東京では上野公園や新宿中央公園などと並んでホームレスの楽園である、浅草の隅田川沿いにある隅田公園。ここでは毎週日曜日に支援団体による「炊き出し」が行われ、沢山のホームレスが飢えて冷え切った身体を引きずって、タダ飯にありつこうとする。
その炊き出しの様子をたまたま拝む事が出来た。既に結構な数のホームレスのオッサンが川岸で飯を食っている最中だった。隅田公園での炊き出しは毎週日曜日にとあるボランティア団体が主催しており、ちょうどその最中だったらしい。
隅田川河畔の遊歩道の一角にはポリバケツに食糧を詰め込んだボランティアの方々が、延々と行列を組むホームレスの皆さんに飯の配給を行っている。やはり並んでいるホームレスは殆どが中年以上のオッサンばかりだ。非常に寡黙かつ律儀に、自分の番が来るのを待っている。
リーマンショック以後の2009年から、隅田公園に住むホームレスの数が一気に増えたそうだ。配給食糧が行き渡らなくなるのではないかと心配になるが、これでも全員に行き渡ったらしく最後には「もう他におられませんか?!」と職員が念を押して呼びかけていた。
炊き出しの飯は何だったのかと思って覗いてみると、どうもスープスパゲッティ的な何かのようだ。見た目にも旨そうには見えないが、暖かい食べ物がタダで貰えるのはホームレスにとって有り難い。皆が皆、貪るように味わっていた。
隅田川を眺めながらランチタイム。川向かいには着々と伸びていく東京スカイツリーが間近に見える。だがそんなタワーなど彼らの人生には箸にも棒にも掛からない。あと、食い終わった食器を川に投げ捨ててるオッサンがいたぞ。それはダメだろ。
言問橋を越えて北側一帯も非常にホームレスの数が多い。ここもゴミ箱から溢れ出したゴミの散乱っぷりが凄まじい。
公園の外にもがっつりDIY建築で作られたテントハウスがずらーり。外観はアレだが部屋の中は普通の家のそれと大差ない。
こういう人達は普段電気ガス水道をどうしているのか気になったが、水道はそばの公園から、ガスはカセットコンロ、そして電気系統はガソリンスタンドから使い古したバッテリーをもらってきて、それを器用に繋ぎあわせて電源を取っているそうだ。余裕でテレビも見れるらしい。
暗渠化した山谷堀が隅田川に注ぐ水門付近にもホームレス小屋が並んでいる。この小屋は傍らにリアカーや空き缶、物干しや調理器具までが外側に置かれていて生活臭が漂う。確か「TOKYO 0円ハウス0円生活」で紹介されていたカリスマホームレスの小屋というのは、ここのことか。
小屋の上に立て掛けられたハシゴは、小屋の住人が堤防の上を乗り越えて行き来するために置かれたものだろう。随所に生活の知恵が隠れている。この先、白鬚橋あたりまでは隅田川沿いの岸壁に延々と小屋が立ち並んでいる。
さらに川向かいの墨田区側もかなりの数のブルーテントが並んでいて見るからに圧巻だ。
ちなみにホームレス日本一の大阪市は、ホームレスに生活保護を支給させて福祉住宅をあてがい福祉の金をピンハネするブローカー「囲い屋」の暗躍が際立ち、弱者を食い物にする実態を重くみた市側が生活保護申請者であるホームレスの住居探し支援を行った。(→詳細)その結果大阪市内からテント村が急激に減少している。
東京の都心を流れる隅田川、そこにはスカイツリーや浅草の街を闊歩する観光客もいれば、すぐそばで必死で生きようとするホームレスもいる。都市の光と闇、生と死が共に存在するこの隅田川は、さしずめ東京のガンジス川である。