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横浜ド下町ゾーン「天王町」 (4) 天王町日用品市場<中編>

天王町日用品市場の中は、戦後の光景が今に息づくタイムカプセルのような空間だった。

かつては市場だったようだが、現在は殆どが表の店舗の物置き場として使われているため、一見すると中に入ってもいいのかどうか…といった佇まいなのだが、この奥にコインランドリーがある。



市場の名残りは当時のまま残された「鶏肉中村屋」の看板で容易に窺い知る事が出来る。店自体はシャッターで封鎖されていて中の様子が分からないが、店の手前に張り出している陳列ケースは当時のままだ。

2階建ての市場が吹き抜けになった高い天井には色褪せて茶褐色に濁ったトタン屋根を通した太陽光が、市場全体を黄金色に照らしている。頭上も物置き場として板が張り渡されているが、腐り落ちそうで見るからにヤバイ。

通路側から2階の窓も見える。どう見ても住んでいる様子はないが、昔は市場の店主の住居か何かだったのだろうか。

コインランドリーの店の前にまで大量に積まれている食用油の一斗缶やガラクタの数々。恐らく表の上海飯店のものであろうと思われる。

かつて市場だった頃に使われていたであろう陳列ケースがガラクタに混じって置かれている。店の主は既におらず、どこに行ってしまったのだろう。相変わらず卵のパックや段ボール箱など食材の包装が乱雑に捨てられている。

出入り自由な状態の物置き場なので、時折、置いてある野菜とかが盗まれて持っていかれるらしく「野菜泥棒!!!」「ビデオ防犯中!!!」などと書かれた黄色い札が張られているのがシュールでオマヌケだ。どこの発展途上国の日常風景なんだよ。

そんなカオス状態の市場のほぼ中央に皆様のコインランドリーが店を開けている。日本中探してもこんなに入りづらいコインランドリーはあまり見かける事はない。横浜の下町恐るべし。

コインランドリー自体はごくごく普通の仕様であって特段ツッコミどころがあるわけでもない。ちゃんと洗剤の自動販売機や、待ち時間に読める古新聞なども置かれていたりして親切だ。

しかしこんな薄汚い場所に洗濯物を持ってきてかえって汚してしまいそうな気がしてならないと感じるのは潔癖すぎですか。

で、これで終わりかと思うとまだ早いのだ。
コインランドリーからさらに奥に入っていくと、先程の入口ではなく棟続きに市場が続く北側の区画に抜けることが出来る。さっき外側からだとシャッターで閉ざされて中に入れなかった場所だ。実はここから出入り出来るのだ。

市場の2つの建物を結ぶ隙間の部分はモルタルの外壁が完全に崩落していて危険な状態になっていた。次に地震が来たら間違いなくアウトだろう、これ。

誰も訪れる事もなくなった廃墟の市場。まさに下町のブラックホールである。

天井で頭をぶつけそうなくらい低い開口部を通って、市場北側の区画に足を踏み入れる。この先は完全に廃墟になっていて、もはや人外魔境レベルである。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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