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【杉並名物反対運動】公園用地に保育園建設で大モメした街「久我山」は今どうなっているのか

東京への一極集中で問題視されている事柄の一つに、子育て世帯が我が子を保育園なり幼稚園に入れられない「待機児童問題」がある。特に人口増加が激しい地域や人気の住宅地がある自治体ほど深刻で、各自治体は保育園を新設するなど対策を迫られているわけであるが、そんな中でまたまた香ばしい話題を提供してくれたのがプロ市民の反対運動でおなじみ「杉並区」である。

杉並区と言えば、中央線や京王井の頭線といった不動の人気を誇る住宅地を走る路線が集まり、ここも待機児童問題を抱える自治体の一つ。ちなみに杉並区は2017年度では待機児童数が大幅に減って29人となり、ワーストワンである世田谷区の861人を大きく引き離しており、杉並区に限った話、この問題は沈静化傾向にあるが、その保育園の新設で大モメした地域がある。京王井の頭線の「久我山」だ。

杉並区久我山とはどういう地域なのか

というわけで騒動の舞台になった久我山にやってきた。渋谷と吉祥寺という二大オサレタウンを結ぶアッパーな路線「京王井の頭線」の急行停車駅である。急行に乗れば渋谷まで12分、吉祥寺まではわずか1駅2分という圧倒的なアクセスの良さが自慢だが、5両編成のしょぼい電車にギュウギュウ詰めがデフォルトなので、ラッシュアワーの渋谷行き電車はかなり絶望的な状況になる。

久我山駅前にはきっちり商店街もあって、急行停車駅らしくそこそこ店舗数も多く駅前らしい賑わいがあるが、この沿線の住民は何かあるとすぐ吉祥寺に出ちゃうので、そのためか駅前があんまり派手に発展しないのだろう。ちなみに各停しか止まらない富士見ヶ丘や三鷹台などはもっと駅前がしょぼい。

そして駅前を流れる神田川はその上流の水源地となる井の頭公園まで延々と連なっている。高井戸から井の頭公園駅まで駅前がリバーサイドなのは共通した特徴である。大きなスーパーもせいぜい駅前のサミットかピーコックストアくらいしかないし、飲食店もツッコミどころがあるほどの規模でもない。

駅の南側には情報通信機器メーカーで有名な岩崎通信機の本社と、同社創業者が設立した國學院大學久我山中学高等学校があり、駅との間を結ぶ商店街の名前も「岩通通り」となっている。ちょっとした企業城下町でもあり学生街でもあり。杉並区の中でもややマイナーな存在に甘んじている久我山住民にとっては自慢でもある。

環八に繋がらない東八道路…駅前の人見街道が絶望的に狭すぎて泣ける件

久我山駅前を唯一通っているメインストリート「人見街道」。杉並区浜田山から府中市若松町を結ぶ都道110号線にあたる道だが、往来する自家用車や路線バスの多さ、その割には歩道すらない片側一車線の窮屈な車道で、そこはかとなく危険を感じる。それに井の頭線は地上を走るので駅前には踏切まである。特に列車の間隔が短い通勤時間帯はこの唯一の動線が長時間遮られるので、渋滞も慢性化する事は容易に想像できる。

そもそもこの区間、国道20号線(甲州街道)のバイパスとして建設中の「東八道路」の未成区間で、国立から三鷹までは片側二車線道路がしっかりできているのに、それが三鷹市と杉並・世田谷区の境目でぷっつり途切れている。東京と八王子を結ぶからそう呼ぶはずなのに、国立から三鷹までしか出来ていない、名ばかりの道路である。

東八道路の途切れた部分から環八方面に抜けるにはこの人見街道が数少ない有効なルートだ。「道路せまい注意!」と電柱にわざわざ警告が出ている通り、歩行者にとっても穏やかではない。しょっちゅう自動車が歩行者ギリギリのところを掠めて走っていく。

三鷹駅南口と久我山駅の間を結ぶ京王バスも終点から人見街道を若干進んだ先の転回場でさも窮屈そうに車体を転回させる風景が頻繁に拝める。人口増加に道路インフラが全く追いついていない感がアリアリとするのが京王井の頭線沿線の特徴である。

保育園建設で大モメした「久我山東原公園」を見てきた

そんな危なっかしい人見街道から南側、久我山駅から徒歩7~8分くらいの場所にある「久我山東原公園」が保育園建設で大モメした騒動の舞台である。2016年6月頃に地元住民による“保育園建設反対”が報じられた当時、てっきり公園自体が潰されるのかと思うくらいの勢いだったが、別に全然無くなってはいない。

久我山地域にはここ以外にも小規模な児童遊園が数箇所あるが、その中で当公園が一番面積が広い。保育園の建設を反対する住民もいた中で、その言い分としては「子供にとってボール遊びが出来る広さのある公園がここしかない」といったものもあり、報道で騒がれたように必ずしも「子育て世帯を冷遇する地域エゴ丸出しの土着老人」「まーた杉並名物プロ市民の反対運動か」という、ネット住民が火を付けたがるような構図ばかりとは限らない。

待機児童問題を解消すべく杉並区はこの公園の3分の1近くを閉鎖し、既に翌2017年に認可保育園(ポピンズナーサリースクール久我山)を建設している。公園側も新しい遊具が置かれるなどして整備され直していて、特に子育て世帯が小さな子供を遊ばせるには都合が良くなっている。

だが、久我山東原公園に保育園が建設された今も周辺住民による抗議の張り紙は後を絶たない。かつての東原公園の写真を引き合いに出しては「東原公園を忘れない!」「いい東原公園だったのに」と恨み節全開である。みんなでサッカーもできた公園が潰された…という事か。今となってはボール遊びするにしても電車で井の頭公園に出掛けるしかなさそうですね。

今も一部住民が抗議を続ける理由に、3000人以上もの署名があったにも関わらず代替地として別の公園を作る事を条件に署名を不採択、保育園建設を強行した杉並区への不満、しかも公園代替地として用意された土地がとても代替できるような質のものではない、という事があるようだ。

公園代替地「遊び場111番」がひどすぎる件

一部閉鎖され狭くなった久我山東原公園に変わって杉並区側が用意した代替地「遊び場111番」がどんな感じなのか、ついでに見に行った。東原公園から久我山駅方向に徒歩400メートル離れた、井の頭線の線路沿いにある住宅地に囲まれた土地だが、見るからにひどい。空き地に杭を立てただけの剥き出しの土が広がるだけの場所で、遊具の類もなく、子供の遊び場としては「ドラえもん」に出てくる“土管のある空き地”以下のレベルである。

公園のすぐ目の前には戸建ての住宅や井の頭線の線路があるので、ここでボール遊びする事も難しい。確かにこれでは「代替地」にならないし、一部の住民の不満が解消されないのも分かる。そりゃ「気に入らないなら引っ越せ」と言うだけなら簡単であるが、2016年夏に隣の富士見ヶ丘駅前の商店街でサンバ祭り開催中に騒音にブチギレて祭りの列に火炎瓶を投げ込んで首吊り自殺した高齢の男がいたように、頑固な土着老人が多いのもこの沿線の特徴。どうも安心できない空気がある。

「井の頭線沿線は教育環境が良いから」と皆一様にこの沿線に住みたがるが、地代も高いし土地も狭いしで、子育てするには些か窮屈すぎやしませんかね?ただでさえ限られた狭い土地で誰もが納得する方法を見つけるのがどれだけ難しいかを考えさせられる一例ではある。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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