JR京浜東北線に乗って東京都心から電車で30分そこそこで来られてしまう埼玉県南部の街、川口市や蕨市一帯が外国人労働者の集住地域となっている事は何度も当サイトで紹介しまくってきたわけだが、近年は外国人タウン化の傾向がより一層加速している。
埼玉の新興チャイナタウンとしてもはや観光名所になりつつある西川口の一つ先、蕨駅周辺もまた「芝園団地」という一大マンモス団地がチャイナタウン化している事はもはや説明の必要もなかろう。一昔前は住民の3割とか4割が中国人だと言っていたのに、最近じゃ5割だの6割だの“半数越え”だという話になっている。“植民地化”捗ってますね…
東京に近いのに地価がやたら安い、長年続く共産党市政、そんな特殊事情からか蕨市には低所得者層の労働者世帯の流入が顕著でもあり、蕨駅周辺の食い物屋もそんな事情が反映されていてお安く腹いっぱい食える食堂とかも多いんですが、最近では西川口同様中国人経営の飲食店が増えてきた。周黒鴨ならぬ「小黒鴨」ですか…
蕨西口に爆誕、インスタ映え系オサレ中華スイーツ店
今回再訪した蕨駅西口にも近い一角に、そんなチャイナタウン化の波が押し寄せる最前線の現場たる、これまでお洒落要素の欠片もなかったような蕨の街らしからぬシャレオツで「現地感」漂いまくっている食い物屋が出来ていたので紹介したい。蕨陸橋西交差点のあたりっすね…
それがこの「街角小桟」(マチカドショウサン)なる中国人経営の食い物屋。…あれ?これって西川口駅西口ロータリーにあった、同じ名前の系列店じゃないですか。いつの間にか蕨西口に二店舗目を進出させていたのであった。しかも結構広々とした店構えである。それと前に訪れた西川口店では“マチカドショウコ”という変な日本語表記があった記憶があるが、どうも日本語での読みを正しく改めたようだ。
店のガラス窓には何やら不自然な日本語のポエムが数々と記されていて得体の知れない怪しさを醸し出している。「君のそばに居たい 世界が終わるまで」って、どこぞのJ-POPジェネレータから自動生成でもした歌詞のようなフレーズだな。
この「街角小桟」で主に扱っているのは台湾発祥で現在日本国内でもバカみたいに流行しまくっているタピオカミルクティーと「芋圓」なるスイーツである。東京とか神奈川のひと気のやたら多い駅前やモールにある「貢茶」だの「Chatime」だのの店の前に若い女がアホみたいに行列しまくっているのを見るが、ここに来れば行列ナッシングですよ。さすが、コスパで選べば埼玉一択。
早速イマドキ感漂うシャレオツな店内に入る。六畳一間のような狭い空間にカウンター席だけしかない西川口店とは違って無駄に開放的すぎる。注文を受けるカウンターの前がガラガラすぎて、もっと座席を置けばいいのにと商売人の目線でお節介な事を思うのだが、これで間に合っているのか。そもそも店でたまっている客もあんまり居ないし、居たとしても持ち帰り客が多いようだ。
店舗の奥の一角には“カワイイ系”丸出しの、ピンクのパステルカラーの壁で統一された向かい合わせのカウンター席もある。第一号店となる西川口店はいかにも中国の街角にありそうな甘味スタンドだったが、店内空間の快適さはこちらの方が上か。
インスタ映え女子も喜ぶ店内空間、日本語がもれなくおかしい件
そんなカウンター席にはあからさまな「インスタ映え」客向けの顔ハメ看板までご丁寧に置かれている始末。客層はほとんど蕨住みの中国人ばかりで、こういう小細工を喜んで写真を撮るような観光客っぽい女子の姿がない。いささか空回りしている気がする。こういうイマドキっぽいセンスのあるものとは今まで無縁の街だしなあ、蕨。
早速、あんまり日本語がわからなさそうな若い中国人の男性店員にカウンター越しにオーダーを入れる。店の壁に書かれている“ポエム”も中国語より日本語が上に来ているが「この街角に転がって あなたに会えるように」ってなんじゃその日本語は。
まずはタピオカミルクティーと「オルレアン焼き鳥」なる謎の揚げ物系メニューを注文。食い物のジャンルがジャンルだけに、特徴を言えと言われても難しいが、可も不可もないってところか。甘味以外では揚げ物類や串が食えるので小腹を満たすにもちょうど良い。390円のタピオカミルクティーは相応にせよ、焼き鳥は小さいものが2本で350円、蕨価格にしては高い。
タピオカミルクティーが入ったカップにも、J-POPジェネレータで生成したような怪しげな日本語がプリントアウトされている。「君の名は」ブームに便乗してませんかこれ。“てにをは”が全然出来とらんぞ。もうちょっと日本語の勉強をした方がいい。
次いで、果物たっぷりの「水果芋圓」(650円)を喰らう。ココナッツミルクの汁に水分の多いドラゴンフルーツやらスイカやらの果物類がどっぷりと浸かっている。これだけでちょっと腹一杯になってしまいそうですね。夏場に食うにはいいんじゃないでしょうか。身体冷えすぎないしね。
ちょっと“インスタ映え”狙い的に携帯カメラを斜めにして撮影すると雰囲気が出るのではないでしょうか。テーブルの上をよく見りゃどこぞの豚のアニメキャラが勝手に使われてますけれども、ここはパスポートのいらない中国なので無問題であるものと思われる。ともかく、無駄な行列や混雑なしで中華スイーツ片手に優雅な昼下がりを過ごすなら蕨に行こう、という謎の選択肢が出来てしまったようだ。近隣の専業主婦な方々にお勧めしたい。