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なんという事でしょう!ホームレスが居なくなったではありませんか「戸山公園・大久保地区」ビフォーアフター

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新宿区でも屈指の規模を誇る公園となっている「都立戸山公園」があるのは、戦前に陸軍用地として使われていた土地で、旧731部隊と関係があるのではないかとみられる人骨や猛毒の化学物質が土壌から掘り出されたり、有名な心霊スポット扱いされるなどして専らイメージが宜しくない。

さらに戦後は近隣の西戸山公園付近が日雇い労働者の寄せ場になったり、空襲で焼け出された人々や不法占拠で住み着いた貧困層の受け皿としてバラック建ての越冬住宅やその後の都営住宅などが整備され、低所得者層やホームレスが多く住み着く、曰くのある土地になってしまっている。

西戸山の寄せ場について詳しくは以前の記事にしたためたが、寄せ場が衰退傾向にあった90年代以後、再開発でタワーマンションが建設されるなどして居場所を追われたホームレス達が山手線の線路を跨いだすぐ東側に広がるこの戸山公園一帯に移り寝床にしていた。

戸山公園は明治通りを隔てて東側の「箱根山地区」と西側の「大久保地区」に別れているが、今回はそのうち大久保地区について、過去の取材写真と併せてその変貌ぶりをお伝えしようと思う。ご覧の通り、毎年4月初めには桜が満開になる花見の名所でもあるが…

5年前にはホームレスしか居なかった戸山公園・大久保地区

今から5年前の2012年1月にこの場所に訪れた当時、公園内は見ての通りブルーシートで覆われ不法占拠されたホームレスのテントや小屋があちらこちらに点在していて何とも陰鬱極まりない光景を見せていたのだ。

公園内で小屋を建てられるスペースがあれば、ほぼ例外なく小屋が置かれている、という状態が5年前の戸山公園・大久保地区の状況で、こんな公園では子供を遊ばせる親御さんも居る筈がない。ホームレスに占拠された公園、という事で西成の三角公園や山谷の玉姫公園あたりと変わらない。

公園内の地形を利用して石垣積みの下にダンボールを組んでその上にブルーシートを雨除けに被せているホームレスハウスの一例。

「この植込地での寝泊り、及び荷物・ダンボール等の放置を禁止します」誰も言う事を聞いていない、存在意義を失った空しい警告看板の数々。

ホームレスの寝床として最適であろう公園内の橋の下にも当然ながらホームレス除けのトラ柵がびっしりと置かれ、不法占拠を阻止。

しかしその橋の上を見てみると公園内で暮らすホームレスさん達の布団干し場としてちゃっかり活用されてしまっている始末。

公園西側の車道沿いにもブルーシートを雨除け代わりに被せられた大量の私物が置かれたままとなっていてホームレス仲間と思しきオヤジ達がたむろしている。道路を挟んだ向こうの白いフェンスは後々再開発で建てられる事になるオフィスビルやタワーマンションの建設現場である。

ホームレスの一大狩り場である巨大繁華街・新宿徒歩圏内にある場所で、新宿中央公園と並んでホームレスのねぐらとして機能していた当時の戸山公園・大久保地区だが、昔から寄せ場や日雇い労働者向け職安があった隣の西戸山公園に近いという立地条件が尚更ホームレスタウンとしての性質を決定付けていた訳でして、最近は新大久保駅周辺にあった簡易宿泊所もめっきり見かけなくなりました。

公園内の水場という水場はそこにお住まいのホームレスさん達の立派な生活インフラとして機能していた。普段使う食器とかをフツーにゴシゴシ洗っている訳ですね。この光景は一昔前の新宿中央公園でも見かけられた。

2016年、戸山公園・大久保地区からホームレスの姿が消えた

しかし、それから5年以上が過ぎた2016年春に戸山公園・大久保地区を再訪すると、あれだけ公園内を占拠しまくっていたブルーテントのホームレス小屋の数々が綺麗さっぱり無くなっていたのだ。なんということでしょう!

公園からホームレスが居なくなった代わりに、公園内を闊歩しているのは近所の早稲田の学生なのか知らんが若いリア充丸出しな男女だったり家族連れだったりする。相変わらず同じ警告文が張り出されているが、公園の風景は一変したと言っても良い。

しかしよくよく見るとホームレスっぽい身なりをしたオッサンが一人で日向ぼっこしている光景も時折目にするが、さすがに小屋を建てたりダンボール箱を積んだり、布団を干したりという事は出来なくなったようだ。目の前で外国人の若い男性(留学生?)が満開の桜に向けてスマホで記念撮影している姿も。いやあ、すっかり「浄化」されましたな。

そんな劇的ビフォーアフターな戸山公園・大久保地区の環境がガラリと変わったきっかけは、何と言っても目の前にそびえる「住友不動産新宿ガーデンタワー」「スカイフォレストレジデンス」なる二棟の再開発ビルの存在である。「新宿ガーデン」と呼ばれる再開発地域として2016年に街開きしたばかりである。

一棟は37階建てのオフィスビル兼マンション、もう一棟も26階建てのタワーマンションで、その眼下に広がる公園がホームレスだらけだとマズイという事で、彼らは追い出されてしまったのだろうか。

旧陸軍用地だった過去も、日雇い労働者が群がる寄せ場だった過去も、全て忘れ去られ「戸山ヶ原」と呼ばれた曰くつきまくりの土地もいよいよ新しい街に生まれ変わろうとしている。東京五輪が開催される2020年までに、もっと沢山の場所が「環境浄化」され見苦しいとされるものは容赦なく排除され続けるのだろう。ここに居たホームレスのオッサン達はどこに流れて行ったんでしょうね。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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