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千葉のムスリム街は既に東西線行徳駅前にありますから。マジで国際化が激しい件

先日こんな報道があったんですが…

「千葉にムスリム街を」市長提言 海外からの集客狙う

千葉市の市長がムスリムタウンを作る云々という提言を行ったという話、日本ではイスラム教徒が本国同様に、特にハラルフードや日々の礼拝などイスラム教徒の暮らしに即したインフラが揃った街がないので、若干35歳の熊谷俊人千葉市長の提言により、幕張にモスクを建てたりハラルフードの店が揃うようなインフラ作りを千葉市がやってみては、というような話になっているらしい。

日本のイスラム教徒人口は全国総人口の0.1%未満、正確な統計もないのだが約5~10万人程度いるとされる。だがこれは他のアジア諸外国と比較しても極端に少ない比率である。(→日本のイスラム社会)東京近郊でもハラルフードを扱う専門食材店は数える程しかないし、肝心のモスクも代々木上原にある東京ジャーミイを筆頭に、大塚や浅草にちょろっとある程度だ。

千葉市長の提言に対して、案の定島国根性丸出しの日本国内のネット上での反応は芳しくない。イスラム過激派のイメージを勝手に持ちだしてテロの温床になるとか色々といちゃもんが飛んできているが、熊谷さんを市名と勘違いして「埼玉の市長が千葉の事に口出しするな」というアホな脊髄反射レスまであって笑える。観光先進国の沖縄県ではムスリム向けツアーの企画やパンフレットの製作も実際に進んでいたりして、今後ASEAN諸国からの観光客誘致は結構見逃せない話題になっている模様。

だからと言って千葉市にわざわざ観光に来るような用事もないと思うんですが、見るものって言ったら懸垂式モノレールとかチバリーヒルズとかドリームハウスの土の家くらいですかね。あと千葉市と言えばコリアタウンの栄町もある事だし…って前置きが長くなり過ぎましたね。

しかし、待って欲しい。「千葉にムスリム街」って、既にそういう場所があったのではないか。

そういう事を考えているうちに、いつの間にか東西線の行徳駅にやってきていた。地下鉄で東京都心から一本、大手町から20分そこそこで来られる千葉県の中でも最も東京寄りなベッドタウンでありその割には家賃相場がお安く、市橋達也のマンションだけではなく外国人がやたら多い土地柄。行徳地区(市川市の江戸川放水路以南、行徳、南行徳、妙典駅を中心とした一帯)の人口約15万人のうち、約5%にも及ぶ約7500人が外国人、国籍は105カ国という超多国籍化タウンなのだ!

まあここは市川市なんですが、千葉市の熊谷市長にも一度は訪れて欲しい気がする街「行徳」をふらふら歩き回ろうと思う。

行徳駅前の雑居ビルにはのっけからサラ金会社のATMコーナーと一緒にフィリピンパブが多数入っている事がこの街の性質を匂わせる。街を歩く人々も西川口や蕨ほどの密度ではないが、結構な確率で外国人を見かける事ができる。イスラム圏特有のスカーフ(ヒジャブ)を頭に被った女性の姿も時折見かける。ムスリム系が割と多いのが特徴なのだ。

わざわざ行徳が外国人だらけの土地というだけの事はある。東西線沿線で最も貧乏臭い駅前風景。駅前はパチンコ屋だらけで、行徳駅周辺に計6軒ある。単刀直入過ぎるネーミングの「パチンコ東西線」が笑いを誘う。ネオンサインのロゴが素敵。

以前行徳の街を訪問した時には、英国人英会話教師の事件があった時にその現場となったマンションの周辺を見に来ただけであったが、そんな行徳が首都圏屈指の外国人タウンであると知ったのは後になってからの事だった。行徳駅の南側にあるフラワー通りは、生鮮市場やスーパー、ドラッグストアなどが一通り揃った、行徳民の日常生活の場である。

きっと事件を起こす前の市橋被告の「通い慣れた道」だったかも知れないフラワー通りは完全に下町テイスト全開で路上駐輪が半端ない件。行徳駅周辺は東西線が延伸開通した昭和44(1969)年からメキメキ発展してきた街。恐らくこの辺の商店街も45年ものなので、所々街並みに古臭さが目立つ。なおフラワー通りと言えば浦安の堀江にもあるが、同名ながら全く別の商店街である。

行徳フラワー通りの中でもとりわけ東南アジア臭全開な一角。中国かタイかフィリピンかインドネシアか知らんが、きっと故郷の国の市場を思い起こさせそうな年季の入った八百屋の日常風景、外国人住民が日本人に混じって買い物しているのはいつもの事のようだ。

オツな佇まいのラーメン屋や居酒屋も多数あり、呑んだくれ親父のキャパシティもなかなかの規模が揃っている。これで銭湯の一軒でもあれば風呂上がりにビールをプハーと完全にベタな下町暮らしが可能だが、残念ながら行徳の街に銭湯は一軒たりとも存在しない。銭湯は浦安のフラワー通りまで行かなければなりません。

