渋谷駅北東側、山手線の車窓からも見える場所にある「宮下公園」。渋谷駅にも程近い場所にあるが、駅前の喧騒とは打って変わって、気味の悪さが目立つ公園である。
もともとは渋谷区立の公園であり、東京五輪開催の時代に渋谷川の暗渠化工事があってからは現在のように駐車場の上が公園になっているわけだが、異様なのは宮下公園を取り巻く無数の落書きやらステッカーの数々。
立体化した公園の南北を行き来する高架橋の壁面にもびっしりと着いている。
…こんな所に三億円事件の犯人がいるぞ(笑)
渋谷という土地柄がそうさせたのかも知れないが、宮下公園は「グラフィティ」などと呼ばれるウォールアートもといスプレーによる落書きの聖地であり、行政がいくら消してもキリがなく事実上野放し状態になっている公園だ。
そういう経緯もあって、とあるNPO法人が行政の許可を取って既存の落書きを消した後に合法的にグラフィティを施した。先に書いておけばその上に書かれる事はないだろうという逆転の発想ともいうべき策だが、結局その上にもタギングが加えられるなどされてるし全体的に見苦しくなってしまっている罠。
宮下公園から明治通りを横断する歩道橋も、無駄に幅が広い割にはそこを通る人影はない。大都会・渋谷の死角とも言える奇妙な空間だ。
歩道橋の先にも夥しい数の落書きが放置状態となっている。
落書きに限らず、こうした右翼関係のビラも貼られ放題になるのが都会の死角における特徴。
誰がいつの間にこんなビラを張っているのか、グラフィティという名の落書きに興じる連中は何を考えているのか、平和に生きる一般ピープルにはとても想像にも及ばない世界。渋谷の片隅で社会のひずみが凝縮されている。
宮下公園の真下には渋谷駐車場の敷地が広がる。公園内だけを見ていれば年季が入りすぎていてとても駐車場が下にあるようには思えないのだが、ところがどっこい、である。
宮下公園の敷地には渋谷川という川が流れているのだが、この付近から東急百貨店の南側までは全て暗渠化されていてその姿を見る事はできない。暗渠の上をバイク駐輪場が整備されている。
渋谷の街には、この渋谷川と宇田川という二つの川が、その存在すら知られずにひっそりと街の下を流れているのだ。
肝心の公園部分だが、一応遊具は置いてあるのだが、いつ来てもひっそりとしていて子供が遊んでいるような事は全くないのだ。その代わり見掛けるのがホームレスさんのお宅である。渋谷の街において宮下公園はグラフィティの聖地だけに留まらずホームレスの聖地でもあるのだ。


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