渋谷・新宿とともに「山の手三大副都心」に数えられて久しい「池袋」の街。しかしその中でもどこか垢抜けない感じがするのが否めないのは気のせいだろうか。
JR埼京線・湘南新宿ライン、東武東上線、西武池袋線、東京メトロ有楽町線・副都心線といった鉄道路線は全て埼玉県方面からここ池袋へと伸びている。そのため一部からは池袋は「埼玉の植民地」と呼ばれてもいる。
オシャレの最先端で若者の街である渋谷、日本を代表する大繁華街である新宿がメインカルチャーでポップカルチャーであるとするなら、垢抜けない池袋、埼玉の植民地である池袋はサブカルチャー的な存在であり、そのためか知らぬが秋葉原と同じように各方面のオタクが集まりやすい土壌を形成している。
で、休日に池袋西口公園の広場に降り立つとかつてのアキバと同じように路上パフォーマンスを繰り広げる腐女子アイドル達とそれを取り巻くむさ苦しいオッサンどもで占めるギャラリーの皆様とのフレンドリーな交流の一部始終を拝む事もできる。
秋葉原は例の無差別殺傷事件が起きて以来歩行者天国が廃止となり、その波を受けてアキバでやりづらくなった分が池袋に流れてきているようだ。
池袋がヲタ街であるのを見る事が出来るのは、やはり東池袋である。サンシャインシティに隣接する東池袋中央公園の向かいの道沿いにはアニメ関連グッズを扱う店が数店舗ズラズラと軒を連ねているのが見えるだろう。
交差点付近にはやたらとアニメグッズ専門店の看板が目立つ。
ここらは「乙女ロード」と呼ばれている一画だ。
この場所に限っては同じヲタ街でもアキバのような全方向的ヲタ街とはまた一つ違った展開が繰り広げられている。
「乙女ロード」にあるアニメグッズ専門店、その多くが所謂「腐女子」向けの同人誌専門店となっている。
特に「まんだらけ」の店舗に至っては完全にソッチ向け。薔薇の花をあしらったいかにもな作りのゲートを潜り地下店舗に入り込むとそこには乙女とも呼べるかどうかわからん身なりの微妙な女子一同が「やおい本」目当てに鼻息も荒く地下店舗内を徘徊する非常にバイオハザードな風景を堪能できる。
別に男子禁制ではないが客も店員も女ばかりで異様な雰囲気だ。男一人で入るのはある意味勇気が要る。なおこれらの専門店はコスプレ衣装を扱っている店舗も多い。
映画「腐女子彼女。」のポスターにあるような美形の腐女子なんかいませんからw
乙女ロード自体は非常に目立たない存在なので意識しないと通り過ぎてしまいそうなくらいだが、男のヲタ趣味のように開き直る輩が多いのとは対照的に女のヲタ趣味というのは大抵人に隠したがるものである。
乙女ロード周辺には他にも完全予約制の「執事カフェ」もあり腐女子どものささやかな欲望を叶える供給源に溢れている。(→詳細)
乙女ロードに限らず池袋にはヲタ向け店舗が多いが、エロ漫画出版社「コアマガジン」の直営店まであって笑ってしまった。個人的にはエロ漫画よりも「別冊BUBKA」とか「中国驚愕大全」などのサブカル本が欲しかったが、どうやら漫画本に専念している店のようで。
乙女ロード周辺ではついでに「メイド耳かき」の店や猫カフェなどもあり、やはりアキバと似たような状態になっている。耳かきは人にやってもらうとなんであんなに気持ちいいんでしょうねぇ。やってもらおうかと一瞬思ったが財布の中身を見て引き返してしまった。
ヲタ街と直接の関連性はないかも知れないがラーメンの薀蓄を語らせるとそこらの生半可なヲタでもドン引きしてしまうマニアが多く存在するのがラーメンマニア道の世界だ。
池袋に来るとラーメン屋の前にアホみたいに行列をしている人々の姿をあちらこちらで見る事が出来る。
中でも最凶レベルの行列の長さを誇るのがつけ麺の元祖とも言われる「東池袋大勝軒」。46年間の歴史があるそうで休日はラーメンを食うのに2時間や3時間もの行列に絶える程の店だったらしい。(→詳細)
一時期は、店の敷地が再開発に伴う立ち退きに迫られていた事、それと店主であり「つけ麺の生みの親」と言われる山岸一雄氏の高齢による引退を理由に一年間店を閉めていたのだが、首都高の高架下にある今の店舗で復活営業をしている。(→詳細)
ご覧の通りの太麺と酸味の強いスープで、なかなか麺が多量にあるので並盛でも十分腹が膨れる。
東京各所に「大勝軒」の暖簾を掲げる店があるが、この東池袋大勝軒の系列とそうでない系列の永福町大勝軒の二つがあり、かなりややこしくなっている。そのへんの事情はラーメン二郎と似たようなものだろうか。