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西船橋派遣村 朝の通勤風景

1990年代から産業構造が見る見る変化してきているというのに雇用を含めた社会のシステムは硬直化したままで、その歪みが全国に大量の貧民を生み出している悪循環に繋がっている。
製造業を中心に働き手は正規職員より非正規のパートや派遣社員を…そんな時代が来てからもう20年近くになろうとしている。
いまの日本の労働者数のうち3分の1が非正規だと言われているが、問題は賃金の低さ以上に、労働者当人、事業者当人、しいては政府に至るまで、未だに労働の意味を疑う事を許さず既存の価値観に縛られたまま身動きが取れないという現状だ。
もうとっくに大量生産大量消費の時代はもう破綻を迎えているはずなのに、歯車は動かし続けなければならないジレンマ。それが大勢の不安定労働層を浮遊させ長年人生を迷わせている悪因である。
どうせならみんな無職になって田舎に戻って自給自足の生活でもやればいい。食料自給率も回復するしいいことずくめだぜ(笑)
ところで西船橋という場所に平日の朝に行くと、そんな非正規労働者が大量にバス通勤のために行列を作っている光景を見ることができるという話を聞いた。
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西船橋」は地下鉄東西線の終点でありJR総武線各駅停車と武蔵野線がクロスしているターミナル駅だ。さらに東葉高速鉄道という超高額第三セクター路線が京成線の勝田台駅方面に伸びている。


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西船橋駅の南口を下りると、目の前の道路には何人もの若者が大きなカバンを地面に置いて何かを待っている。彼らが、この界隈で働く非正規労働者であることは言うまでもない。
西船橋駅を基点として、湾岸の倉庫街を中心としたエリアへ、沢山の労働者が運ばれている。その大半が派遣労働者であると言われている。
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駅前の道路はどこも工場へ向かうマイクロバスが行列をなし、渋滞の原因になっている。バスを見ると行き先である工場の名前が書かれていて、一発でそれと分かる。
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先ほど荷物を地面に置いて所在なさげに待っていた若者の集団が、駅前に乗り付けてきた自家用ワゴン車に吸い込まれていった。もしかすると「もぐり」の派遣業者だったりするかも知れない。
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実はこの西船橋駅での光景はテレビでも紹介されたことがある。国内最大手の登録型派遣事業を展開していた「グッドウィル」の問題を追及した内容だった。(→詳細
しかも仕事の業務内容は当日この駅前まで来ないと分からないという酷い状況だそうである。グッドウィルは度重なる法令違反で業務停止命令を食らい廃業に追いやられたが(→詳細)、まだまだ他の派遣業者が息巻いていて、駅前に派遣労働者が集まる光景は全く変わっていない。
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その証拠に、駅南口にあるオフィスビルには派遣業者が大量に入居しているのを見ることができる。
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オフィスビルに大量の空きがあるのは、昔はもっと沢山の派遣業者が入居していた痕跡だろうか。今では少数となっているが、それでも西船橋界隈が派遣村と呼ばれている由縁がよくわかる光景だ。
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朝の出勤とともに、夜勤明けと思われるさえない顔をした中年労働者がすごすごと駅を目指す。今の居場所もいつまで居ていいのか分からないし、その先の行き場もない。
かつての「寄せ場」であった東京の山谷、横浜の寿町、大阪の釜ヶ崎などが隆盛を極めていた頃は、まだ構造自体が分かりやすかった。あの場所に行けば労働者がその日暮らしをしているのは明白で、一般的な世間体でモノを言えば、西成のオッサンみたいな風になるなよと差別的な扱いを受けるような身分だ。
だが、そんな釜ヶ崎のオッサン以下の弱い立場にいる全国の非正規労働者は己の立場の危うさも自覚できず、寄せ場のような物理的シンボルも消え、携帯電話一本で業者と繋がるだけの生活で孤立するのみ。労働団体おなじみの「連帯」とやらの繋がりすら持てずに彼らのような存在は誰も知る事のないまま最低の生活を細々と続けているのだ。
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さて千葉県といえば知事となった森田健作氏だが(笑)
西船橋派遣村の存在はご存知なんだろうか。
パフォーマンスさえ出来れば知事は務まるはずがないだろうに。

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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