嶽山

木曽の御嶽山が噴火する直前にツイッターで「一人でのんびり御嶽山(^^)」とツイートした登山者が一時安否不明となって騒ぎになったが、ここならいくら一人でのんびりしていても何も無さそうです。

大田区 御嶽山

御嶽山駅前に降りると池上線の線路を跨いだ両側に「御嶽商店街」が伸びている。その一等地にズドーンとそびえるイオン御嶽山駅前店は「ジャスコ」時代からの古株スーパー。

大田区 御嶽山

さすが御嶽山と名乗るだけの事はあって、イオン御嶽山駅前店の敷地内にはなんと湧き水がこんこんと溢れ出ているのだ!しかも「御嶽の霊水」とまで書かれている。イオンのショッピングセンターというのが場所柄に合わんが、残念ながら飲用不可だそうです。

大田区 御嶽山

湧き水の傍らには「御嶽霊水の由来」と書かれた石碑が置かれている。すぐそばにある御嶽神社の参拝者が昔使っていた有難いお水らしいですね。飲めませんが…

大田区 御嶽山

このジャスコもといイオンを中心に買い物客でそこそこ賑わっているが、まあ大田区によくありがちな下町商店街という以上の印象は沸かない。駅西側には環八通りがあり、田園調布本町や田園調布南といった地名があり、付近の住宅街は「田園調布」の名を冠したアパートやマンションが現れ始める。

大田区 御嶽山

駅前と環八通りの間、イオンの隣に鍵曲がりになった商店街の角を折れた先にご立派な「御嶽神社」の鳥居が現れる。この神社は当地が荏原郡嶺村と呼ばれていた江戸時代天文年間(1535年)以来の歴史を誇る古い神社だが、勿論木曽の御嶽山と大いに関係がある。

大田区 御嶽山

他に参拝者もおらずひたすら静かな境内。旧嶺村にあった事から「嶺の御嶽山」とも呼ばれる。「嶺の御嶽山に三度参れば、木曽御嶽山に一度お参りしたのと同じご利益がある」と言われてきたそうで。嶺村の名称は当地の地名「北嶺町」といった所に残っている。

大田区 御嶽山

天保年間に木曽御嶽山で修業をした一山行者が当地に分霊を勧請、それ以来急激に参拝者が増え、関東における木曽御嶽山の分霊を祀る御嶽神社の第一号となったというのが由来。木曽御嶽山が遠くて行けないという関東一円の信仰者が代わりに訪れる場所となっていた訳だ。

大田区 御嶽山

関東各地で見られる富士塚でもお馴染みの「富士講」と同様の山岳信仰が、この地にも根付いていたという事だ。関東一円の「御嶽講」の信仰者がこの御嶽神社を目指してやってきていた。「富津町元講」と書かれた石柱も、千葉の富津ですかねこれ。

大田区 御嶽山

樹齢四百年を超えるという境内の御神木「夫婦松」(黒松)が神楽殿の背後からそびえている姿もまた神々しい。

大田区 御嶽山

本殿裏手に鎮守の森があり、関東各地の御嶽講に纏わる石碑や何やらが大量に置かれている。やはり富士講と同じく御嶽講も戦後には信仰者が激減しているが、未だに講社による木曽御嶽山への団体登山が行われているそうだ。

大田区 御嶽山

「与野」とか「蕨」といった埼玉の地名が刻まれた石灯籠もあるが、一山行者ゆかりの地が埼玉の与野なので、その関係で置かれているのだろう。

大田区 御嶽山

天保年間(1831年)に建てられた御嶽神社本殿の裏や側面にある木彫りの彫刻の数々もやたら立派過ぎて凄い。大田区指定文化財だそうです。境内には他にも御嶽神社を開いた一山行者を祀る一山神社などもある。

大田区 御嶽山

参拝者もまばらな神社の境内で、先日の御嶽山噴火は自然への畏敬を忘れた人々への警告なのだろうか…という事が頭をよぎる。

大田区 御嶽山

御嶽信仰が盛んだった頃は木曽への道ですら遠く、高速道路も鉄道も無い中で当時の人々が遠路はるばる御嶽山参りをしていた時代と比べると、現在の木曽御嶽山はロープウェイで七合目まで余裕で登れてさらに八合目まで片道一時間、山頂(剣ヶ峰)でも片道三時間半で登れてしまう。被災して命を落とした人々は運が悪く気の毒だったとしか言いようがないが…

大田区 御嶽山

御嶽神社を出て、また再び駅前の商店街へ。まあ、他にはあんまり見る所も無さそうなので、一人でのんびり御嶽山を楽しんで帰ってきました。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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