川崎臨海部のガチ過ぎるコリアタウン「桜本商店街」(Lロードさくらもと)

川崎市川崎区

川崎市臨海部の工業地帯に近接するガチな下町ゾーンの風景が恋しくなった当取材班、久々に川崎駅からバスに乗ってコリアタウンとしても知られる大島・桜本・浜町の通称「おおひん地区」を再訪する機会が出来た。この地区は戦前から日本鋼管の軍需工場が出来た影響で、それらの労働力として集められた国内の貧困層や朝鮮半島からの労働者が飯場で暮らし、戦後の高度経済成長期でも工業地帯の下町として栄えてきたという歴史がある。

川崎市 川崎 桜本

大島四ツ角交差点と川崎協同病院との間に、桜本地区の中心商店街となる「Lロードさくらもと(桜本商店街)」の入口がある。もっともらしく商店街らしい佇まいをしているが、その入口付近を見ると韓国食品店が両側に並んでいて、さすがコリアタウンと感心させられる。

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商店街の見慣れた風景となっている老舗の韓国食品店「麻布食品」。東京の麻布で開業したというのでその名前が付いているらしい。何故か店先で今川焼を販売していたり、隣のお好み焼屋と並んでお持ち帰りコーナーとして地元民に親しまれている模様。

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「Lロードさくらもと」という愛称は商店街自体がL字型に伸びているところから来ている、安直過ぎるネーミング。思えば、大島・桜本・浜町の三町で「おおひん地区」と呼ぶのもこれまた安直過ぎて、逆に思いつかない発想なんですが。

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そんな桜本商店街の中に入る。やや寂れ気味な感じがするのは変わらないが、以前よりも韓国系の店がいささか減ってしまった印象がある。一見古い下町の商店街…という感じしかしない訳だが…

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この商店街に「ほっとカフェ」という店舗を構える社会福祉法人「青丘社」というのが、この地区ならではの存在となっている。「青丘」とは朝鮮半島の事を指す異称。在日コリアンが中心となっている団体で、「おおひん地区」と命名したのもこの青丘社の設立者、李仁夏氏である。

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その隣の「金泉」というお店も、喫茶なのかカラオケなのかスナックなのか焼肉屋なのか、外観からでは何の店なのかなんだか良く分からない所がそそられるのである。

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産業道路方面に伸びる商店街を道なりに真っ直ぐ行くと、スーパー「ライフ川崎桜本店」の店舗があり、ここばかりは買い物客でごった返している。ライフは首都圏と関西圏に出店しているが、関西育ちである当取材班から見れば個人的にはどうにも関西臭を感じてしまう。

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L字型の商店街なので一旦韓国食品店が並ぶ入口まで戻って大島四ツ角方面に伸びるもう一方の道を進んでいく。こっち側は店もまばらで、なんか寂しい感じがしますね。

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唯一賑やかなのが地元のオッサン大集合なパチンコ屋「大島球殿」。今時らしくない古めかしいネオンサインが特徴。近所に大手のマルハンが進出してきたので客の奪い合いが起きている。さすが川崎の朝鮮、パチンコ屋戦国時代真っ只中といった所でしょうか。

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そしてこちら側にも社会福祉法人「青丘社」が経営する弁当工房とやらがある。地域の高齢者向けに配達弁当をやっているらしいです。

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キムチやごま油の独特な香ばしい匂いが立ち込めてきたと思ったら、そこには韓国食品店「カネダ食品」の店舗が。店の規模やキムチの取り扱い品目はとりわけ豊富である。

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カネダ食品の角を折れて住宅地に入ると、もう一軒韓国系食品店「安本商店」と、その手前には韓国料理屋が一軒あり、俄然コリアン密度が増す。

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その先にあるのが「在日大韓基督教会 川崎教会」。無論こちらも川崎臨海部の在日コリアンコミュニティの一角を担っているキリスト教会だ。社会福祉法人青丘社の創設者も、元はと言えばこの教会の牧師だった故・李仁夏氏。同氏は桜本保育園の創設(当初は無認可保育園)にも関わっている。

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ところで、桜本商店街には「九福神」という商店街キャラクターの銅像があちこちに建っているのが目につく。何かと幸薄そうな方が多い地域ですので、道端にこのような小さな幸せくらいあっても良いのではないでしょうか。

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そんな「九福神」の一人、上向き小僧。従来の七福神にオリジナルを2キャラ追加したものらしいが、なぜ九福神で、この小僧は上を向いているかというと、実は日航機墜落事故で亡くなった歌手・坂本九氏が幼少期に桜本に住んでいた事に因んでいるらしい。もっともこの上向き小僧、小僧というより、江南スタイルのオッサンみたいな身なりしてますけどね。

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そして毘沙門天の額には「肉」の落書きが…コラ、キン肉マンが好きだからと言っても落書きは器物損壊罪だぞ。

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ちなみにこの桜本地区、坂本九氏だけではなく、ジャニーズ・元少年隊の東山紀之氏も幼少時代に住んでいて、その当時のエピソードを「カワサキ・キッド」という手記にまとめている。一部では「反ヘイト本」として注目されて胡散臭い持ち上げ方をされているが、この地区にゆかりのある人物が書いた手記としては、是非とも読まずにはおけない一冊だ。


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