【大田区】高級住宅街と下町の境目、朝鮮学校もある街・東急池上線「千鳥町」を歩く

大田区

大田区蒲田と品川区五反田を結ぶ都会の田舎的路線「東急池上線」沿線、久々にこの界隈に訪問する機会があったので、以前から地味に気になっていた「千鳥町」という街を訪ねる事にした。蒲田からは三駅、池上本門寺の門前町である池上駅の一つ隣にある。

地元民でなければそうそう乗る機会もない池上線のローカル感漂う千鳥町駅に降り立つ。ここは東急多摩川線の武蔵新田・下丸子の両駅も徒歩圏内にあって、都合によって使い分ける事もできるが、どちらも東急のローカル線でしかないわけで、ひたすらマイナー感が際立っている。

ところで池上線と言えば去年10月に東急電鉄が無料乗り放題キャンペーンを大々的に行った事が記憶に新しい。あの時は各駅ごとに凄まじい乗客の群れが押し寄せ普段の利用者にとっては傍迷惑極まりないイベントだったように記憶しているが、やはり普段の池上線と言えばこの駅前のようにひと気も少なく、行き遅れた感じのある風景がお馴染みである。

とりあえず駅前一等地が「居酒屋浮かれ海老」な時点でこの駅のポテンシャルの低さを思い知る事になる。なんで海老が浮かれているのか分かりませんが角地に建っていたら屋号が角海老になっていたかも知れませんね。「決してキレイでオシャレなお店ではありませんがお気軽にお入り下さい」とのことですが、千鳥町駅前ではダントツの人気酒場のようです。

そして駅前商店街も見ての通りの寂れっぷり。地元民に評判のパン屋が一軒だけ賑々しいが、それを除けば概ねシャッター街。駅前のスーパーもせいぜいサミットくらいしかなく、少し大きな買い物をする為にはその都度蒲田に出る事になるだろう。

商店街の一角にそびえるレトロな佇まいの喫茶レストラン兼スナックと思しき建物も廃業したまま荒れるに任せるが如く、廃れた姿を晒している。久が原のハイソな戸建て住宅に住んでいるような地元民は恐らく自家用車利用がメインだろうし駅前が栄える要素が見当たらない。

同じ大田区の中でもド下町エリアである蒲田と高級住宅街の田園調布のちょうど中間地点にある街がここ千鳥町である。ここから北側の久が原六丁目もまた高級住宅街として知られるエリアとなるが、この付近はまだ大田区下町ゾーンの範疇らしく、少し歩くと町工場なんかが点在する風景となる。

駅南側の千鳥二丁目に入ると、メッキ工場だのボーリング機材製造だの音響プラグ・コネクターの製造だの、ありとあらゆる工業製品を扱う町工場が点在する、大田区デフォルトな街並みとなる。そこを歩いていると目についたのが、ある一軒の建物である。

「東京朝鮮第六初級学校」がある街・千鳥町

それがこの真新しい建物になっている、とある学校の校舎。学校は学校でもこれは朝鮮学校である。「東京朝鮮第六初級学校」の校舎は2015年に建て直され、近代的な佇まいに変わっている。グラウンドにフットサルコート「K-field」も併設されていて、ここは朝鮮学校の生徒に限らず一般向けにも貸しコートとして開放されている。

校門のプレートには「東京朝鮮第六幼初級学校」とある。ちなみにWBC世界スーパーフライ級王者獲得、元プロボクサーの徳山昌守(洪昌守)が同校の出身。大阪の鶴橋でも焼肉屋を経営していたらしいですがこの人…多摩川を挟んだ向かいの川崎市が在日コリアン集住地として名高いが、大田区にもこんな場所があるのだ。

千鳥町にある「同潤会住宅跡」を見に来た

同じ千鳥二丁目の一角に、地図で見れば一発で分かるような独特の区割りがなされた住宅地が見られる。関東大震災後から昭和初期までに都内各所に整備された「同潤会住宅」の跡地である。

元々は慶應義塾大学の新田運動場だった場所だが、大学が横浜市の日吉に移転してからその跡地を同潤会が住宅地として再開発、「調布千鳥町住宅」として分譲されたものが今に残っている。

隣の久が原のように上品な住宅地というわけでもなく、「産業廃棄物収集運搬車」のステッカーがベタっと貼られた現場作業系のトラックが置かれたマンションだとか古臭いアパートが多い、なんとも昭和臭漂う住宅地となっているのが千鳥町の旧同潤会。

なお、同潤会住宅の分譲当時の地名は「東京市大森区調布千鳥町」となっている。蒲田から電車で来るしかない街ですが、一応ここは旧大森区なんですね。


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