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品川DEEP「大井町」 (6) 肉のまえかわ

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駅前に戦後の闇市を彷彿とさせる居酒屋横丁「東小路」を抱えるなど、独特の風情を保つ下町「大井町」。品川駅の隣にあるとはとても思えない存在だが、本来の品川は根っからのド下町なのだということを再確認させてくれる街だ。

ただでさえ怪しさ満点の大井町・東小路の一角に、何やらオヤジエキスを濃縮したかのような立ち飲み屋がある。いや、正確には立ち飲み屋ではなく肉屋なのだが…



表に掲げられた「肉のまえかわ」と書かれた看板が辛うじて肉屋である事を示しているが、その様子を見ると肉屋の中が立ち飲み居酒屋となっているのだ。

恐る恐る、開け放たれた入口から中を覗いてみると、まだ宵の内にもならない時間帯から焼き鳥やホルモンを片手にビールを煽るオッサン連中が肉屋を占拠している異様な光景が拝める。皆、労働者風のいでたちをしているのが目に付く。ここは西成か?!
しかも入口周辺には「保健所の通達により店外での飲食用の販売はいたしません」「保健所の通達により飲食は店内でお願いします」との貼り紙が…
飲食店で保健所がどうたらこうたら注意書きが書かれているような店は初めて見た。

以前は店の外にまで酒飲みオヤジが出張っていて、今よりもカオスっぷりが凄かったらしい。目の前が商店街で、通行人や近隣の店にも迷惑だという声もあり、客も店の中で食うように注意されているようだが、そんなルールはあってないようなもの。やはり数人程のオッサンが外に出張って食っている。

ここでどうやって飲み食いするかというと、飲み物は店内の冷蔵庫から勝手に取って、肉屋の店員に金を支払えば良い。焼き鳥や焼肉の類は店の表で肉を焼いている店員に好き勝手に金を払ってオーダーすれば良い。上のメニュー表が焼き物メニューの全てだが、いちいち「よろしく」と書かれているのが意味不明。
あとは店内の冷蔵ケース内に生レバーなどのメニューも一部存在している。

システムは至極単純だが、よく見ると店員もどこの東南アジアからやってきたのかわからない外人の姉ちゃんだったりするので侮れない。注文するこちらの言葉も無駄にカタコトっぽくなってしまいそうだ。
しかも店員が無駄に若いのだが、未成年者を雇っているのか、この肉屋は?

注文した肉は焼きあがるまでかなり時間が掛かる。東南アジア系のお姉ちゃんが気長に一人でコツコツ焼いているのでビールをちびちび飲みながら待つのが良い。
その間に客のオッサン連中の会話に耳を立てると、やはりパチンコで負けただのろくな会話をしていない。人相も西成に転がっているオッサンのそれと寸分違わず、これが品川DEEPゾーン大井町の本性なのかと驚く。

肉のまえかわの向かいにあるたこ焼き屋も、ノリが東京のそれとはとても思えない。やっぱりここは西成の飛び地だ。

束の間のDEEPな時間を過ごした訳だが、結構飲み食いしているのに千円ちょっとで済んだ。それが立ち飲み居酒屋の醍醐味でもある。しかし保健所にもマークされている危険な香りがする店だし健全な男女のデートコースにはとてもおすすめできない。
大井町駅周辺には、焼肉、焼き鳥、もつ焼など、新鮮な肉が食える店が豊富にある。東京最大の食肉処理場「芝浦屠場(東京都中央卸売市場・食肉市場)」がすぐそばにある為だろう。
肉を食うなら、いざ品川区へ。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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