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【川崎市】ギャンブルライン南武線の限界…危険な踏切横断が多発する下町「平間」を見物する

東アジア屈指の過密都市・東京を中心とした首都圏に暮らす人々、あれだけコロナ禍でドエライ目に遭っているにも関わらず、すっかりそんな状況にも慣れてしまったのか毎朝の通勤列車の混雑ぶりはコロナパンデミック前の状況に戻りつつあるという。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」「赤信号みんなで渡れば怖くない」が日本人の特性だとすれば、感染拡大が止まらない第三波襲来の今が最も危険な状況ではなかろうか。ただでさえ、正月休みに病院は開いてませんよ?どう年末年始を乗り切るんですかね、皆さん。

そんな首都圏でも最も経済的・精神的に余裕のない人達が過酷な家賃相場の高さと通勤利便性の兼ね合いから仕方なく妥協して住みたがるのが、川崎駅を起点に多摩川に沿って川崎市内の南北を走り、府中や立川に至る「JR南武線」の沿線地域である。ここからは当然ながら直接東京都心には出られないわけだが、川崎・武蔵小杉・武蔵溝ノ口・登戸といった乗換駅から他線に乗り継げば都心に一時間以内に出られる。しかしそうした乗換駅は家賃相場がやはり高い。

そこで人口が急増しているのが、未だにローカル感満載な佇まいの南武線の途中駅の数々。こうしたエリアは都心直結じゃない分、家賃相場はグンと下がる。特に武蔵小杉から二駅、川崎から四駅目にある「平間」は駅前商店街もそこそこ充実していて、東京都との境目を流れる多摩川に架かる「ガス橋」を経て、チャリンコですぐに都内に出られるロケーションから“エセ都民気分”を味わうのに最適な土地となっている。つっても川を渡った先は大田区でも場末感丸出しな下丸子とか武蔵新田なんですがね…

南武線ローカルタウン「平間」の実力を確かめようではないか

武蔵小杉経由でJR南武線平間駅を訪れる。乗り換えの際の電車のタイミングにもよるが、渋谷から東横線を使って乗り継いで30分そこそこと言ったところか。都内の西側だけで考慮すれば意外に早く着く。ここなら徒歩10分圏内でも、古めの賃貸物件であれば、ファミリー向けの間取りでもうまく行けば10万円そこそこで借りられる。“東京に近いけど東京じゃない”の旨味を一番享受できる地域があるとするなら、間違いなくここだ。川崎市中原区の南東部に位置し、駅の西側は一部幸区に属している。

古臭い平面駅舎となっている平間駅の目の前から広がる「平間銀座商店街」。こんなローカルな駅前なのに結構そこそこ人通りも多く賑わっている感じが強い。やはり川崎市というと労働者のオッチャンが朝っぱらから呑んだくれているイメージが強い地域だが、ここは不思議とそういう感じもしない。学生が沢山ほっつき回っているのを見かけるが、彼らの下宿に都合のいい安アパートが多いのだろう。彼らがウェーイと騒げる渋谷から近いのは決め手じゃなかろうかね。

平間銀座商店街は駅前から南武沿線道路を過ぎた先あたりまでの約500メートルの区間、だらだらと下町風情の強い店舗を中心に連なっている。ちなみにガス橋を渡った先の大田区下丸子にキヤノン株式会社の本社があるために朝夕は同社のサラリーマン軍団がこの界隈を通勤の行き帰りで往来する。この会社、駅から結構離れてますが、毎朝クソ寒い中多摩川を歩いて渡っているわけで、お勤めご苦労さまなこってす。

駅の近くはチェーン店もちらほらある一方で、南武沿線道路に近づくほど古ぼけた個人商店多めになってきます。川向かいの下丸子とか武蔵新田も似たような雰囲気の下町となっていて、どちらが東京か神奈川かと言われるよりほぼ同一の生活圏として見做した方が手っ取り早い。ただいずれにせよ蒲田や川崎といったターミナル駅から三両編成(東急多摩川線)か六両編成(JR南武線)のしょぼい電車で窮屈に揺られながら来るしか無い土地である事は変わらない。

そんな生活空間には昭和の時代から何ら変わりもない土着臭満載な八百屋や食料品店が軒を連ねていて、土着のご老人達が立ち話で談笑している日常風景が見られる。昔は工場ばっかりだったのに、最近はタワーマンションがいっぱい建ってきて、まるで別の街みたいになっちゃったわよね、みたいな会話が聞こえてきそうだ。平間にタワマンはありませんがね。

そして日常生活に欠かせないスーパーマーケットの有無についても、平間銀座の中に「マルエツ」が一軒あるだけ良しとしますかレベルである。あとは「まいばすけっと」くらいしかないので、やや貧弱な感じはあるけども、寝に帰る街だと割り切れば許容範囲内である。

そして労働者の街・川崎市では割とよく見かける日本共産党の事務所も商店街内に鎮座する有様で、お金に困った時も生活相談バッチコイな仕組みが整っている。貧困層とマイノリティに優しい街、それが川崎市ですよ。市営住宅・県営住宅も揃ってまっせ。

色々と“勘違い”しがちな最近の上京カッペ民からすれば、あのタワーマンションが立ち並ぶ武蔵小杉のほぼ隣町だという立地から、さぞかし上品なイメージで語られてしまう危うさもある地域だが、武蔵小杉だって元は工場だらけの煙たい下町だったわけだし、元はこんな感じでしたよ、という雰囲気はよく残っている。そもそもここは東京ではなく神奈川県だ。妙な幻想は捨てるべきだ。

