京急蒲田駅から足を伸ばして、一つ隣の「雑色駅」に来た。「ざっしょく」ではなく「ぞうしき」と読む。各駅停車しか止まらない。雑色という言葉には地名の他に身分の低い者という意味もあるようだが、貧民街の大田区でこの地名は当てこすりかと考えてしまうのはいささか早計すぎるか…
雑色駅前の商店街をぶった切る形で京浜急行の踏切があるため、遮断機が降りる度に120キロ運転でおなじみ「ドレミファインバータ」ことシーメンスVVVFを搭載した快特列車が商店街の間を爆走するという危なっかしい風景を拝むことができるのだ。
残念ながら快特停車駅でしかドレミファインバータの発車音が聞けないのだが、この通りだ。VVVFいい音出てます。
現在、京急蒲田駅から雑色駅までが高架化工事中で、電車が高架化工事中の橋桁の真下を走っている。これが完成すれば危険な踏切も無くなるわけだ。
駅前の「雑色商店街」は落ち着いた下町の落ち着いた商店街といった感じだ。若干時間に取り残されたような雰囲気なのがいい。
雑色商店街を抜けて国道15号第一京浜の広い道路に出ると、ひときわ大きなスーパーマーケットの建物がある。首都圏を中心に地味に広がりを見せているディスカウントスーパー「オーケーストア」である。オーケーストアの総本部が、ここ雑色にあるのだ。これまた微妙な場所に(笑)
雑色にあるこの総本店は「ジャンボ・サガン店」という名称である。サガンってなんだと思ったら多摩川の左岸にあるから、という説があるそうだ。最近まで公式サイトすらなく、CM放映も一切しないのは全て経費削減を意識しての事か。首都圏の貧民層には絶大な支持を得ているスーパーだ。
商店街を西側に出ると、昔の風情を残しながら商店が連なっているバス通りに出る。
そこには絶滅危惧種になろうとしている古い駄菓子屋が一軒。おもいっきり昭和してます。
その近くには「さがみゆ」という黒湯温泉の銭湯もある。さすが蒲田エリア。温泉が豊富なのは羨ましい限りだ。
バス通りをずっと南に下ると、もう一軒銭湯がある。銭湯の上がマンションになっていて、そこの壁に書かれているのは「ON泉 OFF呂」…
ブルーカラーでボロアパートの街「大田区」は東京23区で最も銭湯の数が多く、今も73軒の銭湯が営業を続けている。
平日の昼下がりには、仕出し弁当屋が忙しく食器洗いに勤しんでいる姿を見る事が出来る。食堂設備もない中小零細の町工場も多い大田区の事情が垣間見える風景である。


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