【ギャンブルタウン府中】ローカル感漂う西武多摩川線に乗って「多摩川競艇場」に行く

府中市

沿線に公営競技場が連なることで「ギャンブルライン」の異名を持つ武蔵野線の西の終点となるのが府中本町駅。この駅がある府中市もまた、府中競馬場や多摩川競艇場などが連なるギャンブルタウンとして名高い。隣の調布市にも京王閣競輪場もあって、博打好きなオッサン連中には色々と捗る地域である。

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そんな「多摩川競艇場」は府中市にあるが、最寄り駅は京王線ではなく西武多摩川線というやけにローカルな路線である。JR中央線武蔵境駅から出ている電車に乗って4つ目に、競艇場前駅というそのまんまなネーミングの駅があるのでそこで降りてみると、電車から出てくる客が見事にオッサンばかりである。

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競艇場前駅の改札を降りると、殆どの客は多摩川競艇場へ一目散に流れ込んで行く。一応駅の出入口もあるにはあって、小柳南町商店会という商店街とも呼べない程の通りもあるのだが、そっちに流れて行く客の姿はなかった。

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かなり淋しげな競艇場前駅北口。

西武多摩川線は西武鉄道の路線ではあるが、池袋線や新宿線といった西武線の本線とは結ばれていない独立路線。なんでこんな盲腸路線があるのかというと、戦前の明治43(1910)年に設立された多摩川の砂利を運搬する多摩鉄道が前身だからだ。

そして多摩川競艇場自体もかつての砂利採取場の跡を転用した競艇場なのである。

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駅前ロータリーにはこれ見よがしなスローガン看板。

「愛の手で築く非行のない社会」

存在自体がギャンブラーの為にあるような駅の真ん前にこんな看板を置かれても説得力ゼロな気もするのだがどうなんだろうか。

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駅から競艇場まで続く連絡通路。それ以外のものは何もない。

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その終端部分には「暴力団・ノミヤ・コーチヤ等の入場をお断りします」の看板もある。

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他には「酒に酔って他の人に迷惑をかけるのはやめましょう」の注意書きも。こういう場所柄でないとまず見かける事がない。さすが男の楽園。

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競艇場玄関前にはオッサン連中のたまり場である酒場が数軒仲良く並んでいる。これから一勝負する者あれば、勝った負けたと騒ぐ者もいる。そこに女性の姿は殆どない。

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そして競艇場の入口にはパラソルを立てて競艇新聞を販売する売り子達の姿が見える。

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いよいよ男の楽園・公営ギャンブル場に入り込むぞ、という「緊張の瞬間」。百円玉を改札口に直接入れて入場となる。これは全国どこの競艇場でもだいたい共通している。

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多摩川競艇場に入ってすぐ右側に、やはりお約束通り「競艇の父」笹川良一像が鎮座している。母親をおぶる笹川像は全国どこの競艇場に行っても必ずある。戸締り用心火の用心のCMが中年以上には有名。

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場内は競艇新聞片手に予想に興じるオッサン、意味もなくタバコをふかすオッサン、負けてしまったのか力なく寝転がるオッサン。どこを見てもオッサンだらけ。

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だだっ広い投票所の様子を見ると、モニターのオッズや予想屋のオッサンのホワイトボードを真剣に見つめる男達の姿がある。

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その傍らでは屋台料理を出す売店もある。焼きそばやポテトフライ、アジフライやメンチカツなど、殆どが安くて腹持ちの良い揚げ物ばかりになっているのは場所柄の問題だろうか。

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屋外のレース場に出る。そこも真剣な眼差しのオッサン達が突っ立っている。こういう場所には友人と連れ立って、という事もあまりないのだろうか、単独行動のオッサンが殆どである。

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多摩川沿いの砂利採取場をそのまま転用したというレース場。見た目は江戸川競艇場(中川の河川流域をそのまんま利用している)ほどのインパクトもなくごく普通である。

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多摩川の砂利採取は江戸時代から続けられ、大正末期~昭和初期にかけて最盛期を迎えたが、昭和30年代に規制されて、昭和40(1965)年には完全に禁止された。砂利採取の労働力もまた、多摩川競艇場に足を運ぶような肉体労働者のオッサンだったりする訳だ。競艇場に姿を変えるのは、ごく自然な成り行きだったかも知れない。

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そして多摩川競艇場の主催は地元の府中市ではなく、ここから遠く離れた青梅市(及び東京都四市競艇事業組合)である。なぜ青梅市なのだろうか。不思議。全国各地の競艇場は利用者の減少で軒並み経営状況が逼迫しているそうで、多摩川競艇場もいつ廃止されるのかという噂もあるそうだが、今の所は大丈夫なようである。

ちなみに多摩川競艇場へは西武多摩川線以外にも、南武線・武蔵野線の府中本町駅からの無料送迎バスも出ている。これを使うと競艇場と東京競馬場の2ヶ所がハシゴ出来てしまう。なんというギャンブル天国なのだ、府中市。

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