品川DEEP「旗の台」 (3) 駅裏ボロアパート壱興荘

池上線駅前から南側に続く旗の台三丁目商店街から大井町線のガード下を潜ると、ふれあいロードというありきたりな名前の商店街と交差する。
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ふれあいロード商店街自体は普通な感じで特にツッコミどころもないが、角の「みやこ書房」を目印に直進すると旗台小学校とその裏手にある窪地ボロ住宅群、さらにふれあいロードと並行する大井町線の駅裏には何とも怪しいボロアパートが隠れている。


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ふれあいロードに入り道なりに西側へ進んでいく。普通に商店やコンビニややや古臭いマンションなんぞが並んでいるだけで別に普通だ。
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そのうち池上線の踏切と交差してその先の稲荷通りに商店街がずるずる続いているがその手前に一つキョーレツな見所があるので素通りせずにチェックしたい。古いコインランドリーがあって街並みに下町臭さを添える。
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稲荷通りとふれあいロードの間をぶち抜く池上線の線路。ひっきりなしに五反田と蒲田の間を行き来するボロ車両にそこはかとない場末感。「池上線が走る街にあなたは二度と来ないのね」の歌詞とメロディがエンドレスで脳内を駆け巡る、この昭和丸出しの世界。
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そんな池上線の車窓の風景に似合うのはどうしようもない場末の酒場とくすんだモルタル壁。DEEP東京サウスの街並みは、洗練された都会の風景とはまるで無縁である。いかに自由が丘がオサレになろうとも池上線沿線はゴーイングマイウェイ。
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池上線と大井町線の線路に挟まれた一角に、これまた戦後のドサクサ風味なモルタル塗りのオンボロ長屋が連なっている。1階がスナック、2階が住居というのがいかにも的である。洗濯物も干されていたり生活臭が鋭い所もどこか生々しい。
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零細工場が多く精力のあり余った労働者の男衆が多い品川区では西小山や五反田のように戦前の花街の名残りのような話を聞くが、もしかすると旗の台にもその手の街がひっそり隠れていたかも知れないと思わせるに充分の貫禄だ。
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さらにふれあいロードに面する土地が大きく穴の開いたようにコインパーキングと化していた。問題なのはその奥に見える一層ボロ具合が極まったアパートである。あれは一体何なのか。鬼の棲家か。
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コインパーキングの裏側にある駅前駐輪場の向こうに、まるで闇の世界への次元の扉のような佇まいのアパートの入口が見える。恐らく大昔のタイプそのままの共同廊下があるアパートだろうか。「壱興荘」という名のアパートは駅徒歩1分という破格の利便性。風呂なしでキッチンやトイレも共同かも知れんな。
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アパートの玄関口に近い側の駐輪場のフェンスには洗濯物が干されていた…「壱興荘」の住人の暮らしぶりは一体どんなんだろう。
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アパートの玄関口への唯一のアプローチがこれ。本当にこれが平成の世に残るアパートだとするなら凄まじすぎる。家財道具ろくに搬入出来んじゃん。どーすんのこれ。
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そんな壱興荘の前はエアポケットのように人の立ち入る事のない空間になっていて、アパートの住民が使っているであろうゴミ箱が並べられていた。「UNBURNABLE もえない」…と下手くそな平仮名で手書きされたゴミ箱、きっと出稼ぎ外人が住んでいるのかしらね。
5年くらい前にテレビでオンボロ激安物件として「壱興荘」が紹介されたらしく、放送された内容によるとどうやら気になるお家賃はたったの13000円らしい。都営住宅やドヤ住みの貧民どころかネットカフェ難民すらビックリのお値段異常アパート、それが壱興荘なのである。今でも空きがあるかどうかは分からんが。

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