【板橋区】高台の大型分譲マンションが見下ろす低地の都営住宅だらけタウン「志村三丁目」を歩く

板橋区

ただでさえマイナー地域である板橋区の中でさらにマイナー感漂う都営三田線沿線の街。その中でもこれまで立ち寄ったことが一度もなかった「志村三丁目」という地域に足を運ぶ機会があった。巣鴨から片道13分。近いのか遠いのかよくわからない微妙な位置である。

都営三田線が主要な公共交通となっている「志村」と呼ばれる地域は旧武蔵国豊島郡志村という地名から来ていて、現在の板橋区北東部全域をカバーする広大な区域にあたる。そのうちの「板橋区志村」というのはほんの一部分でしかなく、特に「志村三丁目」というと高台にある一・二丁目に隣接しているとは言え、高島平や蓮根なんかと同じく荒川や新河岸川が流れる低地にあたるエリアで、地下鉄もここから先の区間は地上駅となっている。

駅前一等地に都営住宅とパチンコ屋、環八通りにはショッピングセンター

で、駅の改札を降りると目の前がデデーンとデカいパチンコ屋が鎮座していたりする板橋区らしい下町風景が広がっている。やはりここから西高島平までの各駅は全部例外なくビンボー臭い街ですよね…

さらにはパチンコの景品交換所と駅前一等地に堂々と立ち並ぶ都営住宅まで揃っているという貧民街役満状態なのが志村三丁目の駅前風景なのである。こちらは「都営志村三丁目アパート」ですね。1~10号棟までの中層棟で形成されている。

志村三丁目駅周辺にはこの志村三丁目アパート以外にも環八通りの北側にある坂下一丁目(第3、第4、第5)アパートといった都営住宅群が広がっている。西台・蓮根と並んで都営住宅が多めの地域となっております。

そして都営三田線の高架線路沿いには板橋区ではお馴染みのディスカウントスーパー「みらべる」の店舗も営業中。そう言えば、隣の蓮根駅前にもめちゃくちゃ買い物客で殺到している店舗があったよな。

その一方で絶滅危惧種と思われる昭和感丸出しのゲームセンター「ニュートン」という店舗もあって、対戦型ゲームが中心に揃えられているらしい。さぞかし地元のヤンキーや子供達の溜まり場となっていそうな感じがする。

あとは志村三丁目駅のすぐ北側を環八通りが走っていることもあって、環八沿いにはサミットストアやニトリ、コジマが入居する「志村ショッピングセンター」、それに志村三丁目交差点近くにあるDQN御用達のドン・キホーテ板橋志村店、その先にもセブンタウン小豆沢といったモールが充実しているので自家用車があれば埼玉っぽい郊外型生活も満喫できるのが利点らしいですよ。

貧乏臭い都営住宅群を見下ろす高台の偉そうな大型分譲マンション「ヴィオスガーデン城山」

駅前の貧乏臭い都営住宅群が広がる光景は足立・葛飾・江戸川の貧民三区ではお馴染みのものだが、同じ貧乏臭い街でも板橋区でしか見られない光景というのがある。武蔵野台地の北端部にあるという特殊な地理的条件で、平地と高台が近接しているのだ。この写真の左上に何やらイカツイ佇まいの大型マンションが見えるはずだ。

駅から500メートル程離れた坂下一丁目のあたりからも高台の上にそびえる大型マンションの姿が確認できよう。「志村ー!後ろー!」と叫びたくなる圧倒的存在感。周りが平べったい土地ばかりなので余計にエラソーに見えて目立ってしまう。

「ヴィオスガーデン城山」という大層な名前の2000年竣工、16階建て、全417戸もの大型分譲マンションである。高台の上に16階建てのマンションを建てりゃそりゃ目立つだろうよ。

