開発の手が付かない昔の下町の路地裏が好きでたまらないのは我々東京DEEP案内取材班もそうなのだが、山の手で古風な下町風景を残している場所と言えば、やはり文京区本郷周辺になる。
地下鉄本郷三丁目駅を降りて東大へ向かう途中を左に折れる形で春日方面へ「菊坂通り」が通っている。
菊坂通りと言えば五千円札の肖像になっている樋口一葉がかつて住んでいた街というのはあまりにもよく知られた話なのでこのサイトで改めて説明する必要もなかろう。割とメジャーな場所なのでこれまで何となく来ていなかった訳だが、本郷辺りの路地裏の風景が格別だと言うのでやってきたのだ。
菊坂通りは若干の店舗が並んでいて微妙に商店街っぽくなっている。しばらくは両脇の道も普通の一軒家が多く特徴に欠けるが、通りに沿って春日方面に歩いて行くと徐々に古民家が姿を現す。
しかしその途中でとある路地に目をやると、車も通れないような細い道の先に何やら喫茶店のような看板が見えてくる。
緩やかな坂の路地に入ると「珈琲金魚坂」の看板が。この店もよく知られた存在で、創業350年の超老舗金魚問屋に喫茶店が併設されているという所なのだ。
で、中に入ると本当に金魚屋だったりするので初めて訪れると意外な出会いの瞬間である。さすが老舗だけあってかなりの種類の金魚を扱っている。都心のど真ん中らしからぬ光景。
しかも金魚すくいで遊べるという事もあって家族連れが大喜び。
喫茶店はその傍らにあり、やはり金魚マニア向けの雑誌やグッズなどがいっぱい置かれていた。
おまけに金魚だけじゃなくて小亀も居た。かわいいですね。
DEEP的な怪しい路地裏とはかけ離れた、どちらかというと路地裏デートスポット的な物件だがそれはそれで良い。再び金魚坂を降りて菊坂通りへ戻ろう。
春日寄りの菊坂下交差点に近づくとだんだんと街並みが古ぼけてくる。この辺で通りを外れるとボロアパートだらけの風景となり、坂の上のマンション群とは対照的。
おまけに共産党事務所まで現れ始めてなかなか本格的に下町っぽくなってきた。
菊坂通り右手の台地を登った先には東大生の下宿が立ち並ぶ住宅街があり、その反対側が樋口一葉の住んでいた低地の住宅街である。
菊坂通りから左手に目をやると、もう一段低い路地が並行しているのが見える。この界隈で最も低地で、菊坂下町とも呼ばれる一帯。ちょっと雰囲気が独特な場所だ。


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