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ダウナー感漂う負け組路線・西武新宿線「下落合」のしがない街並みと線路際の狭小ゼロゼロ物件

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新宿歌舞伎町(西武新宿駅)を起点に所沢、本川越までを結ぶ「西武新宿線」と言えば、人気の住宅地として家賃相場がべらぼうに高いJR中央線沿線の北側を並行し、そのお家賃の安さから本当は中央線沿線に住みたいけど予算の面で妥協して住む「負け組路線」扱いされる不遇の鉄道路線である。終点も新宿駅の手前でぶつ切れとなり乗り換え利便性も悪いので、実質的なターミナル駅は高田馬場。沿線はろくに高架化もされず通勤時間帯の開かずの踏切も酷いったらありゃしない。

そんな高田馬場から各停電車に乗って一駅、下手すれば高田馬場駅からも全然徒歩圏内にある隣の駅が「下落合」である。何と言っても字面が宜しくない。地名に「下落」の二文字だもの。負け組路線西武新宿線沿線としてある意味相応しい地名であるが、あまりに地味過ぎて存在自体を忘れていた。しかし先日たまたま下落合に立ち寄る機会があったので、少しぶらぶらとこの街をレポートしてみようと思う。

下落合、駅前に商店街がないんですけど

西武新宿線下落合駅で降りるも、まず目に付く所にまともな商店街がないのである。当方の経験上、ターミナル駅の隣駅は寂れている、という法則がここにも当てはまる。別に電車に乗るまでもなく、徒歩10分強で高田馬場にも行けてしまうので、そもそも商店街自体需要がないのかも知れない。

安定のド平面駅舎と道路をぶった切る踏切は西武新宿線沿線駅前風景のデフォルト。駅名を隠せばどこの駅前なのか余所者には全く分からなくなる。とは言え下落合駅周辺は通行人の姿もまばら。全く栄えてなどもいない。

下落合駅前一等地の食い物屋もこの通りの地味っぷり。東京にはよくある大手チェーン店が全く見当たらない。富士そばの一軒すらも皆無という奇跡の街並み。その代わり土着民しか利用しなさそうな渋い焼肉屋やラーメン屋なんぞが並んでいます。まあ普段遣いできるのはコンビニかマルエツプチ、どらっぐぱぱすくらいのもんですね。

あとは隣の高田馬場まで歩ける神田川沿いの散歩道。某三色旗教団の大作センセイゆかりの東京富士大学やさかえ通りまでは全然歩いて行ける程近い。

水害対策としてかなり深いコンクリート護岸の下を流れている神田川もある意味見ものである。新宿区落合(上落合、下落合、中落合、西落合)という地名自体も神田川と妙正寺川の合流点があるという所が由来である。

新目白通りを越えればそこはガチ高級住宅地ですが…

とは言え下落合の事を負け組路線だの下落だのと馬鹿にしてはならない。新目白通りの北側は「目白近衛町」という都内屈指のガチ高級住宅地も含まれた山の手のセレブタウンでもある。新宿区下落合の大部分はこうした住宅地であり、JR山手線目白駅西側一帯もそこに含まれる。

戦前には「目白文化村」とも呼ばれ西武グループ創業者の堤康次郎がこの地に豪邸を建てて自ら住みつき、ライバル会社である東急の田園調布、小田急の成城、東上線のときわ台に競うかの如く、日本のビバリーヒルズと称される郊外型高級住宅地を下落合から中井までの一帯にかけて次々整備していった。現在も「おとめ山公園」といったお上品な公園と大邸宅が立ち並ぶ街並みを目にする事ができるが…

やはり下落合と言えば西武線の駅周辺の神田川・妙正寺川という二つの川に挟まれた低地に広がる貧乏臭い住宅地のイメージが似合うのである。同じ町域なのに山の上と下でまるで住民の質が違うのは地形の起伏に富んだ東京の特徴的な風景であると言える。

そして山の上にそびえる手の届かない大豪邸よりも、川沿いの低地にびっしりと連なる貧乏人が住むしがない木造アパートの方が親近感も湧くのが当取材班の素直な心情。怪しげな家賃28000円からの激安ワンルームマンションの広告もこの界隈ではよく見かける。

西武新宿線沿線では珍しくもない平面交差の踏切の数々もこのような歩行者専用の狭小バージョンもあってバリエーションに富んでいる。こんなに小さな踏切でも電車通過時にはしっかり警報音が鳴って遮断器が降りる。

その傍らにはお約束の「いのちの電話」広告。鉄道自殺者を食い止める為に各社も頭を痛めているに違いない問題だが、西武新宿線に飛び込んで死ぬ人間も多く、西武新宿線はJR・私鉄をひっくるめると11位(東洋経済オンライン「過去10年における路線別の自殺件数」データに基づく)で、私鉄グモの王者である東武東上線には及ばないが、それでも上位組であるには違いない。その理由も東武東上線も西武新宿線も、共に高架化が激しく遅れているからに他ならない。

気になってしょうがない、線路沿いの狭小過ぎるゼロゼロ物件アパート

そんな物騒な感じも漂う踏切を横目に下落合駅前の西武新宿線沿いを歩いていると突然目に飛び込んできたこちらのアパート、傍目に見てもちょっとビックリするような建ち方をしている。線路際の際もいいところに随分無理くりな狭小アパートを建ててしまっているのだ。しかもお下品なピンク色の外壁塗装も逆にブラックな雰囲気を醸し出している。

線路に面した建物横手にはアパートの仲介を行っている新宿の某不動産屋の下品なカラーリングの広告がドドーンと掲げられ尚更ブラック過ぎてぐうの音も出ない。これ、西武新宿線や中央線沿いの貧乏臭い街にはかなり高確率でここの広告が張り出されていたり、同じ系列会社の管理物件のを見るのですが、さすがにこのレベルの無茶苦茶なアパートは下落合にしかない。

あまりに気になったのでわざわざアパートの玄関先まで見に行ってしまいましたよ。でも肝心のアパートの玄関がどこにあるのか、ここまで来ても判別が付かない。あ、手前のマンションの陰になっていて分からなかったですが、一番奥にちらりとピンクの壁が見えますよね。

このアパート、建物の横幅はせいぜい2メートルくらいしかない。普通の神経をしていればこの土地にはまさか家は建てないだろう、という常識も簡単に打ち破いてしまっている。まだ世間知らずな若い学生が住んでいるのならば良いが、うだつの上がらないオッサンの独居世帯だったりしたら絶望的にしか思えない住環境だな…


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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