【軍港横須賀】パンパンがいた街、昭和の残滓を探して「横須賀」の夜を歩く(2010年)

横須賀市

英語でわめき散らす酔っ払いの米兵、hideがライブをやっていた外人バー、そんなどぶ板通りのカオスっぷりも横須賀の街のDEEPな一面であるが、そこで終わらないのがこの街の奥深さである。

再び横須賀中央駅前に戻り、今度は駅の東側一帯に広がる若松飲食店街に移動する。こちらはどぶ板通り周辺とは違って米兵の姿はなく、駅前から米が浜通りの手前に掛けての一帯に横須賀の地元民が飲んだくれる居酒屋やスナックが密集している。

区画整理すら入らないややこしい路地に飲食店がひしめきあう。雑居ビルの通路を抜け道に行ったり来たり。

道を抜けた先も迷路のように路地が入り組んでいて、さっき居た場所に戻ってくると言う事も珍しくない。この辺は小さなスナックばかりだ。

おそらく都内の盛り場であれば再開発で消えてしまっていそうな路地裏の光景が色濃く残っている若松飲食店街。しかもどの店も寂れておらずきちんと営業しているという所が良い。

横須賀には米兵ばかりがいる訳ではなく自衛隊関係者や関連産業で働く市民も多い。需要は無くならないだろう。

日が落ちると、スナックや居酒屋の明かりとかよわい街灯の明かりだけが頼りだ。昭和の魔窟とも呼べるべき空間が残る。

唐突に視界が開けたと思ったら、そこにはパチンコ屋の廃墟が痛々しく佇んでいる。やはりこの界隈も戦後のドサクサで生まれた闇市だったのだろうか。

潰れたパチンコ屋の前は、やけに広々と開けたコインパーキングになっている。ここを抜けると米が浜通り。

こんな怪しげな路地裏居酒屋街には、やっぱり韓国系居酒屋があるものだ。そして同じビルの上層階にはこれまたモロなピンサロが入居している。ギルガメッシュ(笑)

ふと目にした珍しい「自衛隊金融」と書かれた看板。軍都横須賀ならではのものだ。高田馬場の学生ローンみたいなもんか。見るからに怪しげなサラ金なのだが、こういうのがあると有り難がって銭を借りる奴もいるのだろう。

まるで迷路みたいな路地の作り、丸みを帯びたエントランスのスナック、その風景を見ると、どことなく玉の井の私娼窟を彷彿とさせるデジャヴに襲われそうになった。そのうち「ぬけられます」なんて看板が現れやしないだろうか冷や冷やしながら歩く。

もしかしたら昔は玉の井みたいに青線だったかも知れないな。

建物も街路もむちゃくちゃな若松飲食店街の路地をあてもなくさまよう。広さで言うと100メートル四方もない程の狭さだが、街並みがやたら濃い。

駅はどっち方面だと迷っているうちに、怪しさ爆発のスナック「ステーション」に遭遇する。手書きの看板が脱力感を誘う。テの字をよく見てみれば、菱形になっている。これはパンタグラフを表しているのかw

そんな「ステーション」の正面からは、やや広いめの街路に小さなスナック群が夥しく両側にひしめく見事な光景を拝む事ができる。もはや都内ですら絶滅しそうな場末の飲食街の光景が、横須賀中央駅前ではまだまだ健在なのだ。

街路に沿って歯ブラシの穂先のように細く長いバラックがびっしり連なるスナック群。これが横須賀に隠れたもう一つのDEEPな光景だった。侮れん街だ。

基地の街横須賀は、夜になると街へ繰り出す米兵達であちらこちらがやたら賑やかになる。どぶ板通り以外の横須賀の盛り場の光景を、もうちょっと観察していく事にしよう。

外人バーだらけの盛り場として知られるのはどぶ板通りだが、現在の横須賀では盛り場が広範囲に広がっているようだ。

外人バーの数の多さが物語るように、横須賀基地には米軍関係者とその家族だけで16000~20000人もの人口を誇ると言われている。近年の極東有事を警戒して、その人口はさらに増える可能性もある。

どぶ板通りの南側、ホテルニューヨコスカ前の通りも、非常に多くの外国人がたむろしているのが見える。やっぱりこの辺はおおよそ日本の雰囲気じゃない。

凄まじく古びた看板を掲げている「スナックキャンディ」は既に店じまいか、ボロボロのシャッターを閉ざしたままだ。

こっちもどぶ板通りに負けない怪しさと賑わいを見せている。盛り場をうろうろしている米兵は私服姿が殆どだが、たまに軍服のままの人もいて、雰囲気が物々しくもユニークである。

外人バーばかりかと思いきや焼肉屋もあった。どぶ板通りから遠ざかるにつれ、徐々にアメリカ以外の外国人系ショップが増えてくるような感じだ。

「あ!」という安直な名前のカフェバーのネオンサインに反応するも、それより気になるのがその横手の路地だ。

薄暗い路地の向こうで、どう見てもアメリカ人には見えない外国人女性が所在無げな様子でうろついている。

近づいてみると、彼女達は二人一組で夜の街に立っている。しゃべっている言葉が中国語だ。こんな所にも、立ちんぼのオバハンがいるのか。「爆食」中国は首都圏のほとんどの街を立ちんぼで飲み込もうとしているかのようだ。ポン引きのコネクションが恐ろしく成長している。

その正面にはフィリピンショーパブ。何気に多国籍っぷりが著しい裏通りは横須賀市大滝町界隈。

フィリピンパブが入るやたら年季の入った怪しい雑居ビルは「大滝名店ビル飲食街」。正面に回ると二階からは星条旗も掛かっているのが見えた。凄く怪しいです。

2階部分に小さなスナックや小料理屋が密集する作りになっている。

古い雑居ビルにありがちな、どこかしら瘴気を含んだ香りが佇む2階への階段。

さっきはフィリピンパブだったが、中央大通りに出た所にもロシアンクラブを発見する。外人マニアには至れり尽くせりの街かも知れないな、横須賀って。


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