埼玉県川口市、JR京浜東北線西川口駅および蕨駅周辺が新興チャイナタウン化しているという話は以前にも当サイトで何度もお伝えしてきた。都内各所でも中国人観光客が団体で百貨店やドラッグストア、家電量販店等に殺到する「爆買い」がメジャー化し日常風景に溶け込んでしまっている昨今、人の慣れというのは恐ろしいものを感じるが、やはり首都圏で「中国化」が著しい地域として西川口・蕨エリアの行く末は目を離す事が出来ない。
今回お伝えしたいのはJR西川口駅東口から然程離れていない場所にそびえるこちらの七階建ての集合住宅である。何の事はない。ここも芝園団地と同じくUR都市機構が管理する「西川口市街地住宅」という建物である。昭和41(1966)年築、五十年モノといういい加減にくたびれた物件なのだが、全192戸を有するこの大型マンション全体が著しく中国化してしまっているのだ。
西川口駅東口から出て蕨方面に徒歩6分程度と通勤にも非常に便利なはずの場所だが、その一階部分に入居している店舗を見ると…見事に中国系ばかりだ。まだ芝園団地は綺麗に管理されている感じがあったが、こちらの方は雰囲気的にカオスっぽさがある。
表通りに面して連なるUR西川口市街地住宅1階の下駄履き店舗群。見た目には日本語で書いてあるがあまり日本語が通じなさそうな店員のいる「激安総合リサイクルショップ」がチープ感を盛り上げている。以前はニチイケアセンターという介護系の業者が入居していたはずだが…
それ以外の店はというと、一部に韓国料理店が入居している以外は殆どこのような中華物産店や中華料理店で埋め尽くされているのであった。なにこのリアル九龍城砦状態は。日本の領土に中国の飛び地があるかのような感覚に陥る。
中国物産店のすぐ隣は「西川口中国网吧」。生粋の日本人には読めない漢字が混じっておりますが「网吧」(ワンパー)は中国語でインターネットカフェを意味するようです。中をこっそり伺うとネトゲにハマっている中国人のお兄さんが見えました。店の表の案内文も完全に中国語しか書いてない。
さっきから中国系店舗の店先にベタベタ貼り付けられているほぼ中国語オンリーのカラオケ屋のポスターも派手派手しい。「麦克风」「卡拉OK」が日本語で「マイクロフォン」「カラオケ」くらい分かりますが、他に書いてある事もまあ大体意味分かりますよね。
その一方で従来から入居していた日本人経営の古い店舗は店主の高齢化が恐らく原因であろう、バタバタと廃業しては消えていく運命にあるようだ。なにせ築50年のマンションだもの、代替わりしようにも西川口という埼玉で屈指の悪評を誇る街は同じ日本人には不人気だ。どうせ中国人が代わりに入るに決まってる。
「ODENYAすてっぷ」さん閉店のお知らせ。25年間も営業していた店だったようだが…
その左隣の店舗は既に長期間空きテナントのままである。以前は「大津や」という和食の店が入居していた。やはり最近の西川口において日本人相手の商売では体力が持たないのだろうか…
あと1階店舗スペースは建物内通路の奥にも広がっている。中に入ると美容室が一軒看板を掲げているが、他はシャッターが降ろされたまま廃業している店舗ばかり。
美容室脇の行き止まりになった一画も間口の狭い扉が2つ、あとは店舗経営者の私物やガラクタが置かれているなどしてカオスっぷりが際立つ。どうも壁の形状を見ていると後から勝手に店舗スペースを区切って使っている感じがする。この空間からは「防災」という観点がごっそり抜け落ちている。
しかしそれだけでは終わらない。さらに通路の奥に進むとベニヤ板で不自然に区切られそれぞれ扉が付いていて、扉の前に住人が所有すると思しき自転車が何台か止められている。一部ベニヤ板が破損している箇所も見られ、雰囲気は完全に多摩川河川敷あたりで見かける不法占拠スラムのそれである。
反対側を見ると表の中華料理屋から出ているデカい排気ダクトが天井を狭くしている上に足元はやはり同じ中華料理屋のものだろうか、一斗缶や空き瓶、それにどこぞの住民の飼い犬が入れられたケージなどが置いてあって、突然ワンワンと吠えられてビビりそうになる始末。
「障害物等の放置厳禁」の警告文も虚しいばかりだ。芝園団地等と同じUR都市機構の管理物件とは思えない。一体どうなっているのだ?
その先の陰気臭い廊下を抜けると建物の反対側に出る事が出来るが、この胡散臭さ全開の共用スペースがあるUR西川口市街地住宅とは何なのだろうか、頭を捻る他ない。香港尖沙咀の名物巨大安宿ビル「重慶マンション」といい勝負してません?
で、こんなクソ怪しい場所にクソ怪しそうな共同便所まであるという展開にドキがムネムネしちゃいますよね。「洗手間」「男厠所」と書かれておりこちらも完全にチャイナ仕様。
「このトイレは公衆トイレではありません。入居者・関係者以外の方は使用しないで下さい」の注意書きがされている謎の共同便所。1階の店舗利用者が利用出来るようになっていて、一応男女別に分かれている。「請不要在此扔烟蒂」(ここにタバコの吸い殻を捨てないで下さい)と書かれた警告文もある。
さて、そんなチャイナカオスぶりが凄まじいUR西川口市街地住宅の一階に羊肉をたらふく食わせてくれる中華料理屋があると聞いていたんですが…ああ、ここですね。「中華料理小城」という店。ここも例外なく中国感満載。店先には火の付いた練炭が並べられている。
中華料理の羊肉と言えば、新大久保あたりでも割と普通に見かけるようになった東北・延辺料理店ではお馴染みのクミンや香辛料を大量にまぶした「羊肉串」あたりがお馴染みだが、ここ「小城」の名物は「烤羊腿」。日本風に言う所のラムのモモ肉焼き。前足が3800円、後ろ足が4800円とアバウトな価格設定になっているが…
ここで一つ烤羊腿・後腿(ラム肉の後ろ足)を日本語が全く分からない中国小姐な店員に指差しながらオーダーすると、この通りの肉の塊がドカンと盛られてくる。ほえー。満を持して5人連れで来ましたが、食べきれる自信がない凄まじいボリュームですよ。東京近郊では日本人向けに妥協して臭みを取った味気ないラム肉を高い値段で出すジンギスカン屋なんかが多いが、やっぱり野性味ある臭いラム肉の方が旨いに決まっている。
あとは各自肉を突いては練炭の火でテキトーに炙って、備え付けの香辛料をベタっと付けて食えばヨロシアルヨ。こりゃビールと紹興酒がどんどん進む。西川口住みの中国人もいいモン食ってんなあオイ。飲み物代含めても1人2000円以下で済んでしまうのが西川口のガチ中華なのである。往復の電車賃を叩いてもまた来たくなりました…
<追記>「小城」はUR西川口市街地住宅の閉鎖に伴い、西青木1丁目12−11(産業道路・西川口陸橋入口交差点東側)に移転しております。さらに立派な店舗にパワーアップしていてビックリした。