またまたやってまいりました池袋。東京の数ある街の中でも、指折りの巨大ターミナル駅でありながらどこか田舎臭さと貧乏臭さを残す所が我々取材班の探究心をくすぐらせる。何度も池袋にしつこく訪問しつつかき集めた風景の数々を久方振りにレポートしていきたい所存である。
今回は池袋における「ホームレス観察」である。池袋と言えば「やたらホームレスが多い」事が特徴的だが、とりわけ池袋の中でもホームレスの出現率が高い場所を何ヶ所か巡りつつ彼らの生態を観察したいと思う。で、まずやってきたのが池袋駅西口。ふくろうの親子がお出迎え。
新宿や渋谷、上野や東京駅などホームレスは東京のどこにでも居るものだが、殊更池袋となるとやけに彼らの姿が目立つ。昼夜問わず、駅前の至る所でホームレスのオッサンが寝っ転がっている。西成や山谷とそれほど違わない風景が広がっている。
ただでさえ「洗練された都会」で不純物が排除されがちな東京の他の街なら彼らは場末の公園の隅っこなど日陰の目立たない場所に固まっているが、池袋の場合は平然と人通りの多い場所にわざわざ陣取っていたりする。池袋全体に漂う芋臭い空気が彼らを日の当たる場所へ誘い出すのか。
西口を見る限り駅前ロータリー周辺と池袋西口公園にホームレスの姿が多い。
続いて東口に移動する。池袋駅前で最も人の往来が激しい西武百貨店前の歩道にも、なんとホームレスのおばさんが毛布を敷いて寝っ転がっていたのだ。これはひどい。何かの拍子に踏んだり蹴ったりになりそうだ。大勢行き交う人々も見て見ぬ振りで、ゴミ溜めのゴミの一部としか思っていないようだ。
池袋自体が貧乏臭さを放っている土地柄なのか、東口周辺にはゲストハウスの張り紙がやたらあちこちの電柱にベタベタ貼られているのが目に付く。家賃の高い東京ではオシャレなマンションに「ルームシェア」が流行っていて芸術家気取りの若者が寄り集まっているケースも多いが、こんな電柱広告に出てるゲストハウスなどホームレス一歩手前のワープア目当てである。
そしてパルコ裏線路沿いの池袋駅前公園。ここも東口界隈ではホームレス率の非常に高い公園である。近所の風俗帰りなのか待ち合わせなのか知らんがタバコを一服吸ってるサラリーマンやケバめのおばさん等に紛れて汚い格好のジジイが多数所在無げにボケーっと座っている。
で、池袋駅前公園と言えば、見た目近代的に作られた公園(公園というよりただの通路だが)に似つかわしくない2つ並んだ四面塔尊及び四面塔稲荷大明神である。江戸時代の辻斬り多発で一晩で17人が斬り殺されたという無残な事件を偲んで作られた因縁深い場所。
哀しいかな、今の池袋では土地の怨念を引きずるように西武線や東武線で板橋練馬や埼玉の田舎から流れてくる厨房DQNによるホームレス狩りやオヤジ狩りのメッカになっている。
しかしこの四面塔自体が日常的にホームレスに陣取られてしまうために最近になって社殿の周囲にバリケードが築かれてしまった。池袋四面塔・劇的ビフォーアフター、なんということでしょう。だが賽銭を入れる穴だけは几帳面にこしらえてある。
ちなみにバリケードが張られる以前の四面塔はこんな感じ。常時ホームレスのオッサンが居座っている。屋根のある所は貴重だもんねやっぱり。
さらに公園の奥へ進むと豊島清掃工場に向かう歩道橋のたもとにも大勢のホームレスが常駐している。ここは都会の真ん中のキャンプ場。よく見ると何か作業をしているのが見える。
どうやら夕飯の支度をしていたらしく鍋などの調理器具や調味料、水が入ったペットボトルなどが並んでいるのである。非常に逞しいホームレスの順応力。また再び東京が震災に襲われたとしてもこの人達なら全然平気なはず。
少し離れてサンシャインシティ前までやってくると、近くの首都高高架下の中央分離帯上にダンボールハウスがこれでもかと並べられているのが見える。いくら排ガスに塗れようが彼らにとって屋根のある所は重宝がられるのだ。ちなみにそのまま首都高を辿っていくと護国寺の手前あたりまでホームレスの住居が散見される。
巣鴨プリズン跡地に建つ巨大な墓標「サンシャイン60ビル」の真下にある東池袋中央公園もやはりホームレスの棲み家だ。人目につかない公園奥にはびっしり小屋が並んでいる。
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今回フィールドワークして回った場所以外にもホームレス生息エリアはあちこちにあると思われる。我々取材班は引き続き池袋の街を観察し続けていきたいと思う。