巨大ターミナル駅の隣の駅というのはなぜか魔界の入り口だったり都心の裏の顔を見せている事が多い。この神田駅も例外ではない。
神田駅は東京駅のすぐ隣にあるにも関わらず、日本の中枢東京都千代田区らしからぬ猥雑さと仄暗さを匂わせる町並みが残っている。
京浜東北線と山手線、それに中央線快速電車が止まる駅であり、新宿方面から上野に行く時や人混みの多い東京駅を避けたい場合にこの駅を使う客がいるが、日曜日の昼間に訪れると駅周辺は驚くほどひと気が少ない。
神田駅を降りるとまず目につくのが巨大かつ重厚で歴史の重みを感じさせる高架下の風景である。
そこにはびっくりするほどオンボロな居酒屋がこびり付くように残っている。
神田駅周辺も基本的にはオフィス街であり定住人口はとても少ない。日曜日は街が死んだようになっている。
日本の首都であり中心地である東京駅の隣というロケーションなのにこの駅前。改めて驚きを隠せない。
神田駅から東京駅方面に歩いていく。高架橋の上はまさに日本の大動脈。
毎日凄まじい数の人間が行き来しているはずなのだが、その鉄道の下はまるで人々に忘れ去られたかのような時間が流れている。
見た目やたら工事中なのだが、古めかしい高架下のアーチが剥き出しになっているのを拝むことができる。
橋の下は昔ながらの煉瓦造りになっている。
神田から御茶ノ水、東京駅、有楽町、新橋にかけて、高架下に見事な程に古い煉瓦造りを見ることができるが特に神田駅周辺のものはそのままの形で残っているようだ。
その上をひっきりなしに電車が走り抜ける。恐らく半世紀以上の間、膨大な数の電車の往来を支え続けた高架橋の存在を立派だと思う事はないのだろうか。
高架下には、アーチ型の煉瓦造りに合わせるように倉庫や店が立ち並んでいる。「肉のハナマサ」の店舗も、日曜日の昼間ともあれば意外と閑散としている。
そんな神田の高架下でもとびっきりの名物なのが「今川小路」と呼ばれる戦後の時代から生き続けたガード下飲食店街である。