品川区旗の台・旗台小学校南側の窪地住宅群 (1)

まだまだ品川区旗の台界隈の街並みレポートは続く。商店街や路地裏ボロアパートのハイグレードさに笑いが止まらない訳だが、旗の台にはまだ見て回らねばならない物件がある。
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それが旗の台駅南側、ふれあいロードの先にある品川区立旗台小学校に隣接する土地だ。商店街を過ぎるとすぐさま住宅地となり、緩やかな上り坂がある。


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旗台小学校の敷地に差し掛かり、学校に沿って左折すると再び街路は下り坂となる。傍から見てもごく普通の街並みにしか思えない訳だが、学校の校庭と向き合う一部分だけが窪地となっており、その一部分だけに狭小住宅群が不自然に密集している場所がある。
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窪地の底にあたる場所に並ぶ住宅群、これが今回の目的地だ。途中まではそこそこ立派な一軒家ばかりだったのがこの区画に来ると急に小さなボロ家屋だらけとなる。
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古びた木目調のサイディングが施された民家は既に人の気配がないらしく廃墟同然の佇まいを見せていた。そこには古い住居表示のブリキ看板が置かれていた。品川区旗の台4丁目8。それはこの土地の住所となる。
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2階建てにはなっているが見た目にもかなり見窄らしい外観を持っている。戦後のドサクサで建てました的な匂いが強い。都内では杉並区和泉の水道道路上のバラック民家群というのがあるが、それに感覚的には近いかも知れない。
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道路に面して水道工事業者が一軒だけ店を開けているがその他は全て一般民家ばかりである。
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真向かいには旗台小学校の校庭、校舎がよく見える。最近整備されたらしく学校敷地との境目になるフェンスや歩道が真新しい。
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気がつかなければそのまま通り過ぎても何の印象もないような街並みだ。しかしこの場所だけに古い狭小住宅が密集している風景は意識して見ると確かにバリバリ違和感を感じてしまう訳だ。一体なぜこの場所がこうなったのか、気になる。
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さらにこの狭小住宅群は表から見るだけでもちょっとビックリしそうになる程糞狭い路地が幾重にも続いていて、さらに奥の方にもびっしり長屋らしき民家が連なっているのだ。これは本格的に凄い。容赦ない密集率の高さだ。
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意を決してその細い路地に足を踏み入れる。赤の他人同士の生活空間がごく近距離で向き合う濃密な空間。今どき墨田葛飾あたりの東京東側のスラム街でもここまで極端な狭小住宅が密集した場所はあまりお目に掛かった事がない。
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長屋住宅群は一軒あたりせいぜい2~3メートル、広くとも5メートル程の間口しかなく、あまつさえ洗濯機は外置き。ただでさえ狭い路地に洗濯機が各戸の前に置かれている為に普通に通り過ぎるだけでも玄関先の家財道具にブチ当たりそうになる。
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元麻布二丁目本光寺裏高輪高野山裏、そして四谷鮫河橋スラムの流れを汲む新宿区若葉・南元町…都内の狭小住宅群を色々と見たが旗の台のこの物件は狭さでは圧倒的である。
恐らくこの密集率では部屋にまともに日光が当たる事もないだろう。平成の大都会東京にも人々の想像を超える長屋暮らしを続けている人々がいるのだ。

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