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大船・定泉寺「田谷の洞窟」(田谷山瑜伽洞)

連日の猛暑ですっかり参ってしまった東京DEEP案内取材班。取材活動どころではなくなってしまいそうで、単に夏の暑さが苦手なだけだが、だからと言ってもクーラーがガンガンに効いた屋内でじっとしているばかりでいるのもつまらない。
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という事で訪れたのは、東海道本線の大船駅。観光客が殺到する古都鎌倉の玄関口だが、乗り換え程度で軽くスルーされてしまう駅だ。
近年「パワースポット」などと軽薄なフレーズで神社や寺への参拝がブームのように持て囃されているが、そんなカジュアルさとはさっぱり無縁の巨大洞窟、「田谷の洞窟(瑜伽洞:ゆがどう)」という、洞窟マニアには知られる霊場がひっそり街外れに存在している。
鎌倉時代に真言密教の修行場として作られたという歴史的にも古く大規模な洞窟だ。


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そんな田谷の洞窟へは大船駅西口から徒歩30分と結構遠いので、バスを使おう。ドリームハイツ行きの神奈川中央交通バスに乗って10分少々。
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大船駅前は鎌倉市だが田谷の洞窟の所在地は横浜市栄区となる。横浜市ってでかいよな。だが横浜市でも栄区と言うと端の端。こんなのどかな田園風景がデフォルトとなってしまう超田舎地帯なのである。
住所は横浜市だが元鎌倉郡で、エリア的には完全に鎌倉といっても差し支えない。
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バスに揺られてしばらくすると「洞窟・ラドン温泉前」といういかにもな名前のバス停があるのでそこで降りる。
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バス停を降りると確かに「大船ラドン温泉」という施設が真ん前にドーンと建っているのだ。郊外にありがちな場末のロードサイド温泉施設といった趣きだが、入浴料金は1500円で立ち寄り湯としてはやや値が張る。夕方5時以降は夜間料金800円となるが、ひとまず華麗にスルーして先を急ぐ。
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田谷の洞窟がある定泉寺は大船ラドン温泉のすぐ真隣だ。実にわかりやすく看板が建っているので、すぐに目に付くはずだ。
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一瞬、寺の入口はどこにあるのかと思ったが、参拝者の停めた車の裏側だった。この季節柄、参拝といいつつ涼を求めにやってくる客の姿が絶えないようだ。
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定泉寺の山門。この定泉寺の建立は天文元(1532)年で、鎌倉時代に作られた瑜伽洞よりも寺の歴史の方が新しい。洞窟の拝観は朝9時から夕方4時までとなる。訪問時刻にはくれぐれも注意を。
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寺の境内は特に珍しいものもない。瑜伽洞の拝観は有料で、受付で拝観料400円を支払ってから中に入る事になる。洞窟内が薄暗いというので灯りにとロウソクも付いてくるが、一応照明が付いているので、使うかどうかは人それぞれ。
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定泉寺への参拝者は殆どが洞窟の拝観者な訳だが、実際は修行場であって我々はあくまで参拝者なのである。従って、ちゃんとお参りしてから洞窟に入る事にする。
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境内には水子地蔵尊もある。周囲に小さなお地蔵さんがびっしりと祀られている。
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年代ごとに訳られた小さな水子地蔵。中には服を着せられたものもある。この全てが本来生まれるはずだった命。
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境内の奥に進むと、急にひんやりとした空気が流れてくる事に気が付く。これが田谷の洞窟・瑜伽洞の入口。洞窟内は常に気温16度くらいで一定して、出入りすると外気温との差で激しく眼鏡が曇る。
洞窟内はなんと1キロメートルも掘り進められており、修行場として当時の僧侶が気合を入れて作った痕跡が窺える。ノミだけで洞窟を掘ったというのが凄い。だが安全上の理由とかで、実際の公開範囲はそのうち半分程度となっている。ゆっくり回ってもおそらく30分以内で済むだろう。
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しかし「御洞内撮影禁止」という札が掛かっている通り、中での写真撮影はご法度。という事で肝心の洞窟内の写真はなし。洞窟の入口までしかお見せできない。
鎌倉時代に掘られたという洞窟だが、巧に作られた「行者道」、沢山の磨崖仏、修行場として作られた大きなドーム状の部屋がいくつも存在している。
江戸時代までは洞門が閉鎖され長らく荒廃していたとの事だが、天保年間に大規模に整備され洞窟は拡大。その後は明治の廃仏毀釈運動の煽りで再び閉鎖され、関東大震災の被害もあって古い資料が無くなったそうだ。現在のような形で公開されるようになったのは昭和初期から。
ともあれ、信仰心の物凄さを感じずに居られない巨大な洞窟は一見の価値あり。少し遠いが、是非現地で見て欲しい。
>大船観音寺へ

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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