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【川崎市】南武線と京急線が交差する廃れた下町「八丁畷」駅周辺を歩く(2009年)

川崎駅のひとつ隣に八丁畷という駅がある。京急とJR南武線がクロスしている駅だが、京急は各駅停車しか止まらないため、繁華街である川崎駅に程近いにも関わらず寂れた感じのする駅だ。

八丁畷駅は京急とJRの乗換駅にもなっているがJR側は駅員もいないし、そもそも京急の改札内にJRの駅があるという変わった構造になっている。南武線に乗りたい場合も京急の改札を通らなければならない。

SuicaやPASMOを利用する場合はホームの脇に設置されている改札機にタッチする必要がある。八丁畷駅から乗る場合は京急の改札を通した後に黄色の改札機にタッチして、逆に降りる場合は「京急線のりかえ」と書かれた青の改札機にタッチしてから京急の改札を通って駅の外に出るのだ。

もし操作を間違えたら大回りした高い運賃が差し引かれてしまう。こいつはややこしいぞ。

川崎の臨海工業地帯から貨物列車が頻繁に走る南武線の尻手駅から分岐して浜川崎駅まで伸びている「南武支線」の駅からは、本数は少ないものの旅客用電車の運行もある。平日朝夕は臨海工業地帯への通勤の足となるが、休日は貨物列車を撮影するカメラ小僧の足となる。

とはいえ駅の利用者はもっぱら京急の乗客ばかりである。南武支線はあまり実用性がないので京浜急行の電車に乗っていても乗り換え案内のアナウンスもない。

八丁畷駅前に降り立つと目の前にあるのがこの踏切。常に見張り役の係員が居るのには訳がある。2003年にこの踏切で起きた人身事故である。駅前にあった古本屋で本を万引きして店員に捕まった少年が、引き渡さそうとした警官のもとを逃れこの踏切を無理矢理横断しようとして電車にはねられ死んだというもの。

この事件では当時マスメディアでなぜか古本屋に対して批判が起こり、嫌がらせの電話が相次いだりもしたため古本屋も店を閉めてしまうという事態にまで発展したのだが、古本屋を叩くマスコミはおかしいと2ちゃんねらーを中心としたネット住民の反発から古本屋を激励する声も挙がり、それを受けて古本屋は再開するも結局再び廃業してしまった、そんな経緯があったのだ。

しかし駅前にあるのは潰れたままの古臭いパチンコ屋だったり、近くには日進町というドヤ街もあるし、江戸時代には宿場町の町外れだった土地で墓場として使われていたので大量の人骨が出土されたりして慰霊碑まであるし、どうにも因縁めいた土地だ。古本屋を経営するには場所柄としてはあまりにも微妙すぎる。

駅前からいきなり廃屋かと思ったら1階のタバコ屋にはばあさんが置物のように座っていてびっくりした。

駅北側には豪華マンションが建っているかと思いきや、戦後のドサクサで建ったままになっているようなトタンバラックの姿も見かける。新旧入り乱れてます。

八丁畷駅の裏手に入るとまたしても古臭い路地裏が現れる。工業都市川崎らしい町並みは一つの時代が走り去った跡が残るものの皆ことごとく寂れきっている。

少しアメリカ国旗の構図に似てなくもないデザインの「八丁畷駅前飲食街」の看板。

中に入るといかにも場末のスナックが立ち並ぶ怪しい空間だ。非常に小さな居酒屋密集地だがなかなか濃い風景を残している。

この飲食街に沿った南武線の高架下にも、すっかり古びてしまった駅前商店街が並んでいる。

京急八丁畷駅の改札を出てすぐ右後側に回ると、なにやら商店街らしい通りが現れる。「八丁畷商栄会」と書かれたアーチがあり若干店が並んでいるようだ。

すぐ隣に川崎駅があって皆そちらに人が流れてしまうからかも知れないが、やはり駅前は活気に乏しい。大きな駅に隣接する駅はたいてい寂れているという法則は八丁畷駅前にも当てはまるようである。

南武線の高架下にも何やら商店街らしきものがある。昔ながらの電気屋や飲食店やら、昭和の時代のまま取り残されたような一角に佇むガード下商店街の存在。興味をそそられる。

目の前に立ってみると、やはり期待していた通りのガード下商店街だった。

その名も「八丁畷ショッピングセンター」

しかし手前の電気屋と奥のほうにあるお茶屋以外はほぼシャッター通りという絶滅危惧種的存在なのだ。

商店街の反対側のガード下もなかなか香ばしい物件がある…と思ったが、どうやら介護サービス施設のようである。

怪しい雰囲気を放っていたのは謎の「電界光線治療器」のチラシが張られていたからだ。「医療用マイナスイオン」などと書かれていてますます怪しい(笑)

八丁畷ショッピングセンターの中に入ると、入り口左手の電気屋の上にはいつの時代のものか、年代ものの「ミュージックパブ」もあってかなり雰囲気が凄い。

反対側の出口には場所柄に似合わぬメルヘンチックな「きらきらぼし」もある。こちらはカラオケバーか。シャッターが閉まったままだし、この手の店は夜に来なければ様子が分からない。

時折近隣住民が足早に通り過ぎるだけで見向きもされないシャッター街。そこはただ哀愁のみが漂う空間と化していた。

結局お茶と電化製品以外に買い物ができない微妙な「ショッピングセンター」なのだが、もう一つ道路を挟んだ商店街の奥はもっと悲惨なことになっている。

商店街の奥に行くと明かりすらも消えて真っ暗闇の中に沈んでいたのだ。もちろん開いている店舗は一つもない。これは悲しい。駅北側に巨大マンションも出来ているし、人の流れを変えればもう少し活気付いてもおかしくないような場所だが、どうも八丁畷という土地は陰気臭さが拭えない。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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