幕末の戦争遺跡「品川台場」を今なお留める唯一の史跡・第三台場。全部で8つあった台場のうち一般人が立ち入り出来る唯一現存するものがここだけになっているので、貴重な存在だ。
8つの台場は第一台場から第七台場、それに御殿山下台場があったが、今なお海上に浮かぶのが第三と第六、撤去されたのが第二、未完成のまま撤去されたのが第七、埋め立てられて陸地となったのが第一と第四と第五、御殿山下の4つ。
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第四と第七は建設途中に日米和親条約が結ばれて開国しちゃったため、もう造る必要はないとして工事が中止された。第七台場は明治時代には牡蠣養殖試験所となって「平和利用」されましたとさ。
あと第一と第五は品川埠頭に、第四は一部が護岸に流用されつつも天王洲の一部に、そして御殿山下台場は跡地が台場小学校になって周囲も埋め立てられている。位置関係は上の図の通り。
かつて幕末の軍人達が船から乗り降りしていたと思われる上陸口付近はかなり放置気味の雑木林に成り果てている。デートスポットらしさは皆無ですね。
土塁の上から見ると窪みの下には池なんかも出来ていてなかなか凄い事になっている。全く整備されている様子もない。間違って土手の下に落っこちたら帰って来れなさそうな気配すら漂う。
台場公園から再び野鳥の楽園と化している第六台場を眺める。都会のど真ん中に空いた空白。そそられますね。その向こうには大量のオフィスワーカーがあくせく働く摩天楼群がそびえている。
定番デートスポットからかなり離れた場所にあるが、それでも何組かのカップルがこんな場所まで足を伸ばしてイチャついていた。さすがリア充の聖地である。品川台場の写真が撮りたいだけなのに彼らのせいで余計に気を使いますね。んもう。
カップルもあちこちにいるし他に見るものもないかな…とうろついていたら物々しい砲台の跡が残っていて興奮しそうになるが糠喜びである。ただのレプリカだ。
ぽつんと置かれた砲台のレプリカは二度目のペリー艦隊の襲来に備えるべく海に砲身を向けていた、かつての本物の砲台をイメージして作られたものだろうか。それにしてはコンクリートが剥げてボロボロになっていたのだが。
砲台のレプリカよりもむしろ土塁の下に残っている謎の構造物が気になった。あれも軍事目的で作られた何かだろうか?
謎の構造物に近づいてみる。調べてみると分かったが、どうやらこれは「かまど跡」らしい。相当オンボロ具合が酷い物体だが、江戸時代から残されたものではなくこれでも復元されたものだという。
確かにこういう穴が開いていたりする所も「かまど」らしい。間違ってもここでバーベキューとか考えてはならない。
他にも土塁の下に隠されるようにいくつかの横穴が見られるが、これが弾薬庫跡。
弾薬庫跡はどれも入口が塞がれているので中の様子は全く見られない。残念である。
窪みの中央にある広場のど真ん中にある陣屋跡。建物の土台だけが残っている格好だ。
この陣屋跡から周囲の土塁を見ると、なかなか結構な高さがあることが分かる。弾の直撃を食らう事がないようにわざとこのような造りにしてあるのだ。しかしそんな土塁の上を乗り越えて見えるフジテレビの球体展望台の姿が150年の時の流れを象徴している。