記事を人に教える

【ヤシオスタン】工場産廃地帯が乱立するNIMBYな街「八潮」にあるイスラムのモスク

記事を人に教える

【キュレーションメディア等、他サイトへの記事中の文章・画像無断転載厳禁】

東京都足立区の外縁部に位置する埼玉県八潮市、ここは都内からはみ出た町工場や産廃処理場、解体業者、ヤクザからオウム真理教までその他諸々のアウトローが押し寄せる「NIMBYな街」として当方が常々熱視線を送っている街であるが、この八潮には中古車販売業を営むパキスタン人が多く住み、八潮市役所周辺に何軒もパキスタン料理店が連なり「ヤシオスタン」と呼ばれていることは前回のレポートでお届けした。

そんなわけでまた八潮にやってきたわけですが…相変わらずつくばエクスプレス八潮駅周辺は「首都圏最後のフロンティア」と呼べる空き地だらけの風景で、周りに建物がないお陰で広々と青空が見渡せる。今回は、以前のレポートで足を運べてなかった同市浮塚にある、ヤシオスタンのパキスタン人が集まるイスラム教寺院とやらを拝みに行くために訪れた。

ヤシオスタンのパキスタン料理店「カラチの空」も良かったが、こちら「八潮の空」も今の春真っ盛りの季節には悪くない。ずらりと連なる巨大な高圧電線を配する鉄塔が街をお構いなしに横断している様子、よもや東京23区のすぐ近くで見られるそれとは思えない。

八潮駅周辺は既に多くのマンションが建設され新住民も程々に増えているが、同じTX沿線では環境の悪い埼玉県区間は不人気極まりなく、人気の高い流山や柏と比べると発展のスピードは遅い。しかし秋葉原から20分足らずで来られる地の利の良さからこの一帯もいよいよ区画整理事業が進み、新興住宅街が広がりつつある。そんな発展途上な駅の西側一帯をぶらぶら歩きつつ、浮塚地区を目指す。

「うまい棒」のやおきんの配送センターが八潮にあった件

そんな作りかけの区画整理用地の車道の終端部となるあたりに何やら見慣れたキャラクターが描かれている物流倉庫の建物がある。なんとあの、みんな大好き「うまい棒」や「キャベツ太郎」等の駄菓子類販売業者である「株式会社やおきん」の配送センターがこの土地にあるのだ。ちなみにやおきん本社があるのは錦糸町と押上の間の墨田区横川五丁目だが、実質的な販売拠点はこちらのようだ。

配送センターに横付けされる「うまい棒」ラッピング車両の数々。うまい棒好きには夢の国のようにも思える光景だが、以前取り上げた同じ八潮にあるポテトチップ菊水堂の工場にあるような直売コーナーは設けられていないので残念ながらここでうまい棒は買えない。製造業者(リスカ、菓道)は茨城県常総市にあり、そこから常磐道を経由してのアクセスが比較的良好で、なおかつ最大供給地である東京下町ゾーンに隣接したこの土地に配送センターを置いたのが1989年のことだそうで。

ガチすぎる工業地帯が広がる八潮市浮塚地区

やおきんの配送センターを過ぎるとその先が浮塚地区。車道も一気に狭くなり田舎道に町工場が乱立するガチなブルーカラーゾーンに突入する。八潮から地上区間を走るつくばエクスプレス線もここから東京方面は概ね大深度地下を潜っていて、この真下に電車が走っているらしいのだが、全くそんなことに気が付かないくらいに工場しか見当たらない。

浮塚地区は綾瀬川、垳川を都県境に足立区南花畑、神明と接しておりその大部分が工業地帯である。人口わずか8万7千人しか居ない八潮市だが、埼玉県下では川口市、さいたま市に次いで第三位の工場数を誇り、人口比率から言えばブッチギリの工場密集度だと思うんですが、その労働者や経営者の多くがお隣の足立区から来ているんでしょうね。

浮塚の工業地帯には鉄鋼、電気、紙業などなど、種類を問わない町工場の見本市と言える街並みが広がっているが、やはり気になるのは「自動車解体工場」という業種。こちらの「ナフケーンアソシエイツ」はナイジェリア人社長が経営する自動車リサイクル工場で、金属リサイクルから中古自動車パーツの販売、ナイジェリア向け貨物輸送業などを幅広く営む。

工場ばかりかと思っていた浮塚地区だが、ふいに宅地が現れたりするので意外である。お世辞にも空気が良い場所とは言えないはずだが、住民はやはり工場関係者でしょうかね。そして安定は希望の某宗教政党ポスターもお約束。

そんな場所にぽつんと一軒だけある飲食店がまた個性的過ぎてどうしようと思うテンションですが、こちらの「ネコハウス」という食い物屋、喫茶なのか居酒屋なのか見た目では不明なところがまたそそられる。ピンクに塗られた母屋と一体化した店舗のデザインもどこかしら「ペンギン村からおはこんばんちは」的80年代ファンシー風味。

店の看板の猫イラストもまた香ばしい。あら、股間に例のチョメチョメマークがついていますね。メス猫ということでしょうか。しかしオマセ中高生の落書き的ノリ全開なそのマークを店の看板に使っちゃう大胆さが八潮クオリティですよね。恐らく近所の工場の従業員に昼飯を提供している超絶ローカル飲食店と思うんですが、今回は店に入る時間の余裕もありませんでした。

ああ、ありましたよ、工業地帯のど真ん中にモスクが

そんなカオスな工業地帯の片隅に探していたイスラム教のモスク「ジャミアマスジド八潮」が存在していた。なんか奥まった場所にあって非常に分かりづらいのだが、工場と工場の間の細い路地に入っていったところにひっそり佇んでいる。

「ジャミア・モスク・ゴーシア八潮」というのがこのモスクの正式名称らしい。モスクの公式サイトによると、ここは2000年に設立されたモスクで、八潮市内には1500人以上のムスリム信者が在住し、このうちの8割はインド、バングラデシュ、スリランカ、アフリカ人であると説明している。パキスタン人もいるかと思うんですが、サイトにはその記述はなかった。

首都圏には結構な数のモスクが存在するが、代々木上原の東京ジャーミイや行徳のヒラーモスクのような堂々とした佇まいのモスクは少数で、こうした八潮の外れの辺鄙な工業地帯の中に隠れるようにして活動しているモスクは見ていてなんとも肩身の狭さを感じさせる。

近年はムスリム系住民の増加で彼らの死後、宗教上の理由で土葬しなければならない決まりがあるにも関わらず埋葬される墓地が確保できないことが喫緊の課題となっている。首都圏近郊では山梨県の塩山や静岡県の清水に土葬可能な墓地が少数ある程度で、日本はまだまだムスリム系住民に開かれた社会ではない。今後どうしても無視できない問題だと思うんですが…


The following two tabs change content below.
東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
タグクラウドから記事を探す
DEEP案内編集部のnote

知ってました?DEEP案内編集部のnote

ネット上で大っぴらにするのはちょっと憚られる内容の記事は「DEEP案内編集部のnote」で書く事もたまにございます。全て100円からの有料記事となっておりますので興味のある方のみご利用下さい。

記事を人に教える

トップへ戻る
Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.