日暮里舎人ライナーがあるのに何故か廃墟と化した商店街が…足立区「上沼田団地」の寂しい街並み

足立区

2008年に「日暮里舎人ライナー」が開通し、日暮里方面からのアクセスが飛躍的に高まったはずの足立区西部エリア。しかし同線の開通から8年が過ぎた今も、足立小台~見沼代親水公園までの足立区内の9駅は、いずれも駅前の発展度は牛歩の如き状況で、再開発で大型マンションが続々建設された西新井駅周辺とは対照的。やはり不人気路線なのだろう。

足立区 江北

そんな日暮里舎人ライナーの「江北駅」の西側一帯に、昭和36(1961)年から建設された「上沼田団地」という大規模な都営住宅群がある。初めてここを訪れたのはちょうど8年前、日暮里舎人ライナーが開通したばかりの頃にやってきては、極限状態に老朽化した昭和の団地群を眺めながら、やっぱり足立区ヤベエとか言っていた覚えがあった。当サイト開設当初にお粗末なレポートを掲載していた事も、昔からの読者各位には記憶にあるかも知れませんがね。

足立区 江北

足立区江北四丁目に属する都営上沼田アパート付近を2008年に訪れた時、既に一部の住居棟で建て替え工事が始まっていた。

足立区 江北

工事現場のフェンスの脇には大量に粗大ゴミが不法投棄され、あまつさえ捨てられた扉に電波な落書きまでされている始末。底抜けの足立区の民度を思い知った瞬間である。

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今はもう残っていない上沼田団地の案内図を見れば、この団地の規模の大きさが分かる。上沼田団地はかつて1600戸超もの一大団地として機能していた。この「上沼田団地」の名称は江北四丁目に所在していた都営上沼田アパート、上沼田第二アパートをひっくるめたものらしい。

さらに環七通り北側にも上沼田第三アパートという別の都営住宅があるし、他の都営江北一・二・三丁目アパート、UR江北六丁目団地なんぞも含めると団地だらけの街、という言葉がピッタリ当てはまる。それが足立区江北という地域なのだ。

足立区 江北

今でこそ日暮里舎人ライナーがあるので都心からもアクセスしやすくなった地域だが、かつては西新井や王子・赤羽あたりから路線バスで来るしか方法が無かった陸の孤島でもあった。数ある東京の街の中でも初めから存在自体忘れ去られた街でもある。戦後、膨張する都市圏の片隅で貧困層を粛々と受け入れていたのが足立区のこうした地域だったのだ。

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2008年当時に残っていた住居棟もその多くが築50年近く、順次建て替え対象となってしまい、いずれも2015年までに解体されていて現存していない。この中には「母子アパート」「民生アパート」という、名前そのものが貧困を物語るような特定住民を入居対象としていたと思しき住居棟もあった。

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当初は風呂無し住宅として設計された為に後付けで浴室が取り付けられていた上沼田アパートの古い住居棟。無駄に目立つ鉄筋や配管類がいかにも後付けしました感を漂わせていた。

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それから8年後の2016年4月現在、上沼田団地の中央を走る通りを歩くとこの通り、古びた住居棟はほぼ解体を終えていて、大部分がフェンスで覆われた工事現場に変わっていた。既に一部は建て替え後の「江北四丁目アパート」の高層棟が立ち並んでいる。

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環七通りが目の前にあって自家用車があれば便利そうだし、徒歩5分で日暮里舎人ライナー江北駅にも行けるので、昔と違って不便は殆ど感じない穴場だと思うんですが上沼田団地は都営住宅がメインなので基本低所得者しか住めません。

ほぼ廃墟と化した街の銭湯と商店街がある末期的下町風景

足立区 江北

足立区江北には大規模団地があった影響で銭湯も昔は数多くあったようだが、その中でも「光浴場」という乙なネーミングのビル型銭湯の成れの果てが上沼田団地のすぐ横に残っている。上層階は普通にマンションっぽいので建物自体は廃墟じゃないんですが、とうの昔に廃業してしまっている。

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「パーク西新井」というマンションの一階に残る「光浴場」のエントランス。パット見、ただのマンションの勝手口か何かにしか思えない殺風景さですが、既に廃業して15年くらい過ぎているようです。

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半地下式となった光浴場の正面玄関はシャッターが閉じられたままになっているが、通路は行き来可能な状況となっている。忘れ去られた街の忘れ去られた空間。そんなところに…

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何故か山積みにされたレンタルDVDの空ケースが…なんですかこのイリーガル感漂う光景は。大量に借りたDVDをパクってケースだけこの場所に捨てて行ったんでしょうか。そんな不可解極まりない光景も全ては「ここは足立区だから」という説明だけで済む。そう、足立区だから。

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上沼田団地の近くにもう一軒ある「いこい湯」は千鳥破風屋根の玄関口を構え威風堂々とした由緒正しき下町銭湯の佇まい。こちらはバリバリの現役営業中。営業時間は15時半から22時まで、名前の通り地元のご老人の憩いの場となっているが、こんな銭湯が現役でいられるのも今の老人世代が元気なうちだろうな。ちなみに銭湯は江北二丁目にも「江北湯」というのがある。

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それから上沼田団地の南東の外れに、かつて団地住民を当て込んで作られたと思しきローカル感漂う商店街の残骸が残っている。店舗兼住居ライクな二階建ての長屋にでかでかと「皆様の水幸ストアーお気軽に」の看板が昭和風味を漂わせる。一番右側の、おしゃれの店なのか駄菓子屋なのかもはや何の店か定義不能な「徳井商店」だけが現役営業中です。

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まるで閉山後の炭鉱町のオワコン状態な商店街を見ているかのような、どうしようもないこの寂寥感。一応ここ、東京23区の仲間ですよ?水幸ストアーの元締めらしき生鮮食料品店「水幸青果店」も既に店を畳んでしまわれているようでお気の毒であります。

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しかしちょっと油断するとこんな違法業者の広告が貼り付けてあるのが相変わらずの足立区クオリティなのです。未だに都区内でこんな広告が街中に見られるのは足立区くらいじゃないでしょうか。

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水幸青果店のすぐ隣に「鈴木ストアー」という文字が辛うじて見えるかつてのスーパーの残骸もある。同じ足立区でも西新井あたりの活気とはまるで違います。日暮里舎人ライナーの駅が近くにあっても決して栄える事はないらしい。足立区民は車で買い物に行く事も多いし、駅前にはデカい駐車場付きのスーパーライフもありますしね。

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鈴木ストアーの向かいにはさらにもう一軒「中村マーケット」という物凄く古めかしい市場が残っていて、こちらも表の豆腐屋(越後屋豆腐店)が一軒だけ細々と店を開けている。

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そんな激寂れ商店街から江北駅方面に行くとこの通り、江北苑というオツな佇まいの焼肉屋もあるという奥深さ。扇大橋の平壌苑や鹿浜のスタミナ苑、興野の長興屋など、昔から在日コリアンが多いお土地柄なのでこのような隠れ家的老舗焼肉店が充実しているのが足立区クオリティ。

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江北苑の建物横手に手描きされた間抜けな牛のイラストと「ちょっと よってかない?」のセリフが脱力感を誘う。そしてお約束の公明党ポスター。まさに足立区流のユルユルっぷり。日暮里から片道10分ちょいで見られる、これが東京都区内の「極北」の街並み。

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しかし、相変わらずヤンキーのマーキングが多いというどうしようもないお土地柄なんですな…


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