三浦半島の先端部、三崎港を起点に三浦半島一帯を散策する小旅行に出向いた我々東京DEEP案内取材班。
買い物客で賑わう三崎港朝市を早々に抜けて、磯の香りが充満する三崎港周辺を少々散歩することにした。
港から岸壁を眺めると三浦市の超低温冷蔵庫と書かれた建物が2棟見える。超低温というフレーズがやばい。もちろんこれは水揚されたマグロを完全凍結状態で長期間保存するための施設で、バナナで釘が打てるどころのレベルではない世界が広がっているのだ。
岸壁の向こうは城ヶ島が広がっている。三崎港は城ヶ島が天然の防波堤となっているため、波が非常に穏やかである。
京急バスがやってくる三崎港のバス停の正面には沢山の小型漁船が係留されている。まずバス停を降りると途端にこの風景なので、いやがうえにも旅情を誘うのだ。
三崎港のバス停から朝市会場となる市場付近までの岸壁沿いにはマグロ料理を出す定食屋や民宿が連なっている。明治41(1908)年創業という三崎館本店の建物は特に重厚感が際立つ。
三崎港に沿って走る道路に建つ店舗の裏を見るとすぐに登り坂になっている。三浦半島は極端に平地の少ない土地で、三崎港を離れて郊外の丘陵地帯を見ると一転して広大なキャベツや大根の畑が連なっている。三浦市はマグロや海産物に限らず野菜栽培も神奈川県随一の規模を誇る。
さっき食ったイカ焼きとイカ団子の量が中途半端だったので、せっかくなのでしっかりとした朝飯を食おうと再度入り直したのは「食事処魚音」という小奇麗な定食屋だった。
魚音で食えるマグロ漬け丼(945円)は多すぎず少なすぎず無難な量とクオリティ。半分くらい食った所でお茶漬けにしてもらえる。早起きし過ぎて寝不足気味の胃袋には優しい。少し贅沢な朝飯である。
適度に腹を満たした後は隣接する三崎港産直センター「うらり」へ。朝市だけでなくここでも海産物などがしこたま売られている。もう朝市の時間的には遅いのかしてだいぶ閑散としてしまっている。
この「うらり」の建物脇の岸壁から城ヶ島行きの渡船が運行されている。城ヶ島は三浦半島本体とは城ヶ島大橋で結ばれているため車での行き来も可能だが、天然の有人島としては東京から最も近い島で、横須賀の猿島と同様に軍事拠点として使われていた歴史を持つ。
船に乗り込むやいなや、客室手前の料金箱に1人200円を入れる。船頭のオヤジさんの他に客は誰も居なかった。城ヶ島大橋を使えば徒歩でも島へ渡れるが、遠回りで大変なので今回は船で渡る事に決めた。
渡船で島に渡るというこのゆるい時間が貴重だったりする。三重県の渡鹿野島ほどではないが、なぜか離島へ渡る瞬間というのは無駄にドキドキワクワクするものである。