「ヴィオスガーデン城山」は高台の下の住民専用玄関から出入りが可能で、志村三丁目駅まで徒歩2分の距離にある。中古でも4000万円台後半が中心なので板橋区の中では結構な高級物件のうちに入るのではないか。マンション自体もかつての「志村城」跡に建てられていて、志村だけに住めばバカ殿様気分が味わえること請け合い…だろうか。

しかし中台の「サンシティ」といい板橋区にはちょいちょいエラソーな大型分譲マンションがあるものだな。

そんなエラソーな大型分譲マンションの玄関横に高台の上へ登る急坂がある。一方通行の出口となっていて、坂の上の高台は目の前の五階建ての都営住宅よりも高い位置にある。結構な高低差だ。こうして板橋区志村という地域は高台の一・二丁目と低地の三丁目では歴然すぎて「アイーン」と言いたくなるような「志村内格差」というものを孕んでいる。ちなみに志村一・二丁目に都営住宅は存在しない。

都営志村三丁目アパート4号棟の下にあるビミョーな商店街

再び志村三丁目駅前の都営住宅に戻ってきた。さすがに駅前一等地にある団地ということで、志村三丁目アパート4号棟の一階部分がちょっとした商店街、というよりも小さな飲食店街といっても良いこじんまりしたスペースになっている。

そこには昭和な佇まいの洋菓子屋「サンドリアン」、同じく昭和臭漂わせる札幌ラーメンのチェーン店「どさん娘」、それにお好み・もんじゃ焼き屋といった店舗が申し訳程度に並んでいる。どさん娘は「むかしらーめん」という小振りの醤油ラーメンがメニューにあって300円で食えるという素晴らしい板橋区貧民仕様となっているが生憎定休日にて確認出来ず。

「福しん」愛好家よ刮目せよ!志村三丁目には福しん系列新業態店「ジロー’sテーブル」があるぞ!

しかしシャッターを降ろしてしまっているどさん娘のすぐ隣にこんな真新しい佇まいのラーメン屋が。「ジロー’sテーブル」なる店舗。日高屋に近い感じのチェーン店的な印象がするが、店の外観をよく見て欲しい。

店のシンボルマークになっている、ちゃぶ台に熱々のラーメンを乗せたコアラの親子のマーク…これは東武練馬駅前にのみ展開している福しんの親戚店「手もみラーメンジロー」のものと比べてちゃぶ台の有無を除いてほぼ同一である。つまりこれは西武線、東武東上線沿線の貧乏タウンに住んでいる人間ならば必ず一度は世話になったことのある、あの「福しん」系列の新業態店ということになる。

というわけで「ジロー’sテーブル」店内へ。従来の福しん系列店と一線を画するアットホーム感漂うほっこり系内装、そして福しんではデフォルトだったU字カウンターしかないお一人様向け仕様ではなくテーブル席を3つも確保したファミリー向け仕様。板橋区には存外多い貧乏家族連れには有難いバージョンアップである。道理で店が綺麗なのも2014年にオープンしたばかりだからだ。

店内の壁には食卓を囲む親子4人組の家族の姿を描いたほっこり系イラストまでもが額縁に入れて飾られ、レジの前には子供客を想定したガチャガチャまで置いてある。しかしそんな店の「仕様変更」に我関せずとばかりにラーメンを啜るのは男一人客ばかりなのであった。しょうがない、それが「福しん」クオリティ。

スタミナ丼、サラダ、スープがセットになった日替わり定食と曜日限定で1人前100円になる餃子を食べて帰りました。スープは100円プラスで「おっとくラーメン」(おともラーメンと同じ)に変更できる点といい、これは完全に福しん風味。味はそれなりだが、これで良いのだ。地を這いつくばるように暮らす板橋区民に特別な贅沢はいらない。

ちなみにこの「ジロー’sテーブル」、こちら志村店の他になぜかもう一店舗、足立区竹ノ塚に二店舗目を出している。また東武練馬駅前の「手もみラーメンジロー」の二店舗も公式サイトには掲載されている。


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