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三浦半島の先端を往く (1) 三崎港朝市

京浜急行の快特電車に乗ると終点に「三崎口」と書かれている。京急利用者でこの三崎口まで実際に行った事のある人はどれだけいるのだろう。
三崎口駅という場所は横須賀のさらに先、三浦半島の先端にある三浦市三崎港の玄関口。

こんな最果ての地は滅多に来る機会もないが、春先に三崎を訪れる機会が出来、せっかくなら三崎港名物の朝市も見ておこうという事で気合を入れて早起き出来る自信も無い夜型生活の東京DEEP案内取材班は前日に横須賀のネカフェで寝泊まりしてやってきたのだ。
爆走仕様で有名なさすがの京急快特でも品川から三崎口は一時間以上を要する。駅に付いてみると最果て感漂うネオンサインの駅名表示が一種の哀愁を漂わせていた。
三崎港へはこの駅からさらに京急バスに乗って4キロ、20分程度の所要時間となる。



三崎港のバス停を降りると目の前が漁港である。三崎町は言わずと知れた古くからの漁師町で特に有名なのが日本有数の水揚げ高を誇るというマグロ漁。近年は漁獲高が減少したり、地理的な事情で過疎化が始まっていたりする。

三崎港に来るとひと際目立つでかい建物が「三浦市三崎水産物地方卸売市場」。ここでは早朝から水揚げされたマグロが冷凍された状態でセリに掛けられる。この風景は一般人でも見学可能で、観光の目玉にしていることもあって客の姿が目立つ。
マグロ漁と言えば都市伝説の定番である。遠洋漁業でマグロ漁船が三崎港から世界中に航海していくわけだが、その期間は数ヶ月というものもあれば1年以上もの長期間にも及ぶ。
よく借金の形にマグロ漁船に乗れと脅されるというネタを聞く事もあるが、一度マグロ漁に行って帰ってくると数百万の収入を得られるか、事故で命を落とすか、長期間の航海と過酷な肉体労働で精神が錯乱するか、いずれにしても想像を絶する世界を生きる人々が目の前を行き来している、マグロ漁の港の朝の光景。

しかしそんなものより食い気に走ってしまう。傍らにある三崎いか直販センターでは朝っぱらから観光客を相手にイカを容赦なく焼きまくっている。唐突に鼻腔を貫くイカ臭さが食欲をそそる。

いか直販センターの屋台で出されているのはイカ焼き、イカめし、だんご汁など。既に長蛇の列が出来ていて朝っぱらから食欲丸出しで並ぶ観光客の皆様。そこに我々も加わる。

凄まじいスピードで捌いたイカを次々と網焼きにして売り出す屋台の親父さんの手さばきを見ながら行列の先に出るまでひたすら待つ。

買ったイカ焼きなどは備え付けのカフェテラスでご自由にお召し上がり出来ます。なんとも観光地的である。適当に腹を膨らませて先へ急ぐ。

ちなみにもう一つ別の行列があって、行き着く先は朝市名物と赤文字で書かれた「いかまん」が蒸し器に入れられてもうもうと蒸気を吹き出している。名物とか限定とか言われると弱いのが日本人の性である。

三崎港の朝市は日曜日の朝5時から9時までしかやっていない。主に朝市に訪れるのは東京近郊から自家用車で三崎港に来る事のできる客ばかりである。そもそも買った荷物を運ぶにも車がないと話にならない。
我々のように電車で来る客というのは基本的に少数派で、東京から京浜急行のなるべく一番電車に近い電車で来ても、時間的には結構無理がある。

鮮魚や加工品の他、野菜なども売られている朝市。土産に何か買っていこうとも考えたが、まさか東京DEEP案内取材班がそんなごく普通の観光目的で三崎港に訪れた訳ではあるまい。

朝市もそこそこに我々は三崎の街を巡り歩く事にした。三浦半島どん詰まりの先端部、古くからの漁港という、東京や横浜の都市文化圏とは隔絶されたこの土地の風土を少しでも垣間見る事が出来ればと思って。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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