新宿から京王線特急電車に乗っておよそ23分、武蔵国の国府があった歴史の街・府中を訪れた。
表向きに府中と言えば大國魂神社である。奇祭「くらやみ祭」が行われる事でも有名。
しかしもう一方では東京競馬場、多摩川競艇場などの公営ギャンブル施設、それに府中刑務所といった実に殺伐とした施設が密集する実に男臭い街なのである。今回はそんな府中の街の風景を見ようと訪問したわけだ。
府中駅から立派なケヤキ並木の通りが神社正面の大鳥居まで伸びている。傍らにはフォーリスという商業施設がデーンと建っていて、オシャレなオープンカフェまであって、おおよそDEEPな雰囲気とは無縁の風景が続く。
フォーリス前のケヤキ並木に沿って古い石碑や源義家公の銅像などが並ぶ。家族連れやカップルで賑わうスイーツ(笑)でリア充満開な光景に早くも萎えてくるが、気にせず前へ進む。
ちなみにここ「馬場大門のケヤキ並木」は大國魂神社参道の一部で、国天然記念物指定。見事に美しい都市風景であるが、本当に何のツッコミどころもなくてつまらないのでとっとと先を急ぐ。
大國魂神社の正面に来ると、その両側に伸びる御神木の巨大さに圧倒される。武蔵国の総社で、特に格式の高い東京五社の一つ(残りは東京大神宮、靖国神社、日枝神社、明治神宮)というだけのことはある。
大國魂神社境内には樹齢千年近い御神木が存在しており、近年ではテレビで「パワースポット」だのと紹介されるようになって、DQNが御神木の根を踏み荒らす事態になって神社が困っているそうだ(→大國魂神社からのお願い)
パワースポットなどという言葉が使われると途端に何でも胡散臭く見えてしまうものだが、この大鳥居の前に立つとそんな事はどうでもよくなってしまう。言葉で表現出来ない荘厳さがある。街の中心にこれほどまでの環境があるというのは、素晴らしいの一言に尽きる。
参道の右側に建設中の建物?が見えるのだが、そこの一角に「武蔵国府跡」の石碑が建っているのが見える。
ここ大國魂神社境内をはじめ周辺には武蔵国府跡を示す史跡が数多く発見されている。奈良や京都に匹敵する古い歴史がある府中ならではのものだ。
ひとまず府中市内のDEEPスポット訪問を前に、真面目に神社に参拝しておくことにする。悪い事をして府中刑務所に入れられませんように。競馬や競艇で家庭を壊しませんように。
沢山の参拝者が絶えない大國魂神社拝殿。境内は御鎮座1900年事業として随神門の改築工事が行われていて、参道から直接拝殿が見えなくなってしまっていたのが残念。