そして南武線沿線だったら殆ど各駅ごとに必ず存在していそうなパチンコ屋も平間駅前には「プレスト平間店」が二店舗展開しており、この辺にお住まいのギャンブラーオヤジどもは他の町に出ずともジャンジャンバリバリなけなしの日銭を注ぎ込みまくる事が出来る。ガス橋通り沿いの店舗はやけに珍建築っぷり極まっている。立体駐車場を兼ねている造りになっているようだ。

川崎市なのに駅前が“埼玉化”する南武線沿線の下町。日高屋で野菜たっぷりタンメンでも食ってろ

駅前一等地の食い物屋が「日高屋」とか「松屋」な時点で街のレベルは埼玉並みであることは容易に理解できる。安月給のサラリーマンが糊口をしのぐ、普段遣いの食糧供給スポットであろう。たまーにちょっと贅沢でアッパーなプチセレブ気分を味わいたければ武蔵小杉のグランツリーとやらに出るか川崎駅前のラゾーナとやらに出れば良いわけだ。野菜成分が足りなければ「野菜たっぷりタンメン」で補給可能だが塩分は高くなりがち。高血圧に注意が必要な街だ。

それから、こちら平間までやってくると街の蕎麦屋ですらベクトルが危うくなってくる。本業の蕎麦よりも丼モノやカレーやラーメンの推しが強くなってしまうのは川崎市という土地であるからこその宿命。店の前の張り紙が多すぎて情報過多になってしまい、店自体が路地の奥にあるのに唯一無二の存在感を示している「入船」さん。糖尿病にも注意が必要な街だ。

平間には川崎のソウルフード「元祖ニュータンタンメン本舗」の店舗もしっかりある。KAWASAKIラブなお方も安心して住める街のようです。良かったですね。唐辛子がどんぶり一面に油混じりに広がってますが、そんなに見た目ほど辛くないんですよね。

しかし、元祖ニュータンタンメン本舗と言えば、この近くにもう一軒だけ妙な佇まいのラーメン屋があるんですよね。店のテント看板に「スーパータンタンメン激ウマ500エン」と一部手書きなのが怪しさを誘う。“タンタンメン”のフォントもそのまんまですがな。一体これは何でしょうか?暖簾分けで何かこじらせた系ですか?

南武沿線道路沿いに出ると、何だかヤバげな壁の落書きがキョーレツな「韓国料理牛鈴」のボロ汚い店舗が存在感を露わにしていて川崎クオリティの本気を見せつけている。ヒップホップユニット「BAD HOP」を生んだのは川崎の最も臨海部にある川崎区池上町だが、中原区にだってこういう風景もあるし、やっぱり“同じ川崎”という印象は拭えない。…その前に、ここ店舗自体営業してないようですけれども…

平間駅利用者が増えすぎて「開かずの踏切」の無謀横断が止まらない件

それから、この南武線平間駅について悪評が広まっているのが駅前の「開かずの踏切」問題である。JR南武線は都心直結でないサブ路線の扱いから、沿線の高架化や駅ホームの延長工事が進まず、未だに六両編成のしょぼい電車が行ったり来たりしている。それが首都圏への人口集中で平間のような途中駅も利用者がどんどん増えて、その結果、朝の通勤ラッシュ時に深刻な問題が起きている。

平間駅前の踏切が遮断されるとどうなるか、その様子を一通り観察してみることにした。東京方面からの「ガス橋通り」を平間駅方向に来るとそのままこの駅前の踏切を通り掛かる事になるのだが、踏切が閉じた瞬間に車の列がどんどん連なってくる。しかもまともに歩道も区切られておらず、歩行者や自転車はもちろん踏切の前に押し寄せ「密」状態に、特に車椅子やベビーカーを押している方々はこれだけで気が滅入りそうな光景になる。

しかしこの踏切は朝8時台の通勤ラッシュ時に1時間中約48分間遮断された状態が続く。これに業を煮やして耐えきれなくなった歩行者(特に駅西側に住んでる余裕のない通勤リーマン)が無理くり遮断器を潜り抜けて、線路東側にある駅舎に駆け込む光景が日常茶飯事化している。踏切付近には物々しい看板が連なる異様な光景。2020年末までに踏切の改良化で遮断時間を減らす取り組みが成されるようだが、その前にマジで通勤リーマンが“グモッチュイーーン”になりそうで怖い。

これを回避する方法としては踏切から200メートル近く離れた駅の南側、平間銀座商店街の途中の、この跨線橋を渡る必要がある。単純に踏切の前から迂回すると平間駅まで徒歩5分、400メートル程度の距離になる。金も時間も精神も余裕のない、この界隈の安アパートで暮らしている底辺サラリーマンが毎朝その距離を許容するかどうかは微妙な判断だ。

そもそも川崎市の内陸部は元はとんでもない田舎だった土地が戦後の人口急増でインフラの追いつかないまま発展してきた地域ばかりだ。だから昔ながらの古臭い町並みが残る平間駅前もそうだが、歩道もろくに整備されていないのに車がバンバン通りまくる危険箇所がそこかしこにある。だからこそ川崎市の内陸部の街では数年に一度くらい、子連れのママチャリが転倒して、側を走っていた車に轢かれて母子共々死んでしまうような悲惨な交通事故も起きる。

都落ちして“川崎に住む”ってのはただ事じゃねえんだ…そう認識した方が良い。川を挟んで東京か東京じゃないかってのは、それほどの“重要事項”なのだ。キャパオーバーもいいところの、六両編成のしょぼい南武線に乗っての通勤は楽なものではない。気軽な一人暮らしならまだしも、首都圏で住む場所ってのは、本当に真剣に考えた方が良い。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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