タワマン乱開発の影で高齢化進行中「辰巳団地」の取り残され具合がヤバイ件 

江東区

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3000世帯以上も収容していた東京有数のマンモス団地である辰巳団地だが、商店が立ち並んでいるのは団地の中心の一角だけに過ぎない。2つある高層棟のうちの1つ、9号棟の1階部分に下駄履き店舗として並んでいて、その先の中層棟の下に連なる「たつみ商店街」との2区画で構成されている。んで、案の定というかお約束というか、商店の看板と交互に公明党か共産党のポスターが貼り付けられているのも都営団地らしくて素敵。

チェーン店は排除傾向か?と一見すると思うのだが、コンビニがローソンとポプラが何故か2軒並んで入居しているという状況。なぜ2軒並びで別のコンビニ店舗が入っているのか意味不明なのだが、辰巳団地内にはこの2軒のコンビニしかない。あとは少し団地を外れた北側にファミリーマートがあるくらいか。

広島ローカルだけど東京にも割と進出しているコンビニ・ポプラの隣には貧民仕様のディスカウント自販機もあって缶ジュースもお安く買う事ができるのである。さすがに山谷や西成で見かけるような50円自販機はなかったけども。

団地住まいの老人が酒を調達するための貴重なマインマートも辰巳団地内に店を構えておるぞ。恐らく辰巳団地内にあるアル中御用達4L焼酎ボトルの大半がここで買われたものだろうと推測する。大五郎、鼻が高いな。

あまりに古びて看板が一部外れて無くなってしまった団地の診療所も、年季の入り具合を思い知らされる。この診療所は既に閉鎖されていて、後に看板が全部取り外されて空きテナントになってしまいました。全体的に寂れた感じはあるが、この辺は利用者がまだ多くてシャッター街と言われるまでは弱ってはいない。

ちなみに9号棟1階部分の商店街は裏側から見るとこの通り、トタン張りの掘っ立て小屋みたいなものでそれぞれ建て増しされていて土地の使われ方がフリーダム過ぎて感心する。今どきの江東区は都心に括られる程のエリアになってしまって、こんな土地の使われ方は贅沢にすら見えてしまうものだが…

そんな下駄履き商店街がある9号棟に入る。やけに有機的な生活臭が入り混じる団地ならではの匂いが気になるが、エレベーターがちゃんと取り付いているのはこの高層棟だけだ。昭和40年代の団地で5階建てならエレベーターはまず付けられる事はないのだ。どうでもいいけどここにも「犬猫等の飼育はお断り」の注意書きが。

次いでエレベーターホールの掲示板にあった注意書きの数々。窓からタバコの投げ捨てはやめろというのはよくある内容だが、左の「お一人でお暮らしの方が、突発的な疾病などがあっても、安心して生活するために大切なこと」云々書かれているのは、つまり孤独死がかなり問題化している事を暗に示しているのだろう。

それにこの団地、中国人の住民もじわじわ増えているらしく一部の注意書きには中国語で併記されているものも見かけられる。元の住民が高齢化で居なくなった所に外国人が入居していくケースは全国共通である。辰巳団地もそのうち芝園団地みたいになっていく運命なのか?

辰巳団地の下駄履き商店街

さらに9号棟から信号を渡った東側に「たつみ商店街」があるのだ。ここも49号棟と51号棟の1階部分が商店になっている。団地の商店街と聞くだけで無駄にワクワクしますね。毎度ありがとうございます!楽しいお買物をどうぞ!

入口を見るとウエルカム感全開な「たつみ商店街」だが一歩足を踏み入れるとそこには怒りが込められたようなオドロオドロしい手書きの文字で「小便するな!!」との警告看板が…えーん怖いよう。本当にここの住民は犬猫畜生並みの扱いでも受けているのだろうが昔からよっぽどの事があったんだろうな。

で、たつみ商店街の中に入ると、中層棟に囲まれて申し訳程度に花壇の広場が設けられていて、妙な石像も置かれて意味もなくヨーロピアンスタイルなんですが並んでいる店が場末臭全開で全体的にくたびれ具合が尋常ならないという…

それでも、食料品店や酒屋、金物屋など日常生活に欠かせない商店は一通り揃っていて買い物に困る事は恐らくなさそうなラインナップである。案の定、客は爺さん婆さんばかりである。とうに老いさらばえて、この狭い人工島から出る気力も無くなったご老人達の最後の生活空間なのかも知れない。

さらに肉屋に八百屋に整骨院まで。辰巳団地の住民はわざわざ人混みで溢れるイオン東雲店まで行かなくても大丈夫なように出来ているようです。というか昔はもっと交通不便で工場地帯以外に何もなかった訳だから、ここで生活が完結するくらいのインフラがないと話にならなかっただろう。

もちろん、こんな場末の鄙びた都営団地の下駄履き店舗にシャレオツなチェーン店が入る余地などミジンコ程にもございません。オバ服屋の隣の「明治パーラー」は乙な佇まいの軽食喫茶店。団地では貴重なご老人達の語らいの場にもなっているようです。

で、ここにもしっかり団地住民向けの診療所があり、ご丁寧に共産党のポスターがベタベタ貼り付けられている。民医連系とかでしょうか。生活保護受給者でもしっかり面倒見てもらえそうでよかったですね。

しかしこんな鄙びきった商店街にもいよいよ中国系の商店が進出しているというのだから凄い。もはや芝園団地化は避けられぬ運命なのだろうか。中華食材がメインだけど、何気に「廃車相談」などと張り紙が貼ってあるのが気になる。

あと「たつみ商店街」は49号棟の外側の道路沿いにも店舗スペースが広がっているのだが、こちらはとっくに寂れきってシャッター街と化した商店の残骸が物悲しさを誘っている。昔はもっと人通りが多かったんだろうな。

和風スナック太陽も玄関や窓にベニヤ板で目張りがしてあってもう既に「昇らぬ太陽」と化してしまっていた。そんな廃墟スナックに「安定は希望です」の公明党ポスターは何の皮肉か。

端っこにあった居酒屋と中華料理屋は辛うじて営業を続けていた。これらの店も団地住民以外に客が来る事など殆ど考えられない。高齢化していく団地の人々と運命を共にしていくのだろう。そして将来は中国人が経営する店に変わったりしてな。

今後も建て替え計画がある「都営辰巳一丁目アパート」だが、運河を挟んでそびえる東雲のタワーマンションの豪華っぷりとは裏腹に土地に根付いた貧乏臭さは消える事は無さそうだ。まさしく「格差社会」を肌で実感できる街、江東区辰巳。貴方も一度お散歩してみませんか。

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