江戸川橋駅を出て音羽坂の手前から目白通りに入ると、目白坂を登るにつれて関口台、目白台といった高級住宅街が現れる。
さっきまで居た地蔵通り商店街や零細印刷工場が並ぶ低地の街並みとは真逆の風景が続き、子連れのお受験マダムがお上品に日傘など差して子供を幼稚園からお迎えに来ていたりとかなりおハイソな光景を目の当たりに出来る。
そんな高級住宅街な関口台の一角、目白通り沿いに銀色に光るかなり奇抜なデザインの建物が唐突に現れる。東京カテドラル聖マリア大聖堂である。大都市東京の中においても代表的なキリスト教会で、麻生太郎氏の祖父にあたる吉田茂元総理大臣の葬儀が行われた事もある。
敷地内は聖マリア大聖堂を中心として複数の建物に分かれている。正門から入って右側のカトリックセンターにはキリスト教信者が多い在日韓国人の為の韓人教会も併設されている。
教会自体は明治33(1900)年に創立されたものだが、戦災で建物が一度失われていて、現在の形の聖堂に建てかえられている。
聖マリア大聖堂の建物は東京オリンピックと同年の昭和39(1964)年に落成していて、東京都庁や国立代々木競技場などを手掛けた建築家・丹下健三氏の設計になっている。建物内部は残念ながら撮影禁止だが、内部の吹き抜けは一番高い場所で高さ40メートルにもなっていて、かなり迫力がある。
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しかも航空写真で上から建物をみると、ちゃんと十字架の形をしているのだ。
あと、大聖堂の外にも唐突に洞窟が口を開いている場所があって見た目に凄い。フランスのルルドの洞窟を模した造形物で、明治44(1911)年にフランス人宣教師の手でコンクリートを用いてそっくりそのままに作られた礼拝施設である。
ルルドの洞窟に聖母マリアが現れるという言い伝えがあったのが1858年、本家フランスのルルドは聖地として巡礼に訪れる参拝者が世界中から集まるそうだが、それを日本に再現したものがこの場所に残っているのだ。作られてからかれこれちょうど100年になろうとしている。
洞窟の脇には日本語で書かれた相当古い石碑がある。
「泉にゆきて飲み且つ洗へよ」
しかし残念ながら本家フランスのルルドのように泉までは再現されていない。
しかし東京カテドラルにあるルルドの洞窟も、100年前に作られたものとは思えない本格的な作りをしている。同様のレプリカは規模の大小違いはあるが、隠れキリシタンの歴史がある長崎の五島列島などを中心に日本全国に作られている。
ルルドの洞窟の上には聖母マリア像が祀られている。最近ではスピリチュアルでパワースポットだのと訪問するスイーツな客が多いらしい。


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