東京都千代田区神田神保町。日本で最も古書の集まる街。むしろ日本どころか「世界最大の書店街」とまで言われる。歴史的・文化的価値の高い書籍・店舗が集まる地域だけあって、戦時中は米軍の空爆禁止区域に指定されたというほどの場所だ。こんなDEEPな場所を今まで当サイトは見逃してしまっていた。
古書の街として神保町が本格的に発展を見せたのは大正時代からのようだ。さすがに「空爆禁止区域」扱いされたことで焼け野原になることもなく、現在も戦前の古い建物が多く残る貴重なエリアである。
神保町への最寄り駅には地下鉄半蔵門線・都営新宿線・都営三田線の駅があるが、地下鉄東西線の九段下駅、JR水道橋駅からも徒歩で行ける距離にある。
古本の街神保町の賑わいは靖国通りに面した一帯を中心に、一本南に入った「神田すずらん通り商店街」、神保町交差点を北に入った白山通りと、広範囲に及ぶ。古本屋だけではなく集英社など大手出版社関連のオフィスも数多く立ち並ぶ。
特に水道橋寄りの一帯には日本大学や専修大学を始め多くの大学キャンパスがあり、学生街としての側面も併せ持つ。なんだかそこに居るだけで頭が良くなりそうなエリアです。
本屋や大学に限らず、喫茶やレストランといった店も有名どころが多い神保町。すずらん通り商店街に行くと色々と気になるお食事処がございますが…
中でも、餃子専門店「スヰートポーヅ」はいつ店の前を通っても人でごったがえしている。先代の主人が戦前の満州で修行し、現地で開業した後、昭和11(1936)年、神保町に店を開いてから70年余りこの場所で餃子を焼き続けているという。餃子専門店では老舗中の老舗ですな。
古書店街神保町においては、古本好き人間が本を読みながら片手でお行儀悪く食べやすい料理を出す店が多い。例えばカレーとか。
カレーライスや餃子もいいが神保町独特なのが、やたら年季の入りまくった喫茶店の数々。中でも存在感があるのが、地下鉄神保町駅の出口を上がった真ん前に立つ「喫茶さぼうる」。通りのごく一部だけがやけに鬱蒼とした山小屋と化している。
店の入口には謎のトーテムポールと赤電話。やけに年季が入ってるなあと思ったら50年以上もの歴史を持つ老舗の喫茶店だった。
ドラマや映画のロケにも度々登場する有名な店で、映画「失楽園」では出版社勤務のしがない中年サラリーマンである主人公・久木(役所広司演じる)が度々仕事をさぼってこの店を訪れるシーンがある。
さらに近くの路地裏に入ると「ミロンガ」「ラドリオ」という二軒の喫茶店がひっそり佇んでいる。二軒とも「さぼうる」とはまた違った年季の入り方をしていて面白い。昔ながらの、大人の喫茶店、大人の社交場。
世界最大級の書店街と言われる神保町では出版社のオフィスも集中している訳であるが、出版社と言えば言論と表現の自由に基づいて仕事をしている方々なわけで、となると当然宗教や政治思想といったコアなジャンルの方々も集中するというのも、自然な話ではないか。
神保町の界隈を歩いていると、かなりコアな団体のオフィスや店をちらほら見る事ができる。
まず一番目立つのは「救世軍本営」の建物だろう。救世軍はプロテスタント派キリスト教系の宗教団体であるが日本ではあまり有名ではないものの、年末の寒い時期を中心に信者らが街頭で三脚に鍋を吊るして寄付を募る「社会鍋」を展開している風景を見かけた人もいるかも知れない。あの団体の本拠地なのだ。
軍隊式の組織を展開しているのが特徴の「救世軍」、もともとはイギリス発祥の宗教団体であり、日本においては100年以上の歴史があるが、今でも日本よりも海外での活動が盛んである。海外でも同様に、貧困者階級の救済を活動の軸として捉えている。
神保町の書店街は白山通りを北上した水道橋寄りの西神田エリアにも広がっている。日本大学など大学キャンパスが近くにあるため徐々に古本屋なども大学の赤本があったりと、アカデミックな様相を呈するようになる。