そんな庶民的過ぎる市場に混じってタイレストランが何気なしにある光景。完全に日常に溶け込んでいる。これが後から駅が出来た両隣の南行徳や妙典ともなると、随分趣きが変わる。隣の南行徳もまたパチンコ屋と外国人だらけで貧乏臭い街並みだが、行徳駅前のようなボロい市場がなく殺風景である。あと10年少し前に出来たばかりの妙典駅周辺は新興住宅地然としていてシネコンつきのでかいイオンの店舗があって、全く街の性質が違う。

市川市福栄二丁目にある例のマンションに向けて歩いていくと駅前公園の向かいにある「パーク商店街」の八百屋の佇まいが素敵過ぎて…まあでも街並み的にレトロ感そそられるのはこの辺くらいですかね。それからこの街に戦後のドサクサ的なものはさすがにない。その頃の行徳は塩田と漁村と寺町しかなかった訳で、東西線が出来る前は辺境の地だった。

駅前公園では地元民によるフリーマーケットが開催中。不要品を安く売り買いするのはお財布の紐が固い下町庶民の知恵である。フリマの売り子も買い物客も結構多くてびっくり。行徳にはリサイクル家電やリサイクル衣料の店も充実しているので豊かな貧乏暮らし(プア充とか言うらしいね最近)には非常に適した土地となっております。

そんな多国籍タウン「行徳」の自慢といったらこれ。イスラム教のモスクがあるのだ。その名も「行徳ヒラー・マスジド」。賃貸マンションに囲まれた、行徳駅に程近い住宅地の一角に3階建てのビルタイプの礼拝施設を構えている。1998年に居酒屋の店舗を居抜き開堂、現在の建物は2004年に新築したもの。行徳地区を中心とするムスリム系住民の信仰と交流の場として機能している。イスラムのモスクでは常識だがここも左右に出入口が設けられ、男女別に分かれている。

千葉県内でも数える程しかないイスラムのモスクまであるというガチな外国人タウン行徳であるが、やはり他の外国人タウンと同様、2011年の震災以降外国人住民が減ってきているようで、当サイトの読者様で長年行徳住みな方から聞いた話によると「昔はもっと数が多かった」らしい。

行徳の国際化の激しさを体感したいなら、行徳駅南口から東側の路地にある「国際通り」などと呼ばれているらしい通りを見ると良い。ここにはインド料理、タイ料理、韓国料理の店が3件仲良く並んでいるという多国籍っぷりを見る事ができる。これが国際通りと言われるとしょぼい気もするのだが、まあご愛嬌という事で。

特に土着臭強そうな外観のタイ料理店「リトルバンコク」はもはや老舗の風格すらある。一回ここで食った事があるが、日本人の旦那さんとタイ人の奥さんがいて、まあ家庭料理的なタイのお食事にありつける。中華料理もやっているそうです。浦安の「分田上&リトルタイランド」もだけど、東西線沿いには日本とタイのおしどり夫婦でやってる店ってのがちょいちょいある。

エスニック料理で腹が満たされたと思ったら真向かいの「麻雀行徳」の唯一無二な佇まいに二度腹一杯になりました。ここも老舗過ぎてヤバイんですが扉が濃い紫のガラス戸というところがまたポイントが高い。

そしてこの昭和感満載な漫画のイラストが描かれた大看板が目を引く。「麻雀行徳」の名札を下げたお兄さんが「お気軽にどうぞ!!」とセリフを発しているがとてもお気軽に立ち入れる雰囲気ではない。見るからに東西線開通当時からやってそうな古さの雀荘である。

麻雀行徳の隣もドイツ語で書かれた看板がある通り、ドイツ風のカフェバー的な店の痕跡が見られるが、廃業したらしくシャッターが降りたままになっていた。ここが開いていれば国際通りの名前通りの格好がついていただろうが、やっぱりヨーロッパ風の店は行徳のような下町全開エリアにはウケが悪かったんでしょうかね。

それから国際通りの近くの東西線沿いの道に回ると、しっかりハラルフード専門店がありましたよ。アジア雑貨・食料品と看板にはあるが、かなりインド食材が豊富に揃えていて、店主もインド人っぽい。これは行徳にムスリム系住民が多い事を示している他ない。先の行徳マスジドといい、既に千葉県に「ムスリム街」は存在しているのである。

もしインド料理が食べたくなったら行徳ではメジャーな店舗、東西線ガード下沿いにある「ボンベイパレス」も良い。もっぱら客層は地元民とインド人ばかりである。やはり同じ東西線沿いに日本最大のインド人コミュニティを抱える街「西葛西」があるのが大きいのだろう。西葛西に飽きたら行徳に足を伸ばすのも悪くはない。ともかく我々も行徳の外国人タウンっぷりはまだまだ未開拓の領域であるので、今後も地元民からのタレコミお待ちしています。

◆「行徳駅周辺」東京DEEP案内お散歩マップはこちら

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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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