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【Y150】あなたは覚えていますか?超絶つまらなかったと評判の「横浜開国博」を【大失敗】

横浜で2009年に開催された「開国博Y150」なる博覧会。横浜開港150周年記念するイベントであり、横浜市の威信を掛けて約5ヶ月間の会期で開催されたものの、ネット上ではすこぶる酷評で「タダでも高い」「蜘蛛以外見所なし」「なめとんのかワレ」などと散々な話しか聞くことがなかった。

そこまで酷い博覧会とは一体どんなものなのか、身をもって体感してみなければ何も語れまい。何があってもネタとして寛大な心で受け止めてみようではないか。いつの間にか閉幕日である9月27日が迫っていたのを急に思い出して、その前日26日に横浜みなとみらい21の赤レンガ倉庫付近にある開国博の会場を訪れたのだ。

横浜みなとみらい21と言えば、横浜港の一部の広大な敷地を埋め立てて作られた人工都市であるが、当初の計画よりも企業の誘致が進まず空き地のまま放置されている場所も目立つ。言うなれば大阪南港コスモスクエアに良く似た問題を抱えている土地だ。

開国博の会場はそんなみなとみらい21地区内の赤レンガ倉庫前の空き地を首尾よく活用して用意された。「ベイサイドエリア」と名づけられた界隈には有料会場が3ヶ所あり、入場料2400円(夕方5時からは夜間割引入場券1200円がある)を払ってチケットを買わなければ入れない。愛知万博の時のように入場ゲートの前で長蛇の列を組む事もなくすんなりチケットを買ってすんなり入る事ができる。まずは3つの有料会場の中で最もメインである「はじまりの森」に入場する。

入場ゲートをくぐるやいなや、開国博Y150で最大の目玉と言われている巨大蜘蛛マシンショー「ラ・マシン」のパフォーマンスが行われている最中だった。フランスから来ているそうだがどこが横浜開国の歴史と関係があるねん、と早速ここで1ツッコミが入る。

もう一度繰り返すがこの巨大蜘蛛マシンこそが本当に開国博Y150で最大の目玉なのである。むしろコイツだけ見るのが目当てなら有料会場に入らなくてもそばの歩道橋からでも見られる。有料会場の敷地は全て低いテント張りで作られているので周囲からも丸見えなのである。

クモマシンが足を丸めて休息時間に入って終了してしまったので、パンフレットにある「たねまるおすすめ1日満喫コース」にしたがって、次のパビリオンである「横浜ものがたり」へ。入口にはペリー艦隊と江戸幕府の中の人が描かれたハリボテがお出迎え。

で、結局ここで何が展示されているかというと、ペリーと幕府の「開国シテクダサイヨ~」のやりとりがハリボテで再現されているだけ。

その後、物凄く内容の薄っぺらい開国150年の歴史展示パネルが続く。

一貫して気の抜けたデザインのハリボテがずらりと並ぶ。かつて私が訪れた関西のダメポ物件「私のしごと館」や「なにわの海の時空館」を彷彿とさせる。あれらも役人の発想と利権によって志の低い馬鹿馬鹿しい展示施設に莫大な税金を垂れ流して作った代物。そう、そもそもこの「開国博Y150」自体も役人主導で開催された博覧会だということに注目して見てほしい。

「横浜ものがたり」のパビリオンで唯一生きた人間のスタッフが動いているのがこの瓦版のお姉ちゃん一人だけだったというオチ。あとはハリボテ群の数々に加えて、コロッケ主演の横浜開港の歴史展示ビデオがエンドレスで流れるだけ。

ペリーの直筆サインだとか、咥えてたパイプだとか、当時交わされた日米和親条約の原文の実物とか、生麦事件の現場再現ジオラマとか、あとはペリーの肉声が記録されたFLASHムービーとかもっと凄いものが展示されているかと思ったが全くの期待はずれだった。どこもかしこもこんなハリボテばっかり。なんじゃこりゃ!

