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都内で唯一鉄道が通らないマイナー過ぎる街・武蔵村山市の「村山団地」が超絶レトロだった

東京都多摩地方に唯一「鉄道が通らない市」がある。それが都内屈指のマイナー市「武蔵村山市」だ。多摩地方北部に位置し、北隣には狭山湖や多摩湖を隔てて埼玉県所沢市が、西隣には西多摩郡瑞穂町、それに福生市に属する米軍横田基地、東隣には東大和市、南隣には立川市に属する砂川地区が隣り合っている。新宿から青梅街道をひたすら進むと車で片道1時間もあれば着くが、鉄道は西武拝島線の玉川上水~西武立川までの各駅、多摩都市モノレールの終点である上北台駅が近くをかすめているものの、市内に鉄道網は通っていない。

武蔵村山市 上北台

人口約7万人の武蔵村山市、かつては昭和37(1962)年から操業開始した日産自動車村山工場がある企業城下町だったが、2001年に当時のCEOであったフランス・ルノーの「コストカッター」カルロス・ゴーン氏のリストラ計画による号令のもと閉鎖され、跡地はイオンモールと宗教法人真如苑が所有する広大な空き地に変わった。

主力産業を失った格好になった訳だが、日産の社員やその他諸々の労働者は栃木工場か横須賀の追浜工場などに転勤するか、会社を辞めて地元に残るしか無かったのだ。

で、こんな交通不便過ぎる街に「村山団地」という巨大団地があると聞いてやってきた。ここにも日産で働いていた人々が住んでいるのだろうな。のっけから共産党と公明党のポスターばかりが目立つ。

武蔵村山市 上北台

そんな村山団地へは立川駅北口や玉川上水駅前から路線バスに乗って来られる。「店舗前」という味気ない名前のバス停。ここから都心に電車通勤するにも片道1時間以上は確実に掛かる。都心回帰の流れが強い中でこのアクセス環境の悪さはただでさえ不人気そうだ。

武蔵村山市 上北台

この村山団地は昭和39~41(1964~66)年にかけて造成されている。案内図を見ても分かる通り相当広い。面積は55.3ヘクタール(日産自動車村山工場の4割、東京ドーム12個分)もあるという。この時代に都心から外れたこの場所に都内最大級のマンモス団地が出来た事自体、日産自動車村山工場の存在があったからに他ならない。

村山団地の誕生により昭和45(1970)年までの5年間で14000人から41000人に急増、同年に北多摩郡村山町から武蔵村山市として市制施行し現在に至る、という訳だ。

武蔵村山市 上北台

「店舗前」バス停の真正面に広がるのが村山団地の中心になっているらしい「中央商店街」。45~50号棟の6棟が向き合い、その一階部分が商店街になっている所謂「下駄履き団地」の様相。山梨中央銀行のATMコーナーがある辺り、山梨県出身者が多いのか、それとも八王子同様「多摩梨」文化圏内にあるからか…それにしても看板がレトロ過ぎるな。ピヨちゃんスタンプとかもう…

武蔵村山市 上北台

これまで鉄道網が無かったこの街が発展出来たきっかけが日産自動車村山工場であり、この村山団地でもあった訳だが、今となっては時代の流れに完全に取り残された格好となっている。団地の一部は老朽化を理由に建て替えが進められているが、この商店街の風景は昭和40年代と何ら変わっていないのだろう。

武蔵村山市 上北台

合計5260戸もある巨大団地、都区内では江東区の辰巳団地が3326戸、北区の桐ヶ丘団地が約5000戸(建て替え工事前)なので、それ以上の規模という事になる。こうした場所では例に漏れず高齢化問題が顕著だ。

武蔵村山市 上北台

商店街には個人経営の酒屋や米屋、食料品店、リサイクルショップ、ディスカウントストア、オバ服が充実の洋品店といった昭和な佇まいがそのままである。さっきから通り掛かる住民がご老人ばかりである。平日昼間と言えども、もう少し子育て中のママや子供が居ても良いのでは…

武蔵村山市 上北台

多摩ニュータウンの永山団地を見に行った時、商店街にかなり空き店舗が多かった事を覚えているのだが、ここ村山団地の中央商店街に関しては空き店舗はあまり見当たらない。住民は路線バスに乗って立川駅まで行かない限り買い物する場所はここしかない。陸の孤島の生命線であるのだ。

武蔵村山市 上北台

団地の年季を感じずにはいられない「いなりストアー団地店」の看板。考えてもみれば築50年も経つ団地の商店街な訳で、いくら東京の外れとは言えどもそんな個人商店の数々がピンピン生きてるのだからある意味凄い場所だ。

武蔵村山市 上北台

酒屋には団地住民(アル中)御用達のペットボトルor紙パック入り大容量焼酎がこれ見よがしに陳列されている。「多摩焼酎 ホワイトタマ」は地場産焼酎なのだろうか、そもそも東京都内にそんなメーカーの焼酎がある事自体知らんかった…

武蔵村山市 上北台

商店街の裏側に回ると、商店が連なる一階部分は大きく後ろ側に建て増しされ放題となっていて、この時代の団地特有の自由さを垣間見る事ができる。各戸それぞれトタン板やプレハブで小屋が作られていて、腰の高さまであるブロック塀にはやはり共産党や公明党のポスターがベタベタと…

武蔵村山市 上北台

村山団地にある住居棟。建て替え前のものはこの通りの昔ながらのエレベーター無し5階建ての中層棟だったが、やはりここも高層棟への順次建て替えが進められている。一部の団地はこの通り住民も立ち退き済みで、あの中央商店街のレトロっぷり丸出しな光景もいつまで拝めるか分からない。

武蔵村山市 上北台

そして村山団地も他の都営団地の例に漏れず、洗濯物を干すのにこれは邪魔だろうと言わんばかりの巨大パラボラアンテナを設置したお宅がちらほらと見かけられる。これは何だと言ったら、中国からの衛星放送を受信するためのアンテナで、ここに住んでいるのは中国人世帯だという目印になる。既に辰巳団地や埼玉の東宮下団地などではよく見かけられる。

武蔵村山市 上北台

村山団地でも高齢化問題が深刻化している模様だが、中央商店街内にある武蔵村山市商工会「まいどー宅配センター おかねづかステーション」という施設、その店先には屋根と座席が付いている何やら奇妙な自転車が置かれていて気になったのだが…

実はこれ、団地住まいの高齢者の買い物支援を目的とした「送迎自転車」らしい…これは鉄道のない武蔵村山市だからこそのアイデアなのか…

ちなみに武蔵村山市では、現在上北台止まりになっている多摩都市モノレールの市内への延伸が悲願になっていて毎年市長が東京都に要望書の提出に訪れている。日産に逃げられた後だし、いろんな意味で切実ですな…


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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