セレブ外国人タウン「広尾」に下町の路地裏風景がある件 (1)

広尾と言えば大使館勤めのセレブな外国人が闊歩する街であるというイメージが強いが、元々は下町だったと思わせる風景が随所に残っている。
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再び地下鉄広尾駅前に戻る。有栖川宮記念公園と反対方向に入るとそこには広尾商店街。例外なく、道行く人の姿は外国人だらけである。


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パッと見、表通りはおハイソ仕様で、オシャレなカフェやバー、ワイン屋なんぞが並んでいたりして、さすがだな…と思ってしまう訳だが。
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だがそんな場所に突然「広尾湯」という銭湯が現れる。しかも広尾駅側からかなり近い場所である。
古いマンションの1階で営業している銭湯だ。ちゃんとコインランドリーまで併設されていて、まさかこんな場所に風呂なしボロアパートが隠れているのだろうか、とウキウキしてしまいそうになる。
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目の前を行き交う人々は一生涯銭湯とは何の縁もなさそうな育ちの良い方々ばかり。広尾がセレブタウンと化す前から地道に続いている銭湯、既に広尾にはここ一軒しかないそうで、もう一軒あった「松の湯」は店じまいした模様。
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商店街の突き当たりには祥雲禅寺の山門がある。周辺は寺町で、いくつも寺が存在している。山門を潜った瞬間にセレブタウンの浮ついた街並みから一線を画すこと請け合い。
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商店街の終端は明治通りと合流して恵比寿方面に続いている。こんな所にも、今にも倒壊しそうなオンボロ木造店舗の姿がある。オシャレとレトロな共存する空間だ。
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広尾湯の存在を知って、これまで持っていた広尾へのハイソなイメージが崩壊する瞬間。
銭湯のビルの角から路地裏に入ると、狭隘な裏通りに小さな木造家屋が密集している光景に出くわす。これには驚いた。
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広尾商店街側から路地を見ようにも、意識しなければとてもそんな街並みが隠れているようにはとても思えない訳なのである。
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広尾商店街の北側一帯に押し込められるように立ち並ぶ住宅街、元麻布二丁目本光寺裏の住宅街と存在がだぶりそうな街並みがそこにはあった。
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住宅街のすぐ裏手は崖になっている。その上にはお嬢様大学の一つとして知られる聖心女子大学。崖を境目に別世界が広がっているかのようだ。
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路地裏にぽっかり開いた空間にはアジサイの花が咲いていた。その奥にももう一つ狭い路地が続いている。
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アジサイの向かいには寺の掲示板が置かれている。上宮寺という寺のものらしいが、肝心の寺の境内は広尾商店街の外れにあって、かなり離れている。
つまりここは上宮寺の土地という事であろうか。
広尾の路地裏と良く似た風情の元麻布の本光寺裏のバラック村も、本光寺の借地なのである。
四谷鮫河橋に見られるように明治時代のスラム対策として寺が土地を貸し与えたり、三銭学校を開いたりした例が東京の各所にある。詳しい経緯は分からないが、広尾の路地裏アパート群の成り立ちも、もしかするとそういった事情があるのかも知れない。

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