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西武百貨店が閉店!「春日部」の中心市街地はどうなるのか金子商店のおでんを食いながら考えた

埼玉県東部を代表する街、春日部市。東武伊勢崎線(意地でも東武スカイツリーラインとは言わない)で北千住から急行電車で片道約30分、大宮から東武野田線(意地でも東武アーバンパークラインとは言わない)で片道20分で来られるが、首都圏のベッドタウンとしては些か距離が遠く駅周辺の発展ぶりは今一つ。

春日部市 春日部

春日部は日光街道の宿場町「粕壁宿」があった歴史の深い街で、「クレヨンしんちゃん」の地元だという事でアニメ聖地化に躍起な埼玉県の自治体らしく観光誘致にノリノリのようだが、あんまり肝心の観光客がわざわざ来るような雰囲気でもない。相変わらずパッとしない駅前風景と街の中心をぶった切る平面駅舎が鎮座し、北関東の地方都市のような佇まいだ。

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そんな春日部の中心市街地にそびえる「西武春日部店」がなんと今年2月末で営業を終了する事となった。春日部市民のお買い物の中心でもあり旧「ロビンソン百貨店」の時代から親しまれ、「クレヨンしんちゃん」に登場するアクション百貨店のモデルにもなった街を代表する土着百貨店でもあったが、街の顔が消えてしまう事に地元民は悲しみに暮れている事であろう。

イオンモールにとどめを刺された春日部中心市街地

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その歴史があっけなく閉じたのは、春日部市郊外の旧庄和町に2013年3月にオープンしたばかりの「イオンモール春日部」に客を奪われた結果という切実な理由からだった。

同店舗は春日部駅から車で10分の位置にあり、国道4号バイパスと国道16号が交わる庄和インター交差点の近くに広大な敷地の店舗を構える。この辺も車社会が浸透していて北関東の街と何ら変わりがない。日本の小売業界は強大なイオングループの前にひれ伏すのみで、もはや為す術はないのだろうか。

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ちなみにこちらがロビンソン百貨店時代の外観(2009年撮影)。2013年3月1日から名称を西武春日部店と改めた。皮肉にもこの直後の3月5日にイオンモール春日部が開業している。

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西武百貨店がそびえる春日部市中心部のメインストリート「かすかべ大通り」沿いも空きテナントになったまま放置されている商店ビルがあちらこちらに見られる。やはり北関東の地方都市のそれを見ているような気分にさせられるのであるが、西武の撤退でいよいよとどめを刺された感がある。

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西武百貨店の裏手を流れる大落古利根川を境に古くからの中心市街地と郊外の新興住宅地とで街並みが変わる。川の先にある国道16号寄りの地域にロードサイド店舗が集まり、街の賑わいもそちらにシフトしている。

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川沿いの街並みを眺めると、ちょいちょい廃墟と化した家屋が放置プレイになっている様子も見られる。こちらのお宅なんか崩壊具合が見るからに酷い。相当長期間ほったらかされてきたのだろう。駅から徒歩10分以内でこの廃テンションぶり。これが春日部市中心部の現状らしい。

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大落古利根川に架かる春日橋の手前にぽつんとレトロ感満載な光景が残されている。手前に平屋建ての土着酒場「藤塚屋」、奥には雪国のようなトタン屋根と煙突が特徴的な、暖簾が掲げられているだけで屋号が分からない、古めかしい一軒の蕎麦屋が。

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こちらの蕎麦屋、屋号が分からないどころか「きそば」「ラーメン」と二つの暖簾が掛かっている上に、店の前には出前用の荷台が付いたカブが停められている。すこぶる昭和感がドギツイのですが、福島県いわき市内郷にある「野間食堂」をどこか髣髴とさせるノリであります。

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気になった店にはやはり入らずには居られない。大して腹も減っていなかったが意を決して昭和感満載な蕎麦屋に入店。やはり店内も古風過ぎて渋い。古民家の玄関先を改装したかのような空間にテーブル席が数卓。ここまで来て店の名前が「やぶそば」だと分かった。

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結局食ったのは蕎麦でもラーメンでもなく「カツ丼」だった。この優しく包み込むかのように綴じられた日本の大衆食堂における王道中の王道たるカツ丼の姿よ。永井荷風のようにカツ丼を吐いて死ねるとしたらその直前に食べておきたいカツ丼ナンバーワンである。備え付けの七味を振りかけて食べましょう。春日部の古い街の片隅で喰らう一食800円の至福。

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向かいの土着酒場「藤塚屋」も物凄く気になる佇まいだが、開店しているのかどうか分からない謎のテンションである。誰かお近くの方は突撃してみてください。玄関上に乗っかった「電話局」と書かれた看板もいつのものなんだよ…

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その「電話局」と書かれた古い看板の矢印の先に示す通りに進むと、先程の西武春日部店の建物横に戻る。その角に一見「店舗」だと気づかない佇まいの「金子商店」という個人経営の小さな店がある。

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店の表には自販機と散髪屋のサインポール。傍目には何の店なのか見当が付かない。しかしこのお店、春日部に昔から住んでいる土着民とその子供達の間ではよく知られた店のようだ。平たく言えば駄菓子屋である。

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金子商店の店内に入ると、いかにも地元の子供達が学校帰りに遊びに来そうな「ザ・駄菓子屋」としか言いようのないレトロっぷり。狭い中に沢山のコインゲームと駄菓子の数々が置かれている。「万引きは犯罪です」「禁煙」と注意書きがあるのは、不良中学生に対するエクスキューズなのでしょうか。気になります。

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まだ来た時間が早かったので店内は他の客は誰も居なかったが、これが夕方くらいになると地元の子供達に占領されるんだろうな。こうした70年代あたりのコインゲームの殆どが今も現役で稼働するようだ。

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小上がりの部屋には店主のおばちゃんと、先代の大女将らしい婆さんが二人で店番をしている。隙間無く陳列された駄菓子の数々。どれも一個10円から30円。

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だが、この金子商店で最も気になるものと言えば、こちらの蚊帳の中にすっぽり収まったおでん鍋。駄菓子だけでなく自家製のおでんも売られている。それも堂々の駄菓子屋価格で。たまご30円、大根40円、こんにゃく・ちくわ45円…うわあ、やっすいなあ。

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店内のゲーム卓の前に自分で椅子を並べて、金子商店のおでんをその場で頂く事に。SNKの「ザ・キング・オブ・ファイターズ’94」か…懐かしい格ゲーだなオイ。同ゲームのキャラ、ユリ・サカザキ役でTVCMに登場していたのがアイドルデビューしたばかりの浜崎あゆみだと今も覚えてますが実にどうでもいい情報ですね。

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出汁の効いた大根と玉子はされおき、この店のオリジナルらしい「餃子巻き」(80円)は餃子の具をキャベツの葉に巻いた、一番豪華なおでん種。紛れも無くこれは「ザ・キング・オブ・駄菓子屋のおでん」である。ちなみにこれだけ食ってたったの150円。

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西武春日部店は本日をもって閉店となる訳で残念無念の限りだが、隣の金子商店や蕎麦屋やレトロな街並みはすぐに無くなる事はないと思われるので、一度春日部まで足を運ばれてみては如何でしょうか。北関東風味な地方都市の悲哀と昭和な街並みを堪能できる事請け合い。



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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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