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【横浜市】東海道神奈川宿のランドマーク「京急神奈川駅」があまりにショボ過ぎて泣ける件

日本の都市において、おおよそ都道府県名を冠した駅というのは県庁所在地の中心的ターミナル駅で、重要な役割を持つ駅だという「固定観念」があるものだが、そういう視点で見るとどうしても解せないのが神奈川県名を冠する「神奈川駅」の存在ではないだろうか。

大阪府を追い抜き、とうとう都道府県別人口第二位の座を奪い取った「神奈川県」の名を冠する、神奈川駅が…こんな小さな駅だなんて…

この神奈川駅、駅名の由来はもちろん神奈川宿の存在からだが、横浜港の中心からは思いっきり外れてしまったため、街同様すこぶる寂れた風情を見せている。ただ宿場町の名としてだけではなく、明治初期に日本で初めて鉄道が開通したとき、この付近に設けられた神奈川停車場の存在も併せて、神奈川駅の名前を残しているという。

駅の建物は宿場町の風情を考慮して「清水の舞台」を模したデザインになっているそうだがどこがどう似ているのかさっぱりわからず、駅構内に入ると改札がむちゃくちゃ小さいことに気が付く。

そんな神奈川駅、京浜急行で横浜駅のひとつ隣に位置しているが、当然の如く各駅停車しか止まらない。駅自体も相当コンパクトだがホームに下りるとひときわ狭いので、京急名物快特車両がホームを爆走する瞬間は視覚的にかなりスリリングだ。 ちなみに京急とJRの線路が併走していて、東海道線・横須賀線・湘南新宿ライン・京浜東北線の車両も一堂に通りがかる。鉄ヲタ大歓喜。

神奈川駅前には国道1号第二京浜・青木橋交差点がある。車にとっても電車にとっても交通の要衝となっており自動車や鉄道車両の往来が激しいが、人の往来はほとんどない。駅周辺には宮前商店街という微妙な商店街がある以外は目ぼしい店の存在もなく、崖の上に立つお寺とマンション群しか目に付かない。

どうにも崖の上に無理矢理立っている寺の建物が気になって仕方がないので見に行く事にした。青木橋交差点の後ろ側からありえないくらい急勾配の坂を登っていくことになる。起伏が激しく、そして細かい。それが横浜の地形の特徴。ハマ暮らしでは自転車は役に立たない。

ほどなく崖っぷち寺とは違うもう一つの寺「本覚寺」の姿を見る事ができる。神奈川宿から眺めの良い場所にあるこの寺は、横浜開港時にアメリカが領事館として使用していたこともある。今では丘の上からの眺めは住宅ばかりしか見えないが、当時は眼前が海だったわけだ。

本覚寺の入口から少し登った所に崖っぷち寺もとい「三寶寺」への入口がある。神奈川宿は古い宿場町だからだろうか、この界隈を散歩すると他にも沢山の寺が置かれている。

急峻な台地の上に作られた寺だが、上から見てみると案外普通だった。

わずかな距離でビルの高さにすると10階相当、もしくはそれ以上の高低差を一気に登ってきた。いくら駅徒歩200メートルの至近距離でもこの急坂じゃ厳しい。極端な地形からか、このへんの町名は「台町」となっている。横浜駅北側に壁のように立ちはだかる台地。この台地の上に建つ三寶寺の真下を東急東横線のトンネルが走り、その先にはみなとみらい線開通に伴い駅そのものが地下化された「反町駅」がある。

台地の頂上まで上り詰めると、おおよそ貧乏人には住めない高級マンションが並ぶ別世界。そこには高島台公園という小さな公園とともに「望欣台の碑」と書かれた石碑がある。

横浜開港の折、横浜の都市発展に寄与した高島嘉右衛門という当時の実業家を称える碑だ。高島町、高島台など、高島の名がついた地名は全てこの高島嘉右衛門の名から取られている。

高島易断本暦 平成三十年

それに、嘉右衛門は実業家であるとともに占術に長け、易学を趣味の一環として独学で学び、それがあまりにも的中しすぎたために占い師としてもたいそう名が知れ渡ったそうだ。実は嘉右衛門こそが現在でも有名な「高島易断」の創始者でもあったのだ。

もっとも胡散臭い宗教家やスピリチュアルなんとかが流行しまくりの現代において「高島易断」を名乗っている奴があまりに多すぎてどれが本物なのかよくわからんが。

高級住宅街と化している高島台周辺を歩くと「神奈川台の関門跡」の碑を発見する。横浜開港から間もない時期、外国人が各地で斬り殺される事態が続発し、横浜に領事館を持っていた世界各国から非難を浴びたことで、幕府が治安維持のために横浜の主要部に置いた関門の一つがここにあったという。

この手の話は、かの「生麦事件」が有名だが、当時の日本は長い鎖国政策の末にあったので外国人に対する警戒心があまりに強すぎたのだろう。しかしそういう日本人の内向きなメンタリティは今でも引き継がれているような気がする。これだけ経済大国だと言われるのに英語がまともにしゃべれる日本人が殆ど居ないのだからな。

高島台から横浜駅は目と鼻の先だが、行き来するにはこんな気が遠くなるような階段を上り下りしなければならない。自家用車がなければまともに生活できんな。

神奈川宿沿いのボロアパート群と、高島台・台町の高級住宅群。至近距離にある両極端な街の風景は、特異な横浜の地形が作り出す奇妙な特徴である。山手居留地と寿町など、他にも沢山例がある。東京とはまた違ったDEEPな都市環境を観察できて非常に面白い。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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