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清澄白河駅前・旧東京市営清澄庭園店舗向住宅

半蔵門線の清澄白河駅で降りる。清澄庭園や深川江戸資料館といった施設がある深川エリアでもコアな一画だが、今まで殆ど来る用事もなかったような場所だ。
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この清澄庭園も紀伊国屋文左衛門の屋敷跡だったというし明治時代から庭園として整備されていた由緒ある場所なのだが、我々取材班は庭園見物が趣味という訳でもない。それよりもこの庭園の周囲を取り巻くように関東大震災後に建てられた戦前建築が連なっている場所があるというので見に行く事にした。


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その名も「旧東京市営清澄庭園店舗向住宅」。昭和3(1928)年に建設された全48戸の店舗兼住宅である。
関東大震災で清澄庭園は大きな被害を受け、明治期から庭園整備をしてきた三菱財閥の岩崎家が東京市に庭園の東半分を公園用地として寄贈、その後東京市により防災目的で建設された住宅という事らしい。
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見た目にはかなり改装されていたり建て増しされまくっているので遠目から見るとそれほど特徴的には見えない。特に1階部分なんかフツーの店舗群でしかないが、2階部分に目を凝らすと昭和初期のモダンな意匠が使われた箇所が結構残っている。
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2階部分のいかにも昭和レトロモダンな感じのアールデコ風装飾。これが長屋になった店舗兼住宅の随所に残されているのだ。すごく地味だけどこんな所に思い掛けないレトロ物件が存在していたんだな。
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一部長屋が途切れて建物の横っ面が見えている箇所もある。飲食店だったり薬局だったり入居している店はそれぞれだが、住居ゾーンは2階と3階に跨っていて結構一つ一つがでかい。
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元々は関東大震災後に避難してきた住民が勝手に建てたバラック小屋を当時の東京市が整備して防災住宅に変えたのが始まりだという。かれこれ築80年となる代物だが過剰に頑丈な建物はまだまだ現役っぷりを見せびらかしている。
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成り立ちは東京市が建造したものだが戦後になり所有者に売却されているので現在はそれぞれ所有者の私有地という事になっている。一部は老朽化のためか取り壊されて、48戸あったものが現在では数戸減少している。
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清澄通りの西側一面にずらりと並ぶ商店ビルに沿って歩く。前を通りがかるだけなら気づかずにスルーしてしまいそうな地味さだが2階部分に注目。アールデコ風な装飾が一戸一戸共通しているのが一目で分かる。
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外壁が一戸ごとに違う色に塗り替えられていて個性をアピールしている。新たにタイル貼りが施されたり1階部分の玄関周りが全く別物になっていたりと時折アレンジ具合も激しい。
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見れば見るほど築80年を感じさせない頑丈な作りに息を呑む。関東大震災がいかに強烈な災害だったか、それを裏付けるかのようだ。
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比較的改装が加えられていない店舗の2階部分。変色したコンクリートの劣化具合はさすがに激しい。先日の東日本大震災の揺れにも耐えたようだし、まだまだ取り壊される時期ではないようだ。
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ちなみに同時期に各地に建造された同潤会アパートも殆ど取り壊されてしまい現在は台東区の上野下アパートを残すのみとなっている。それと比べるとここの現存っぷりは結構凄い事かも知れない。
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清澄通りに沿っておよそ200メートル程、この独特な建物が連なる光景が残されている。地味な場所だけに目立ちにくいが、これだけの規模で戦前建築がガッツリ残ってる場所もそうそう見当たらない。
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どうでもいいけど近所にあったリフォーム屋のビルのキャッチフレーズに笑ってしまった。
「変えるなら奥さんよりも壁の色!」
奥さん替えなきゃいけないなんで深刻な話ですが平然とキャッチフレーズにしちゃうのは地元のリフォーム店「ささき」。きっと戦前建築の店舗向住宅の壁の色もこの業者が塗り直したのだろうな。
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至る所に同じフレーズの看板が…できれば奥さんも建物も長持ちした方がいいですわね。オホホホホ。

東京の近代建築
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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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