スイーツタウン「自由が丘」 (2) 甘すぎて無理です

自由が丘と言えばスイーツ好みの店ばかりしかないイメージが強いが、付近は昭和初期に東急東横線が開通しており、隣の田園調布などと同じく戦前から造成された住宅地で古い歴史がある。

周辺はオシャレ系の店ばかりといった状態の自由が丘駅北西側に熊野神社がぽつんと建っている。こじんまりとした神社であるが、一説によると創建800年とも言われる古社だ。
いまどきのスイーツ風に言う所の「パワースポット」というのか(笑)



自由が丘と言う地名は全国的に見るといかにもありきたりな郊外の高級ぶったベッドタウンに付けられそうな地名の一つであるが、ここ目黒の自由が丘も元々は「谷畑」という地名であったということが熊野神社境内の案内板に書かれている。

さらに境内の隅っこに置かれている像は、自由が丘が衾村、その後の碑衾村と呼ばれていた頃の村長だった栗山久次郎翁の銅像である。昭和初期に自由が丘学園の誘致と、自由が丘の地名の名付け親になったという重要な存在だ。

東急自由が丘駅は、1927年に「九品仏前」の駅名で開業したものの、2年後には目黒蒲田電鉄(現在の東急大井町線)により「九品仏駅」が開業し、駅名を改称する事となった。当初は村の名前である「衾(ふすま)」と付けられる予定になっていたらしいが、栗山村長の力で「自由が丘」の地名を冠した駅に決まり、現在に至る。
もし自由が丘が「衾」のままだったらこんなオシャレスイーツタウンにはなっていなかったかも知れない。

神社から一歩外に出るともうそこはスイーツ占領地帯。こういう街には定番の「ドッグカフェ」も充実。所謂犬連れカフェであり、犬連れマダムの多い目黒や世田谷にはチラホラこうした店がある。

こうした店には「犬のごはん」がきっちり用意されていて笑える。愛犬を溺愛するのは好き勝手だが往々にして犬のしつけもろくに出来ない勘違い系DQN飼い主が一定数紛れているのは何故だろう。

その他、店先に置かれている呼び込みの宣伝文句が「コラーゲンたっぷり」だったり、物凄く分かりやすいスイーツ仕様で爆笑。ついでに「血液サラサラ」「マイナスイオン」もないか調べたが、それは今回見つかりませんでした。

どうやら自由が丘界隈をうろうろしている有閑マダム一同がやけにこの店の前で出入りしまくっている。「黒船」という名前の店だが所謂「和スイーツ」の店である(笑)遠目に眺めているだけではつまらないとばかりに店に入る。

「黒船ラスキュ」というカステラをラスクのように固めたもの、100グラム630円で購入。なんかよくわからんがスイーツ女子や有閑マダムはこういうスイーツを常食しているのか。凄く高いような気がするけど裏の食品表示を見ればなんとなく違いが分かる。無添加なんだね。やっぱり浅草や立石あたりに溜まってる奴らと食ってるもんが違う。

他にも英国紅茶専門店と名乗るカフェもあったりして東京DEEP案内取材班に一息つく暇も与えてくれない。さすがスイーツタウンの王道を行く自由が丘だけのことはあって違う。

路地裏にあたる場所まで、無駄に凝ったオサレで欧風の店舗が立ち並ぶ。「住みたい街」ランキング1位の吉祥寺もスイーツ臭の激しい箇所があるにはあるが、ここまで露骨に甘ったるくはない。

向かいにある「LUPICIA」も高級ブティックみたいな外観なのに「世界のお茶専門店」なのだから笑ってしまう。全国のデパ地下を中心に店を構えているようだが、自由が丘は「本店」扱い。オッサンがつまみに合うビールが欠かせないように、有閑マダムにはスイーツに合うティーが欠かせないのね。

ここの2階もティーサロンである。自由が丘の人口比カフェ率の高さは異常。泥臭い昭和の純喫茶の一つでもあればと思ってもそんなんないですから。すっきりキレイに漂白されまくってます。

駅周辺の主要部分はこんな感じでカフェかスイーツか高級ブランドショップかオシャレな雑貨屋かといった所で、まさしく「スイーツタウン」そのものの姿である。

でかい駅の構内かオシャレ系駅ビルに行かなければ無いはずの高級チョコレートショップの「GODIVA」も自由が丘では街中に普通に店を構えている。甘い、甘すぎる…
常々東京の東側にある見捨てられたような下町をデフォで探索している我々東京DEEP案内取材班からすると真逆の位置にある街だ。

これが新橋だったら中国整体院か怪しげな中国人のお姉ちゃんの「マッサージドデスカ」なのだが、自由が丘だったら女性向け脱毛エステやフェイシャルサロンといった具合である。ある意味棲み分けが徹底しているというか、東京らしい特徴である。


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