横須賀と言えばカレーの街らしい。
横須賀の街を訪れると、まず京急横須賀中央駅前に降りた瞬間から奇妙なマスコットキャラクターを見かけることになる。
横須賀名物はカレーだと主張する水兵姿のカモメ。手にはカレーを載せている。
その名は「スカレー」。何のひねりもない。物凄く安直過ぎて清々しいですね。
横須賀をカレーの街で売りだそうという動きは行政主導でやっているようで、横須賀中央駅近くにも「横須賀海軍カレー本舗」なるアンテナショップを置いてアピールに務めているようだが、いかにも街おこしです!という雰囲気全開の店内を見てみると全然客が入っていない。大丈夫なのかよ。
三笠公園の前にも「海軍カレー」の看板が目立つ。同じ海軍港である広島県呉や京都府舞鶴で「肉じゃが」が有名なように、横須賀の海軍カレーも栄養価が高い食糧として食べられてきた軍用食が日本の食卓のルーツとなって根付いたものだ。
そういえばカレーも肉じゃがもレシピは殆ど一緒だよな。
横須賀でカレーと言えば「ベンガル」らしい。
ちょうど腹も空いていたし、この後に向かう猿島航路の乗船まで丁度いいタイミングだったので立ち寄る事にした。駅から近い、中央大通りから一本奥の通りを入ってすぐの場所にある。見るからにレトロな外観がそそる。
「SINCE 1971」とある。かれこれ40年近くもカレー専門店をやっているのだから間違いなかろう。
シンプルにビーフカレーに卵トッピングで食う。福神漬や刻んだラッキョウがテーブルの上にあるので好きなだけ取れる。シンプルだが奥深い味わい。しかし客の多くが「ジャーマンエッグチキン」と注文していた。恐らく常連なのか。
ちなみにベンガルのカレーと海軍カレーは別物なのだが、まあよしとしよう。
ベンガルの横から入る路地裏も少し怪しげ。古いバーや喫茶店が隠れている。
そのすぐ近くには「金星劇場」という古い成人映画館が現役で残っていて、建物のレトロっぷりに思わずのけぞってしまった。この金星劇場の成り立ちもガチで、戦後間近に開かれていたキャバレーの店舗を昭和30(1955)年に改装したものがそのまま現在も使われているというのだから驚きだ。
街中にぽっかりと残る艶めかしい映画のポスター。もちろん御多分に漏れずそっち系の常連さんが多く社交場となっているため今でも劇場の経営が成り立っているそうで。やっぱり海軍の街ってのは特殊だ。
場所柄なのか、さすがにオールナイト営業はやっていないようで、夜に来るとことごとくシャッターを下ろしていた。
成人映画館の存在が強烈過ぎるので他が見えなくなってしまいそうだが、パチンコ屋があるなど商店街の雰囲気は浅草や大阪新世界のそれと似通っている。
カレー屋の他にはたこ焼き屋に中華料理屋と、店舗構成もどこかしら庶民的。
そんな中にアメリカ資本のカフェバー「TGIフライデーズ」の赤白ストライプの店舗も混ざっている。下町風情プラスアメリカン、それが横須賀クオリティ。