これは博覧会というレベルの展示ではない。子供にも飽きられるお粗末な内容である。

最後の2日前ということもあって有料会場内の人手はまずまずだったが、家族連れの皆さんも展示内容のあまりのショボさに渋い表情のままでした。

結局最後までこのようなハリボテ展示でパビリオン終了である。2400円払って見る内容じゃないなぁ。どうせこんなことなら横浜開港資料館に行って展示を見た方が充分有意義であろう。次のたねまるオススメコースはENEOSパビリオンだったが、単なる「地球環境の向上に貢献しています」という安直な宣伝コーナーでしかなかったので次へ。

ずらりと行列が出来ているのが「黒船トリックアート」のパビリオン。何をしているのかと言うと望遠レンズで絵を眺めているだけである。

せっかく高い金を払って入ったんだから見ておこうと律儀に行列を作っていたが、並んでまで見ようというテンションにもならない。ひとまず1つ目の有料会場「はじまりの森」は以上で終了の模様。オチのつけようもありませんが次行きます。。。

有料会場「はじまりの森」に潜入したものの、本当に蜘蛛マシンしか見るものがなく、ただただ広がるハリボテの山に萎え萎え状態になって出てきたわけだが、気を取り直して残る2つの有料会場を訪れることにした。

パンフレットの「たねまるおすすめ1日満喫コース」に従って、第二会場である「Y150トゥモローパーク」に潜入。

パビリオンらしきものは正面に建つ「未来シアター」と右側の気球型スクリーン「アースバルーン『HOME』」の二つと、何やら横にステージが一つあるだけ。

この「未来シアター」で流されている、岩井俊二監督が手がけるSFアニメ映画「BATON」というのをひとまず見てみた訳ですよ。声優には上戸彩など有名人が数多く入っていて豪華キャストで凄いぜと言わせたい所なのだろう。

内容は近未来の人間とロボットが共存する惑星でどうたらこうたらというもの。どこが横浜開港と関係あるねん!とここで再度2ツッコミ目。愛知万博で言うところの押井守プロデュース「夢みる山」状態の気分で、博覧会の趣旨とか全然関係ない自己満足系映像を無理矢理見せられただけでシアターから出てきた。

それに3部作あるので全部見ないと意味がわからないようだしそもそもなんで関係のないテーマの映画を流すのか、存在自体が意味不明。しかも襲撃・暴力シーンも多くおおよそ家族向きではないわな。子供が半ベソかいてました。

気球型シアターの上映は遅い時間に始まるようなので、足早に第二会場を出て、次の第三会場へ向かうのだ。

第三会場には日産パビリオンとして、こちらも映像系コンテンツが用意されている。

巨大なマスコットキャラの「たねまる」が出迎えるものの、どうにも微妙すぎるキャラで来場客にはことごとくスルーされていた。

日産パビリオン内で4つに区切られた部屋のうち、最初に通される部屋では「スーパーハイビジョンシアター」の行列のためにまるまるスペースが取られていたようだが、あまりに来場客が少ないからと急遽博覧会の要請でJAXAの展示物が置かれるようになったそうだ。宇宙服やロケット実験機やらがある。

入口では30分待ちと聞いていたのに殆ど待たずに日産パビリオンに入場することができたわけだが、最初の「スーパーハイビジョンシアター」というのは愛知万博の「グローバルハウス」にあったものと同じだが若干サイズが小さくなっていた。しかも延々とテーマ性の一貫しない環境映像が流れるだけで、横浜とは縁もゆかりもない地方の祭や日常風景ばかり。微妙すぎる…

ここで開国博らしく砂糖水の「ペリーの肉声」フラッシュでも流しておけば大爆笑間違いなしだったのに。非常にもったいない。

その次は日産の開発した電気自動車が登場する。愛知万博のトヨタパビリオンのように電動ロボットがパレードでもするのかと展開を期待したが間違いだった。

天井から吊り下げられているビジョンから映像が流れ「日産は地球環境を守るために電気自動車作りを頑張るよ!」というアピールだけで終了。最後まで中央のステージにある電気自動車が動くことはなかった。

最後の部屋では「おもいやりのコトバ」が部屋中に散乱している。

ここでは来場者には葉っぱ型の紙が配られ、地球への思いやりの言葉を何か書いていけと言われるのである。

皆好き好きに「明日から買い物するときはエコバッグにします!」だとか「トイレの電気はこまめに消す」とか、身近でありきたりなエコ宣言が書かれている。なんだかどこかの宗教施設に来たかのような状態になっていた。え?これで本当に終わりなの?!

