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東京の台所「築地」 (4) 築地市場の日常

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今や観光地になってしまったかのような築地市場界隈だが、年の瀬で忙しい頃にやってくると雰囲気はガラっと変わる。

平日ならば市場の従業員と小売業者が、休日ならば観光客がごった返す築地場外市場だが、年末の一時期だけはその双方が集まって凄まじいカオス状態になる。
元から築地で働く市場のオッサンからするとド素人の観光客は仕事の邪魔でしかなく、あからさまに観光客に敵意剥き出し状態で車ごと突っ込んできたりされる事もなくはない。殺伐とした年の瀬のひとコマが見られる貴重な時期だ。



年末の買い物シーズンには上野のアメ横あたりも凄まじい混雑っぷりを見せるが、築地の場合は普段の市場の営業中と言う事もあり、買い物客がごった返す中を荷物を運ぶターレットトラック(略してターレ)や自動車、原付バイクやらがひっきりなしに往来する。その姿はまるで東南アジア系のどこかの風景にすら思える。

平日か土曜日であれば築地「場内」市場も開いている。市場関係者だけではなく一般人も普通に入れるのだが、ここでもターレやトラックがひっきりなしに走り回っていて素人には危険だ。
場外市場方面から波除神社の横に来ると「海幸橋門」と呼ばれる入口の一つがあり、そこから場内に入る事ができる。

本当に普通の人間がうろついていいのか?というような場所でも観光客がどんどん入って来るのが近年の築地市場。東京都も「観光資源」としてセリの一般見学も開放しているのだが、マナーの悪い観光客のせいで業務に支障が出て市場の関係者と揉めるのは既によく知られた事。

セリ等は早朝に来なければ見られないが、普段の場内の風景は昼までなら見る事ができる。どこの店にも大量に置かれたマグロ。ひと仕事終えてややリラックス気味の市場の従業員達があちこちで談笑している。

築地市場は単体の市場としては世界最大規模のものであると言われている。関東大震災を契機に築地の旧海軍用地(敷地面積約23万㎡)に移転して出来たのが昭和10(1935)年、それから75年もの年月が過ぎている。

さすがに年末の時期にやってきた事もあって、ただでさえ迷路のような場内市場は人だかりでどこがどうなっているのか分からない状態になっていた。

世界最大規模の魚河岸というだけあって店の数もハンパなく多い。
場内市場の店舗は「イ」「ロ」「ハ」「ニ」と番号が付けられたブロックごとに区切られていて、これを各店舗ごとで平均3、4ブロック程度に分けて入居している。
それぞれの店の上には番地と店名が書かれているので、これを目安に移動すると良い。しかしそれでも場内市場の中は迷宮そのものだ。

これだけ広大な市場でも店が増えすぎているので、店舗の一部は屋根をはみ出して屋外で営業している所もある。何せ開設されて75年以上が経っているだけに施設全体の手狭さは言うまでもなく理解できよう。
他にも青果市場のエリアや市場関係者しか使わないであろう雑貨屋や日用品店が並んでいる所もあって、まるで小さな都市国家のような様相を呈している築地市場の場内。その辺も行っておきたかったが時間が無かったので次回以降探索しようと思う。

場内市場の近くには外食店ばかりがずらりと並ぶ一帯がある。どれも元々は市場関係者が普段使いで入るような店ばかりだが、近年はマスメディアに「築地グルメ」などと持て囃されまくりで、外国人観光客ばかりでなくスイーツ(笑)な一般客がハイヒールで行列を作るなど場違いな風景が見られるようになったという。

そんな一角に「吉野家」の店舗が。
吉野家なんかどこにでもあるやないか、というツッコミはさておき、実はこの吉野家は全国で初めて出店した一号店なのだそうだ(→詳細
なんで牛丼屋が築地で一号店やねん、というツッコミはさておき、吉野家が創業したのは明治時代(1899年)だったので、当時は築地に移転する前の日本橋の魚河岸だった頃からの店でもあるのだ。
なお、市場関係者を相手にした店なので、それに合わせた独特のオーダーマニュアルが存在している(→詳細
例えば、忙しいので一刻も早く飯を掻きこみたい場合は、冷ました白飯の意味で「ツメシロ」と言ったり、という具合である。他の吉野家ではせいぜい「つゆだく」止まりだが、築地店の場合はかなり細かい注文が出来る。
ここの吉野家一号店も、市場と合わせた営業時間で昼過ぎには堂々と店を閉めてしまうので、訪問の際は注意が必要だ。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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