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西新宿「成子天神社」の富士塚と再開発計画

年末年始、東京で暮らすリーマン世帯がこぞって里帰りをするので、新年の東京の街角を見ると嘘みたいに人が居なかったりする。殺人的なラッシュアワーもこの年末年始の一時期においては無縁である。一方で地元が東京だという「チャキチャキ」な方々にとっては「おのぼりさん」が居なくなって束の間の安息と言える時期かも知れない。

新年東京に残る事となった我々取材班も、寝正月ばかりではつまらないので初詣に訪れる事とした。しかし明治神宮やら浅草寺やらといったメジャーな場所は参拝客も多すぎだしオチにもならないので、やってきたのは新宿の外れ、西新宿八丁目にある「成子天神社」だ。
…と言っても写真の大半が2010年正月に訪れた時のもので現在はかなり様子が変わっている事を前もって付け加えておく。



社殿自体は戦後空襲で焼け落ちた前代の社殿に続いて昭和41(1966)年に再建されたものであるが、延喜3(903)年創建という非常に古い歴史を持つ神社で菅原道真公を祭神とする。
高層ビルの谷間にひっそり佇む境内の奥には新宿区内で最も高い富士塚があり、山の斜面に七福神像、さらに頂上には木花咲耶姫像が置かれていて「八福神めぐり」が出来る神社でもある。

しかしこの富士塚へ立ち入る事が出来るのは大晦日と新年の七日間のみという非常に限られた時期だけで、普段は境内奥の通路は封鎖されていたのだ。

境内の奥に入ると確かに立派な富士塚が姿を見せている。関東各地では富士講信仰に基づいて作られた、富士山を模した富士塚が神社の境内などあちこちに存在するが、とりわけ成子天神社の富士塚はでかい。

実は2011年3月11日の東日本大震災の揺れで富士塚にも相当なダメージを受けており、頂上の木花咲耶姫像が倒れてしまったり富士塚上部が崩落したために山の上半分がまるごと防護ネットで被せられていたり、成子天神社自体も周辺の再開発計画に合わせて社殿の建替工事を行なっている。

結構足場も不安定だったりするのでガキと老人は登るんじゃねえぞと言う旨の注意書きが置かれていた。パワースポット(笑)とか言ってるスイーツ女子がハイヒールで軽々しくお参りに来れる場所じゃないってこった。

以前はこの富士塚の頂上まで登る事が出来た。高さ12メートルもあるので、もはやちょっとした登山道だ。その道すがら七福神像が建立されている。

縁起よく笑顔を浮かべる大黒天像。だがどこかしら淋しげにも見えてしまうのは気のせいなのか。あまり参拝客も居ないのが気になる。

よく見てみると七福神像の全てに防護ネットが被せられていて、何だか物々しい。イタズラ避けなのかよく分からないが普段は閉鎖されている場所である。

近年のパワースポットブームとやらで参拝客がにわかに増えたらしく、これまで正月しか立ち入り出来なかったものが急遽2010年中に一般開放されたらしい。しかし今戸神社や東京大神宮のように女性参拝客でごった返すような事もなくひたすら静まり返っている。

上の方まで登ってくるとさすがに結構な高さを感じる。高所恐怖症気味の取材班、早速足がすくんで参りました。それでも周囲の高層ビルの方が圧倒的に高い訳ですが。

そんでもって足場がこんな不安定になっているので上まで登り切るのは結構スリルがある。これも地震のせいで現在は立ち入り出来なくなってしまっている。

頂上に建つ木花咲耶姫像は東日本大震災の揺れで落下、現在は麓の浅間神社の脇に移築されている。

かなり様子が変わってしまったという話を聞いたので2012年正月にも成子天神社を訪れた。参道側の鳥居や社殿もすっかり取り壊されてしまい、境内全体がまるっきり再開発エリアに入ってしまっていた。傍らに仮の社殿が置かれている。

境内が工事中の柵で締め切られているので富士塚へは一旦神社を出て裏側まで大きく回りこむ必要がある。正面には真新しい大型マンションが出来ていて既に街の風景は一変していた。富士塚や浅間神社も震災のダメージでかなり傷んでいる上に参拝客の姿もなく、半ば荒れてしまったままでかなり残念な感じになっていた。

富士塚の麓に移築された木花咲耶姫像。訪れる参拝客も少なく淋しげである。西新宿八丁目の再開発計画は着々と進んでおり、神社の周辺にあった古い街並みは全て消えて無くなり高層ビルだらけの寒々しい近代的な風景へと変わった。そして成子天神社自体も社殿の建て替え工事が行われ、境内敷地に2棟の高層分譲マンションが建設される予定だ。

再開発計画が進められた要因に東日本大震災もあったには違いないだろうが、成子天神社についてのwikipediaの記述に計画に関する経緯が随分事細かに書かれている。関係者の書き込みだろうか詳しくは分からないが、かなりいざこざがあったには違いないようだ。
これも西新宿という都心の一等地にあるが故の運命か。新宿にはまだまだ花園神社とか稲荷鬼王神社といった土地の歴史を留める場所が残っているが、成子天神社は時代の流れに抗えなかったようだ。
参考サイト
成子天神社のマンション化に抗して

どんぶらどんぶら七福神
みき つきみ 柳原 良平
こぐま社
西新宿で逢ったひと
西新宿で逢ったひと

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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