ちなみに我々も「ゴーン社長!パビリオンのカイゼンをお願いします!」などと何か嫌味ったらしく一言書いていこうか考えたが馬鹿馬鹿しいのでやめた。

残る第二会場のバルーン型シアターも当たり障りのない環境映像が流れるだけでネタもオチも何もなかった。これで本当に完全終了である。これで2400円の入場料は確かに高すぎる。

せめて、せっかくの博覧会だから料理くらいはと…と入った「ワールドグルメレストラン」はやたら韓国料理と韓国人だらけで全然ワールドではありませんでした。右隣のコーナーに辛うじて「黒船カレー」など開国博名物らしき料理があったので券売機でチケットを購入。なぜか店員は関西弁丸出しだった。

一皿1500円も出して買ったのは海苔の佃煮のように何故か甘い黒船カレーに白身魚フライとポテト、ピロシキ風肉まん、ホットドッグ、チーズとオリーブの実が乱雑に盛られた「Y150プレート」。いやあ、高い金出してみたけど思いのほかチープ感が凄まじい名物料理である。

レストランの壁には「世界のグルメをご賞味下さい」…え、あれって「世界のグルメ」だったのか!
黒船カレー→フランス
白身魚フライとポテト(フィッシュアンドチップス)→イギリス
ピロシキ風肉まん→ロシア
ホットドッグ→アメリカ
チーズとオリーブの実→オランダ
orz

最後におみやげコーナーとしてたねまる公式記念ショップに寄ると、何故かそこには「たねまる」よりも目立つ赤い兜のアイツが陣取っていたのだ。

開国博同様存在感の薄いマスコットキャラと彦根赤兜猫とのコラボは横浜開国博の不振をそのまま物語るかのようである。

虎の威を借る狐ならぬ「猫の威を借るたねまる」といったところだが、著作権的問題により、この猫のぬいぐるみはみんなが良く知ってる「ひこにゃん」じゃなくて「ひこねのよいにゃんこ」なんです。

開国博が閉幕して、役人の立てた予想入場者数の4分の1近くとも言われる(しかもそのうち横浜市内の小学校では全員強制参加)惨憺たる結果に終わったわけだが、会期途中で横浜市長だった中田氏はいきなり市長を辞めてしまうし、次いで副市長も閉幕直後に辞任というドタバタっぷり。その後バンキシャに出演した時には苦しい言い訳に終始していた。

巨大蜘蛛とハリボテと変なシアターがあったことしか記憶にないわけだが、開国博の総予算には総額157億円が投じられているという。そのうち半数余りの82億円が税金による補填。どこをどうやればこんな莫大な予算を消化できるのか理解ができない。

役人主導でも成功した愛知万博と比べてY150ときたら…

同じく役人主導で開催した愛知万博はなぜか会期末になるにつれて凄まじい大盛況が続いていた訳だが、国際博と地方博の違いこそあれ、地元民だらけの名古屋と、東京通勤組で移民だらけの横浜では地元に対する愛着の違いが成功と失敗の差を生んだのではないかという見方もある。ちなみに愛知万博の成功は名古屋ラブな地元民が全期間券を買いまくり連日通いまくっていたからだと言われている。

転じてあまりにつまらない「開国博」に最後までテンションが下がりっぱなしで横浜を去るのはあまりにも心もとないので、我々はみなとみらいを離れ桜木町駅の向こうにある居酒屋街「野毛」へと仕切り直しに出かけたのだった。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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