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【隔絶された島】埼玉ではない、品川区の「八潮団地」には一体何があるんですか

去年、当方が刊行した単行本「東京DEEP案内が選ぶ 首都圏住みたくない街」において、住みたくない街ランキング堂々の一位として槍玉に挙げた街「八潮」。その理由は本書に詳しく触れてあるのでここでは詳細を省くが、八潮という地名自体がどうもマイナー過ぎるようで、埼玉の八潮とは知らず、一部の読者は品川区にある同じ「八潮」だと思いこんでいたようだ。

そう言えば「品川区八潮」には何があるのだろう、それはどこかと思い地図を目にやると…随分と街外れの埋立地で、しかもその一部がドデカい団地になっている。「八潮団地」(品川八潮パークタウン)という人口12,000人を数えるマンモス団地で、その多くがUR都市機構および都営、JKK東京の公社住宅で構成されている。

知ってました?埼玉ではない、品川区の孤島「八潮」を

ちなみに「品川区八潮」は一丁目から五丁目まであって、そのうち定住人口があるのは団地のある五丁目のみ。他の八潮一丁目は火力発電所、二丁目が巨大なコンテナターミナルを擁する大井ふ頭、三丁目に広大な東海道新幹線の車両基地、四丁目は大井ふ頭中央海浜公園、という何とも最果てのベイエリア的な一帯。

なお、お台場エリアにある「船の科学館」などがある一帯も一部は「品川区東八潮」になっている。埼玉の八潮市は「八幡村」「八条村」「潮止村」の3つの村名の合成地名だが、戦後に生まれた埋立地である品川区八潮は「八重の潮路」という、“非常に長い海岸線”を意味する古い言葉から命名されており、それぞれ由来が違っている。

超絶孤島状態の「八潮団地」には何があるんですか

まず、そもそも沖合の人工島にある「八潮団地」に辿り着くまでが面倒である。品川・大井町・大森駅からそれぞれ出ている都営バスが主な交通アクセスで、バスで片道20分掛かる。りんかい線の品川シーサイド駅、東京モノレールの大井競馬場前駅から徒歩でも来られるが、冬場は寒風吹きすさぶ京浜運河を越さないと来られず、高齢者が多い団地住民は専らバス利用がデフォである。

だが、そんな孤島状態の団地でも12,000人の住民の日常生活を支える中心的な商業施設「パトリア品川店」があり、都バスの「八潮パークタウン」バス停を降りると目の前がこれである。パトリアと聞いて思い出したが、ここは江戸川区清新町にある「パトリア葛西店」と同じUR都市機構系列のショッピングモールだ。

パトリア品川店の中は一通り衣食住にまつわる店舗が揃っていて、住民は人工島の外に出なくとも生活可能な環境となっている。2014年まではダイエーが核店舗として入っていたが、ダイエー撤退後はディスカウントストア「スーパーバリュー」に変わっている。

そしてレストラン街の休憩スペースにいる客層のダウナーっぷりに呆然。人工島の団地という点も相まって、くたびれた雰囲気が大阪の南港ポートタウンにクリソツである。品川区にオシャレなイメージを勝手に持つ上京民には悪いが、品川区の本来の姿がこれである。

そしてこの団地、西葛西の清新町団地と同じようにIT系企業にお勤めのインド人世帯が増えているらしく、同じ西葛西のパトリア葛西店にも店を構えるインド料理店および食材店「スパイスマジック カルカッタ」の店舗があったり(現在は閉店)、なんか色々と西葛西とかぶるんですけれども…

パトリア品川店からペデストリアンデッキを渡った東側の一画に品川区の公共施設が集中している。八潮団地自体は昭和58(1983)年に街開きしており、八潮という地名も昭和55(1980)年に誕生している。歴史の浅い街だが、それでも街開きから35年以上が過ぎていると案の定“昭和臭さ”が際立つ。

八潮団地住民のレクリエーション施設になっている「八潮地域センター」では「平成VS昭和 卓球交流会」が開催中のようです。団地の街であるこちら八潮地域、高齢化率も品川区でトップクラスの30.3%(2015年、品川区ホームページによる)を記録している。

団地の高齢化に応じるように「八潮わかくさ荘」という高齢者住宅、品川区立八潮在宅サービスセンター、八潮在宅介護支援センター、知的障害者更生施設サンかもめといった福祉関係の施設も集まっている。もはや「福祉の街」の様相を呈している。

品川区全体の人口は増加傾向にあるものの、この八潮地域に限って言えば減少が続いていて、最盛期の17,055人(1990年、品川区ホームページによる)から比べると5,000人近く減っている。やはり隔絶された人工島という点が災いしてか、ここだけ「都会の限界集落」となっている現実があるのだ。

UR都市機構も若い世帯の定住を狙って「無印良品」とコラボレーションした、シャレオツ感漂うリノベーション物件を売り出してテコ入れを行っているが、それでも「バスで20分」という不便な環境を前にすると人気は薄い。イマドキの上京民は武蔵小杉や横浜を住む場所に選んでしまうのである。でも、アド街の司会をやっているジャニーズタレントの井ノ原快彦も八潮団地出身なんですよ?

ちなみに賃貸サイトで品川区八潮の物件を検索すると「3DK 61.62㎡」が13万8千円、「3LDK 80.36㎡」が15万2600円といった具合で大量にヒットしてくる。中古の分譲だと「3LDK 76.39㎡ 1983年築」の「シティコープ八潮浜」が3500万円といった具合で、武蔵小杉のボッタクリタワマンと比べると都心に近接したこの場所の割には良心的。それでも大量に物件が余っているのだろうな…

やはり埼玉の八潮同様「品川区八潮」も積極的に“住みたい街”にはならないようです。


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東京DEEP案内の管理人です。2008年の開設以来、首都圏一都三県の街歩き情報を淡々と記録し続けております。いわゆる日陰者的物件、観光地にもならない場所、ちょっとアレな地域を見物・考察する事を趣味としております。2017年6月15日、単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を発売。
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